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捨てられた荷物持ちの俺、死にかけて覚醒する  作者: beck2026


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第20話 遺跡での覚醒

数日後、俺とミラ、セレン、そして調査隊の数名が、第十二層の遺跡へ向かった。座標点を使って移動を短縮できる俺の力のおかげで、これまでより遥かに早く到着することができた。


「これが……」


遺跡の通路に足を踏み入れたミラが、息を呑むように呟いた。


「不思議な感じがします。懐かしいような、でも初めて来たはずなのに」


「俺も、最初に来た時、似たような感覚がありました」


台座のある空間に到着すると、結晶が以前と同じように静かに浮いていた。セレンが資料を確認しながら、準備を進める。


「ミラ殿、結晶に触れてみてくれ。無理だと感じたら、すぐに手を離していい」


ミラは少し緊張した様子で頷き、ゆっくりと結晶に近づいた。俺はその様子を、少し離れた場所から見守っていた。


ミラの指先が結晶に触れた瞬間、淡い光が広がった。前回、俺が体験した時と同じ現象だ。


『……新たな、継承者か』


声が響く。今回は、俺の頭の中にも聞こえてきた。


「私の中にも、本当に力が……?」


『そなたの中に流れる力は、まだ目覚めて間もない。だが、確かにアーシェルの欠片だ』


ミラの体が、淡い光に包まれていく。表情には驚きと不安が混じっていたが、それでも目を逸らさなかった。


「怖くないですか」俺は思わず声をかけた。


「怖いです……でも、ロウさんも、同じことを経験したんですよね」


「はい。最後まで、ちゃんと見ています」


ミラは小さく頷き、再び結晶に意識を集中させた。


光が強くなり、ミラの周囲に、これまで見たことのない座標点が浮かび上がってきた。だが、俺のものとは少し違う輝きをしている。


「これは……」セレンが興奮した様子で呟いた。「時間の流れに関わる、特性が強い力のようだ」


『そなたの力は、空間ではなく、時間に近い性質を持つ。アーシェルの力の、もう一つの側面だ』


「時間の側面……」ミラが、自分の周りに浮かぶ光を見つめながら呟いた。


『試してみるがいい。そなたの内にある力を』


ミラは少し戸惑った様子だったが、ゆっくりと手を伸ばし、近くの座標点に意識を向けた。


「……遅れろ」


その言葉と共に、座標点が震え、空間全体にわずかな変化が起きた。近くにあった小石が、ゆっくりと、まるでスローモーションのように地面に落ちていく。


「これが、私の力……」


ミラが驚いたように、自分の手を見つめた。


「時間の流れを、一部だけ操作できる、ということか」セレンが資料に何かを書き込みながら呟いた。「ロウ殿の空間操作と、組み合わせれば――」


『そう、それこそが、アーシェルが望んだことだ』


結晶の声が、静かに響く。


『空間を繋ぐ力と、時間を操る力。二つが合わさることで、初めて、完全な時空魔法に近づく』


俺とミラは、思わず顔を見合わせた。


「俺たちの力を、組み合わせる、ということですか」


『そうだ。アーシェルが独りでは至れなかった境地に、そなたたちならば近づけるかもしれぬ』


光が徐々に収まっていき、結晶は再び静かな状態に戻った。ミラは、まだ興奮した様子で自分の手を見つめている。


「私にも、本当に力があったんですね」


「はい。これから、一緒に色々試していくことになると思います」


ミラが、少し安心したように笑った。


「よろしくお願いします、ロウさん」


セレンが、興奮した様子で調査隊に指示を出し始めた。


「この発見は、本部にも急いで報告する必要がある。空間と時間、二つの力の組み合わせ――災厄への対策に、大きな進展があるかもしれない」


遺跡を出る道中、俺はミラと並んで歩いていた。


「ロウさんは、覚醒した時、どんな気持ちでしたか」


「正直、混乱していました。でも、今までずっと無駄だと言われてきた力が、初めて意味を持った気がして、嬉しかったです」


「私も、今、同じ気持ちです」


霧の中、二つの力を持つ者同士が、並んで歩いていく。荷物持ちだった頃には想像もできなかった仲間が、確かに、自分の隣にいた。

お読みいただきありがとうございます!


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