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捨てられた荷物持ちの俺、死にかけて覚醒する  作者: beck2026


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第21話 共同訓練

ミラの覚醒から数日後、俺たちは第十二層の入口付近に設けられた臨時拠点で、共同訓練を始めることになった。セレンと調査隊が見守る中、ガレンも時々様子を見に来ていた。


「まずは、お互いの力の特性を確認しよう」


セレンが、訓練場に設置された的を指し示した。


「ロウ殿は空間操作、ミラ殿は時間操作。それぞれ単独で見せてくれ」


俺は座標点を意識し、的の周囲の空間を歪ませた。投げられた模擬の弾が、軌道をわずかに逸らされて的を外れる。


「次は、私ですね」


ミラが集中し、別の的に向けて力を使う。今度は、弾の動きそのものが、明らかに遅くなった。まるで、空気が重くなったかのような変化だった。


「面白いな」セレンが資料に書き込みながら言った。「ロウ殿は『場』を変える力、ミラ殿は『流れ』を変える力。性質は違うが、根本は同じ時空の操作だ」


「これを、組み合わせるとどうなるんですか」


「まずは、試してみよう。二人で、同じ的に向けて力を使ってみてくれ」


俺とミラは、互いに視線を合わせた。少し緊張するが、不思議と息は合いそうな気がした。


「俺が空間を歪ませてから、ミラさんが時間を遅らせる、という順番でやってみましょうか」


「分かりました」


弾が放たれた瞬間、俺は座標点で軌道を歪ませた。その直後、ミラが力を発動する。


「遅れろ」


弾の動きが、これまで以上に大きく変化した。軌道が逸れ、さらに動きが極端に遅くなる。的に当たるまでの時間が、明らかに長くなっていた。


「これは……」セレンが驚いた様子で立ち上がった。「単純な足し算じゃない。空間の歪みに、時間の遅延が重なることで、効果が増幅されている」


「増幅、ですか」


「アーシェル殿の言葉通りだ。二つの力が組み合わさることで、単独では到達できない領域に近づいている」


調査隊リーダーも、興味深そうに頷いた。


「これなら、封印強化にも、大きな進展が期待できそうだな」


訓練を繰り返すうちに、俺とミラの連携は、少しずつ自然になっていった。お互いの力の出すタイミング、強さの調整――言葉を交わさなくても、感覚的に合わせられるようになってきている。


「ロウさん、不思議です」休憩中、ミラが呟いた。「初めて会ったのに、なんだか、ずっと前から知っているような感覚があります」


「俺も、似たような感じがします。同じ力の系譜だから、なんですかね」


「そうかもしれません」


セレンが、訓練の記録をまとめながら、こちらに声をかけた。


「二人の連携、かなり順調に進んでいる。この調子なら、封印強化の試みも、近いうちに実行できるかもしれない」


「災厄に、直接向き合う、ということですか」


「まずは、亀裂に対して、封印強化の効果があるか、小規模な試験を行いたい。安全な範囲で進めるから、心配しなくていい」


ガレンが、少し心配そうな表情を見せた。


「無理はしないように。二人とも、まだ覚醒して間もない力だ」


「分かっています」


俺とミラは、同時に頷いた。荷物持ちだった頃の自分には、こんな仲間と並んで戦う未来など、想像もできなかった。だが今、確かにその道を歩んでいる。


訓練が終わり、夕暮れの中、拠点へ戻る道を二人で歩く。


「ロウさん、これからも、よろしくお願いします」


「はい。一緒に、頑張りましょう」


第十二層の奥、災厄が眠る場所へ向かう日が、少しずつ近づいていた。それでも、もう独りではないという感覚が、胸の中に静かな安心感を与えていた。

お読みいただきありがとうございます!


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