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1534年3月1週目。一郎兄様と千代姫のお茶会も終盤。別室に行った兄様方や姫方は照れながら戻ってくるwww

しばらくして。

三郎、五郎、二郎、四郎たちが、それぞれ姫君と話すために席を移った。

残った者たちは茶を飲みながら、少し落ち着いた空気になる。

そこで八郎がぽつりと言った。

「でもですね」

「正直、今ここで慣れてもらわないと困るんですよ」

千代が首を傾げる。

「困る?」

「はい」

「次の島津本家の時」

「もっとややこしいです」

「ややこしいとは?」

千代が聞き返した。

八郎は団子を置く。

「考えてください」

「今回、阿蘇を落としたでしょう」

一郎が頷く。

「ああ」

「しかも」

「兵をほとんど失わずにです」

「一万の兵を動かして」

「大きな損害なし」

「そこが大きいんです」

八郎は続ける。

「この話」

「絶対に島津本家に届きます」

「姫様方も文を書いているでしょうし」

「お殿様方も聞きます」

「そしたらどうなります?」

一郎は嫌な顔をする。

「……面白がるな」

「そうです」

八郎が指を鳴らす。

「絶対面白がります」

「八郎殿はまた何をしたんだって」

「そして」

「島津分家の千代お姉様は」

「八郎家との関係を考えて」

「先に茶会を開いた」

「となります」

「すると」

「本家も動きます」

千代が苦笑する。

「確かに……」

「父上たちなら焦りますね」

「はい」

「そうすると」

「島津本家のお殿様方から」

『うちもやれ』

「って圧が来ます」

「そして」

「一郎兄様以外の兄様方を」

「僕が連れて行くことになります」

兄弟たちを見る。

「ややこしいですよ」

「下手したら」

「お殿様方が座って見てる前で」

「縁談ですよ?」

その瞬間。

一郎が顔をしかめた。

「俺なら絶対嫌や」

「でしょう?」

八郎は頷く。

「だから言ってるんです」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

千代も納得したように頷いた。

「そうですね」

「いきなり当主同士がいる場より」

「今日みたいな方がいいですね」

「そうです」

八郎は胸を張る。

「ここは一郎兄様と千代お姉様の館」

「別室もある」

「ゆっくり話せる」

「失敗しても笑える」

「最高なんです」

「練習台と言ったら失礼ですけど」

「いい機会なんです」

一郎がため息をつく。

「そこまで弟たちは考えてると思うか?」

「絶対考えてません」

即答だった。

「だから」

「慣れることが大事なんです」

八郎は残っている弟たちを見る。

「六郎兄様」

「七郎兄様」

「油断してたら駄目ですよ」

二人が驚く。

「俺らも?」

「当然です」

「殿様方の圧、すごいですよ」

「似た年頃の姫君がいたら」

「何とか縁を作ろうとします」

「本当に」

「気付いたら茶席に座らされますよ」

二人の顔色が変わる。

「怖いこと言うなや」

「事実です」

その様子を見ていた姫君たちは笑う。

しかし同時に。

少し焦りも感じていた。

八郎の言葉は冗談のようで。

実際、今の八郎家の立場を考えれば十分ありえる。

すると一人の年上の姫が口を開いた。

「あの」

「六郎様」

「はい?」

「少し……」

「お話してみませんか?」

六郎が慌てる。

「俺ですか?」

「はい」

八郎が嬉しそうに笑う。

「いいですね」

「話しましょう」

「幼いなら幼いなりでいいんです」

「まず話すことが大事です」

一郎が横から言う。

「お前四歳やろ」

「私は別です」

「なんでや」

また笑いが起きた。

・・・・・・・・・・・

そうして時間は過ぎた。

茶を飲み。

団子を食べ。

市の話。

料理の話。

農の話。

何でもない話。

しかし。

最初の硬さは、いつの間にか消えていた。

夕方。

別室に移っていた者たちも戻ってくる。

三郎も。

五郎も。

二郎も。

四郎も。

そして姫君たちも。

どこか照れた顔をしていた。

八郎はそれを見て満足そうに頷く。

「なるほど」

「なるほど」

三郎が警戒する。

「何聞く気や」

「聞きません」

「本当か?」

「はい」

八郎は笑う。

「皆まで聞きません」

「これはきっかけですから」

「ただ」

「ここからです」

「手紙を書く」

「市に誘う」

「茶を飲む」

「また話す」

「何かしないと進みません」

そして一郎と千代を見る。

「男性陣の話は」

「一郎兄様へ」

「女性陣の話は」

「千代お姉様へ」

「お二人で酒の肴にしてください」

「やっぱりそうなるんやないか!」

一郎が突っ込む。

「違います」

八郎は首を振る。

「私は聞きません」

「安心してください」

全員が黙る。

そして。

千代が笑った。

「……それが一番怪しいですね」

「ひどいです」

八郎は頬を膨らませる。

でも。

誰もが分かっていた。

この小さなお節介のおかげで。

大名同士の縁ではなく。

人と人の縁が、確かに動き始めていた。

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