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捨てられた荷物持ちの俺、死にかけて覚醒する  作者: beck2026


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第37話 西への道

出発の朝、第十二層の入口前で、見送りのため、ガレンとセレンが待っていた。


「気をつけてくれ」ガレンが、改めて声をかけた。「何か異変があれば、すぐに連絡を入れること」


「分かっています」


「それと――」ガレンが、少し声を低めた。「ダルト殿たちのことだが、処分期間が明け、別の街で、新しいパーティを組んだという話が入っている」


その名前を聞いて、少し懐かしいような、でも、もう関係のないような、不思議な感覚があった。


「そうですか。元気にやっているなら、それでいいです」


「気にならないのか」セレンが、少し意外そうに尋ねた。


「もう、過去のことです。今は、これからのことに集中したいです」


ミラが、隣で、静かに微笑んでいた。


「ロウさんは、本当に、強くなりましたね」


「そうかもしれません」


俺たちは、座標点を使い、西の地方へ向かう最初の中継地点まで、一気に移動した。これまでの経験のおかげで、長距離移動も、かなり安定してできるようになっている。


「これが、西の地方……」


到着した場所は、これまでの第十二層とは、全く違う風景だった。乾いた大地が広がり、遠くに、岩山のような地形が見える。


「思っていたより、過酷な土地ですね」ミラが、周囲を見渡しながら言った。


「ここから、さらに歩いて、報告のあった地点まで向かう必要がある」


淡が、慎重に、周囲の空気を確かめるように、息を吸い込んだ。


「……何か、感じる」


「何か、というのは」俺は、すぐに尋ねた。


「分からない。だが、第十二層の歪みと、似たような気配が、確かに、遠くから漂ってくる」


セレンから預かっていた魔道具――歪みの兆候を検知するための装置を取り出す。淡の言葉通り、装置が、わずかに反応を示していた。


「本当に、近くにあるみたいですね」


「慎重に進みましょう」


歩き始めると、すぐに、地元の村らしき場所が見えてきた。事前にギルドから連絡が入っていたのか、村長らしき老人が、俺たちを迎えに出てきていた。


「あなた方が、ギルドから派遣された、調査の方々ですね」


「はい。ロウと申します。こちらは、ミラと淡です」


「ようこそ、お越しくださいました。この村は、最近、奇妙な現象に悩まされておりまして……」


「奇妙な現象、というのは」


村長が、少し不安そうな表情で説明を始めた。


「村の外れに、最近、急に霧が立つようになりまして。その霧の中に入った者は、時々、おかしな感覚に襲われると言うのです。時間が、ねじれるような……」


「時間が、ねじれる……」ミラが、思わず呟いた。


「それと、夜になると、低い唸り声のようなものが、聞こえることもあります」


その説明に、俺とミラは、思わず顔を見合わせた。第十二層で経験したことと、あまりにも似ている。


「淡さん、これは……」


「我が、生まれた頃の感覚に、近いものを感じる」淡が、静かに言った。「もしかすると、本当に、似たような『傷』が、ここにもあるのかもしれない」


セレンが、緊張した表情で、装置の反応を再確認した。


「これは、思っていたより、進行が早いかもしれない。早急に、現地を確認する必要がある」


村長が、心配そうに尋ねた。


「危険な、ものなのでしょうか」


俺は、これまでの経験を思い返しながら、できるだけ落ち着いた声で答えた。


「分かりません。でも、俺たちが、できる限り、対応します」


村の外れ――霧が立つという場所へ向かう道を、俺たちは歩き始めた。第十二層での経験が、今、新しい土地で、再び試されようとしていた。

お読みいただきありがとうございます!


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