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捨てられた荷物持ちの俺、死にかけて覚醒する  作者: beck2026


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第17話 他の欠片を求めて

調査隊の会議から数日後、本部から新たな情報が届いた。アーシェルの力の欠片を持つ可能性がある人物について、いくつかの手がかりが見つかったという報告だった。


「東の国境付近に、時空魔法に似た力を使う冒険者がいるという目撃情報がある」


セレンが手元の資料を確認しながら言った。臨時拠点のテントの中、調査隊リーダーとガレンも同席していた。


「断定はできないが、調査に行く価値はあるだろう」


「俺も、行くべきですか」


「いや、君には引き続き、亀裂の監視を頼みたい。封印の状況に変化があれば、すぐに対応が必要になる」


少し残念な気持ちもあったが、確かに自分が動くべき優先度としては、監視の方が高いように感じた。


「分かりました。誰が、その調査に向かうんですか」


「私が直接向かう」セレンが答えた。「時空魔法の特徴を見極められるのは、私が適任だろう」


セレンが出発の準備を進める間、俺はガレンと共に、亀裂の状況を再確認するため、第十二層へ向かった。


「繋がれ」


座標点を使い、亀裂のある場所まで一気に移動する。ガレンは何度見ても、その移動方法に驚いた様子を見せた。


亀裂に到着すると、漏れ出す薄紫の光は、前回とほぼ同じ強さだった。急速な進行は、一旦落ち着いているようだった。


「セレン殿の見立てだと、進行速度に波があるらしい。完全に安定したわけではないが、急変はしていない」


「少し時間に余裕がある、ということですか」


「そう願いたいところだ」


亀裂を観察していると、また低い唸り声が響いた。前回よりも、わずかに弱い気がした。


『……まだ、時は来ぬか』


声が、頭の中に直接響く。前回ほどの強い圧迫感はなかった。


「お前、力が弱まっているのか」


『そなたが封印に干渉しているのだろう。完全に薄れる前に、何かをしているようだ』


「干渉……? 俺は、何もしていないが」


『そなたの存在そのものが、アーシェルの力の延長線上にある。意識せずとも、影響を与えているのだろう』


その言葉に、少し驚いた。自分が何かをしているという自覚はなかった。だが、確かに、ここに来るたびに、何かが変化している気がする。


「もう一つ、聞きたい。お前は、本当に消し去ることができない存在なのか」


『……アーシェルにも、できなかった。だが、不可能だとは言っていない』


「どういう意味だ」


『力を、合わせること。アーシェルは独りで挑んだ。それが、限界の理由かもしれぬ』


声が弱まり、亀裂の光も少し収まっていった。


「待て、もう少し――」


『また、来るがいい』


完全に静かになった亀裂を見つめながら、俺はガレンに向き直った。


「聞きましたか、今の」


「ああ。力を合わせること、か……」


「他の欠片を持つ者を見つけることが、やはり重要な鍵になりそうですね」


ガレンは深く頷いた。


「セレン殿の調査に、期待するしかないな」


第十二層を後にし、地上へ戻る道中、俺は災厄の言葉を何度も思い返していた。アーシェルが独りで挑んだことが、限界の理由かもしれない――それは、自分一人では、やはり足りないということを意味しているのかもしれない。


「他の欠片を持つ者、見つかってくれよ」


夜空を見上げながら、静かに願う。荷物持ちだった頃には考えもしなかった、国を揺るがす運命の中心に、自分は確実に立っていた。

お読みいただきありがとうございます!


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