1534年3月1週目。一郎兄様と千代姫のお茶会。八郎主導だが姫君たちが勇気をもって手を挙げてくれたので会が進むwww
「では」
八郎が満足そうに手を叩いた。
「三郎兄様は決まりですね」
「何が決まりなんや」
三郎が嫌そうな顔をする。
「姫様お二人と」
「三人で少し横の部屋に行って」
「ゆっくり話してください」
その瞬間。
三郎も姫二人も固まった。
「いや待て」
「急すぎるやろ」
「急じゃないです」
八郎は真顔で答える。
「料理姿が良かったと言ってくださる方がいるんです」
「だったら料理の話をすればいいじゃないですか」
「親子丼の話でも」
「市の話でも」
「何でもあります」
そしてニコッと笑う。
「大丈夫です」
「私ら耳立てませんので」
一郎が即座に言った。
「お前が一番立てそうやけどな」
「失礼ですね」
「少ししか立てません」
「立てるんやないか」
笑いが広がった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結局。
三郎は照れながらも、二人の姫と別席へ向かった。
「さて」
八郎は残った者を見る。
「次です」
「次ってなんや」
「残りどうします?」
「人を物みたいに言うな」
すると。
一人の姫がおずおずと手を上げた。
「あの……」
「はい!」
「私は五郎様と少しお話ししてみたいです」
五郎が目を丸くする。
「俺?」
「はい」
「以前少しお話した時」
「市のことを楽しそうに話されていて」
「もっと聞きたいと思いました」
八郎は満面の笑みになる。
「ほら!」
「五郎兄様も人気なんですよ」
「この前も島津本家のお姫様と市を歩いてましたし」
五郎が慌てる。
「余計なこと言うな」
「余計じゃないです」
八郎は首を振る。
「考えてください」
「島津本家のお姫様が気になる方は」
「島津分家のお姫様だって気になるんです」
「人を見る目は近いんですから」
「三郎兄様」
「五郎兄様」
「名前出てますよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そこで八郎は他の兄を見る。
「さて」
「他のお兄様方ですが」
嫌な空気を感じる兄たち。
「六郎兄様、七郎兄様はまだ若いのでいいです」
「でも」
「二郎兄様」
「四郎兄様」
二人を見る。
「頑張れ」
沈黙。
「それだけかい!」
二郎が突っ込む。
八郎は首を傾げる。
「いや」
「だって僕、忙しいんですよ」
「帳面見て」
「戦して」
「商売考えて」
「お兄様方の普段の姿まで全部見られません」
「お前本当に四歳か」
八郎は一郎を見る。
「一郎兄様」
「お願いします」
「弟たちの良いところを言ってあげてください」
「僕より見てるでしょう?」
一郎は少し考えた。
「そうやな」
「次郎は……」
「農のことをよく考えてる」
「八郎が言い出した脱穀の仕組みとか」
「農具の改良とか」
「一番話を聞いて動いてくれてるな」
「農民ともよく話してる」
二郎は照れる。
「まあ……」
「やれることやってるだけやけどな」
一郎は苦笑する。
「ただ」
「俺も農を見てるから」
「近すぎて逆に良さが言いにくいな」
八郎がため息をつく。
「一郎兄様」
「弟の良いところはちゃんと見つけてください」
「兄でしょう」
「なんで四歳に説教されなあかんねん」
その時。
一人の姫が口を開いた。
「あの……」
「私は」
「土いじりとか嫌いではありません」
二郎が顔を上げる。
「え?」
「花も育てますし」
「畑を見るのも好きです」
「農の話、聞いてみたいです」
八郎の顔が輝く。
「ほら!」
「ありました!」
「縁です!」
「では一度お話ししてみませんか?」
すると。
別の姫も。
「私も……」
「農具のお話、少し興味があります」
二郎が困ったように笑う。
「急に言われてもな」
すると。
さらに小さな声。
「あの」
「はい」
八郎が振り返る。
若い姫が顔を赤くしていた。
「私は……」
「四郎様と」
「お話してみたいです」
四郎が驚く。
「俺?」
「はい」
「この前」
「皆さんを支えて動かれている姿が」
「優しそうで……」
声が小さくなる。
八郎は満足そうに頷いた。
「良かった」
「良かったです」
「やっぱり聞かないと分からないですね」
八郎は全員を見る。
「兄様方」
「姫様方」
「手を挙げないと何も始まりません」
「黙っていたら」
「時間だけ過ぎます」
そして。
少し悪い顔をする。
「最悪」
「私が顔色見ながら」
「勝手に縁を組みます」
全員が固まる。
「やりそうだから怖い」
一郎が呟く。
「だからです」
「嫌なら自分で言う」
「それが一番です」
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千代はその姿を見て笑っていた。
「八郎様はすごいですね」
「戦も」
「商売も」
「人の縁まで」
八郎は団子を食べながら答える。
「違います」
「ただ」
「みんな遠慮しすぎなんです」
「少し背中を押してるだけですよ」
一郎が笑う。
「その押す力が強すぎるんや」
そう言われても。
八郎は満足そうだった。
こうして小さなお茶会は。
ただの団子の会ではなく。
島津と八郎家を結ぶ、新しい縁の始まりになっていった。




