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1534年3月3週目。二郎兄様の宣伝をしたり姫君に好みの男性を聞いたりしながら二郎兄様にも声がかかり安堵する八郎。大殿の忠良が酒をもって乱入してくるwww

三郎と五郎がそれぞれ姫君たちと別室へ向かうと、

広間には二郎、四郎、六郎、七郎と数人の姫君たちが残った。

八郎は満足そうに頷きながら、もう一度場を見渡す。

「はい、それでは次でございます。」

「二郎兄様。」

突然名前を呼ばれた二郎は少し肩をすくめた。

「……なんや。」

「二郎兄様も、本当にいい方なんですよ。」

「なんでお前が紹介するねん。」

すかさず突っ込みが入り、広間が笑いに包まれる。

八郎は平然として続けた。

「二郎兄様は、一郎兄様の次に農業をよく見てくださっています。」

「今回の芋焼酎も、芋作りからずっと関わってくださいました。」

「芋の栽培も、畑のこともよう知っておられます。」

「黙々と働いてくださる方なんです。」

姫君たちも興味深そうに耳を傾ける。

そこで八郎は少し首をかしげた。

「そういえば、一つお聞きしたいことがありました。」

「姫様方は、どういう殿方がお好きなんですか?」

「例えば、槍や弓が強くて武勇に優れた方とか。」

「あるいは、戦場で先頭に立って活躍するような、やり手のお侍様とか。」

「そういう方が人気なんでしょうか?」

姫君たちは顔を見合わせ、小さく笑った。

「そうとも限りませんよ。」

「もちろん、お強い方は頼もしいです。」

「でも、それだけではありません。」

別の姫君も続ける。

「私たちが毎日一緒に暮らすのは、お城ではなく家ですから。」

「ちゃんと話を聞いてくださる方。」

「こちらの何気ない話でも笑ってくださる方。」

「そういう方の方が安心できます。」

「武勇だけではありません。」

八郎は「なるほど」と何度も頷いた。

「それは安心しました。」

「実はですね。」

「うちの家族、武勇をひけらかすような兄はおりません。」

兄たちが苦笑いする。

「また始まった。」

八郎は構わず続ける。

「もちろん、戦になれば皆さん戦います。」

「でも、普段は畑へ行ったり、お店を手伝ったり、工房を見たり。」

「そういう兄様方なんです。」

「特に二郎兄様は、派手ではありません。」

「武勇を語ることもありません。」

「ただ、一度任された仕事は最後までやり遂げます。」

「嘘をつきません。」

「手を抜きません。」

「毎日コツコツ働きます。」

二郎は照れくさそうに頭を掻いた。

「……そんな褒められることでもない。」

すると姫君の一人が柔らかく笑った。

「私は、そういう方が好きです。」

「え?」

「戦で名を上げる方も立派です。」

「でも、家族を大切にして、毎日真面目に働いてくださる方も、とても素敵だと思います。」

別の姫君も頷く。

「私もです。」

「安心できますもの。」

八郎は嬉しそうに二郎を見る。

「兄様。」

「人気ありますよ。」

「だから僕が言うたやないですか。」

二郎は困ったように笑う。

「でも俺、何しゃべったらええんや。」

八郎は思わず天井を見上げた。

「またですか。」

「一郎兄様と全く同じです。」

広間がどっと笑う。

「うちの兄様方、そこが難しいんです。」

「自分から好みがどうとか、話したことないんですよ。」

二郎も素直に頷いた。

「男兄弟だけやしな。」

「好きな女性のタイプとか、話したことない。」

「分からん。」

八郎は笑いながら言う。

「じゃあ、まずは農業の話は禁止です。」

「え?」

「『今年の芋は』『今年の稲は』から始めたら駄目です。」

「人となりが分かる話をしてください。」

「好きな食べ物とか。」

「甘い物は好きですかとか。」

「春は好きですかとか。」

「そんな話で十分なんです。」

姫君たちも笑顔になる。

「その方が話しやすいですね。」

すると、一人の姫君がおずおずと手を挙げた。

「あの……。」

「私、二郎様と少しお話ししてみたいです。」

二郎が驚いて目を丸くする。

「俺と?」

「はい。」

「真面目に働かれる方のお話、聞いてみたいです。」

八郎は思わず手を合わせた。

「助かります!」

「本当に助かります!」

「うちの家は、こういうきっかけがないと全然進まないんです。」

二郎も照れながら立ち上がる。

「ほな……少しだけ。」

「はい、行ってらっしゃいませ。」

二人は別室へ向かって歩いていった。

残った六郎と七郎は少し緊張した顔をしている。

八郎が笑いかけた。

「六郎兄様、七郎兄様。」

「女の子としゃべるの、嫌いですか?」

二人は慌てて首を振る。

「嫌いじゃない。」

「でも緊張する。」

姫君たちも優しく笑った。

「でしたら、今日が練習ですね。」

「団子を食べながらお話ししましょう。」

「最初から上手に話せる方なんていません。」

和やかな空気が広間を包む。

八郎も満足そうに頷いた。

「そうです。」

「今ここで慣れておかないと、本当に大殿様方が乗り込んできて、

『この姫とこの兄で決まりじゃ!』って勝手に縁談を決めかねませんから。」

「それは困る!」

兄弟も姫君たちも一斉に笑った。

その瞬間――。

襖が勢いよく開く。

「おーーーい!」

「若い衆!」

「うまいこと話は進んどるか!」

真っ赤な顔をした大殿が、徳利を片手に上機嫌で広間へ踏み込んできた。

八郎は額を押さえて小さくつぶやく。

「……やっぱり来ましたか。」

その一言で広間は再び笑いに包まれ、お茶会はさらに賑やかな空気へと変わっていくのだった。

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