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捨てられた荷物持ちの俺、死にかけて覚醒する  作者: beck2026


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第15話 本部からの調査隊

ガレンに災厄との接触を報告すると、その日のうちに本部へ緊急連絡が送られた。数日後、王都から調査隊が派遣されてくることになった。


「本部の調査隊が、明日到着する。君にも、同席してもらいたい」


ガレンの応接室で、俺はその知らせを受けた。


「分かりました。どんな人たちが来るんですか」


「時空魔法の専門家と、対魔物の精鋭部隊だ。アーシェル殿の伝承についても、最も詳しい研究者が同行すると聞いている」


翌日、ギルドの前に到着した一団を見て、俺は少し驚いた。思っていたよりも人数が少ない。精鋭部隊といっても、五人程度だ。


その中の一人、白髪の老齢の女性が、まず俺に近づいてきた。


「君が、ロウ殿だね。アーシェル殿の力を引き継いだという」


「はい。ロウです」


「私はセレン。時空魔法の研究をしている」


セレンは興味深そうに俺を見つめた。値踏みされているような、少し落ち着かない視線だった。


「君の中の力、少し見せてもらえるか」


「構いません」


座標点を一つ動かし、簡単な空間操作を見せる。セレンは興味深そうに頷いた。


「……間違いない。アーシェル殿の系譜だ。それも、かなり純度の高い欠片を引き継いでいる」


「純度、ですか」


「アーシェル殿の力は、彼の死後、複数の欠片に分かれて散らばったと言われている。多くは弱く、覚醒すらしないものが大半だ。だが君のものは、明らかに違う」


セレンの言葉に、ガレンも頷いた。


「だからこそ、災厄が君に強く反応しているのかもしれない」


調査隊のリーダーらしい、鎧を着た男性が口を開いた。


「早速だが、現地を確認したい。ロウ殿、案内してもらえるか」


「分かりました」


第十二層へ向かう道中、セレンが俺の隣を歩きながら、いくつか質問をしてきた。


「君は、もともと荷物持ちだったと聞いている。本当か」


「はい。戦闘職ではなく、《保管》しか使えませんでした」


「《保管》は、時空魔法の中でも、最も基礎的でありながら、最も奥が深い力だ。長年それだけを磨いてきたというのは、むしろ理想的な土台になる」


「理想的、ですか」


「ああ。多くの時空魔法使いは、派手な力に目を向けがちで、基礎を疎かにする。君は、その逆を歩んできた」


その言葉に、これまでの荷物持ちとしての日々が、少し違う意味を持つように感じられた。馬鹿にされ続けた時間が、無駄ではなかったという確信が、もう一段深まった気がした。


第十二層に到着し、座標点を使って亀裂の場所まで一気に移動する。調査隊の面々が、その移動方法に驚いた様子を見せた。


「これが、君の力か……噂以上だな」


亀裂に到着すると、調査隊全員の表情が一気に引き締まった。漏れ出す薄紫の光は、前回見た時よりも、さらに強くなっている。


「……これは、思っていたより進行が早い」


セレンが険しい表情で呟いた。


「アーシェル殿の封印が、急速に崩れ始めている」


調査隊リーダーが、緊張した声で指示を出す。


「即時、対応策を検討する。ロウ殿、改めて詳しい状況を聞かせてほしい」


俺は、これまでの経緯――結晶との対話、災厄との接触――を、改めて詳細に説明した。調査隊の表情が、話が進むにつれ、ますます険しくなっていく。


「時間は、それほど残されていないかもしれない」


セレンの言葉が、亀裂の薄紫の光の中に、静かに響いた。荷物持ちだった頃には想像もできなかった、国を揺るがすほどの事態が、確実に動き始めていた。

お読みいただきありがとうございます!


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