1533年5月4週目。八郎の借金返済計画稼働。市をフル稼働。湯あみ126個計画。寺社の市20個稼働。湯あみはつけでwww
五月四週目。
二度の戦が終わり、ようやく領内に落ち着きが戻り始めた。
……と言いたいところだったが。
八郎の前には、また山ほどの帳面が積まれていた。
庄屋衆、商人衆、職人、寺社関係者。
皆が集まる中、八郎は大きく息を吐いた。
「では、次です」
その一言に父が苦笑する。
「まだ何かやるんか」
「やります」
「借金は待ってくれません」
和尚が笑った。
「戦が終わった翌週に商売拡大か」
「普通なら宴でもするところじゃがな」
八郎は首を振る。
「宴する銭があるなら仕入れます」
「ほんま三歳児か」
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八郎は帳面を広げた。
「まず十三の市」
「全部動かします」
周りがざわつく。
「十三全部ですか?」
「はい」
「大市三つ」
「中市十」
「全部です」
「そして料理も全部同じものを出します」
料理担当が驚く。
「全部ですか?」
「はい」
混ぜ飯
炒め飯
つみれ汁
天ぷら
甘味
マグロの煮付け
「元々うちの市で出していたもの全部です」
「ですが八郎様」
「味が揃いませぬぞ」
八郎は頷く。
「いいです」
「……え?」
「まずくてもいい……と言ったら語弊がありますけど」
「まず一回出してください」
「高い」
「味が違う」
「量が少ない」
「その文句を聞きます」
「そこから直します」
和尚がニヤリとする。
「まず動かす、か」
「はい」
「止まっていたら何も分かりません」
「鍋が足りない」
「椀が足りない」
「道具がない」
「そういう場合は買ってください」
商人を見る。
「付けでお願いします」
商人が笑う。
「またですか」
「はい」
「来月帳面に載せます」
父が呆れる。
「ざっくりじゃな」
「ざっくりじゃないと無理です」
「十三市ですよ?」
「私、三歳ですよ?」
「そこだけ三歳を使うな」
皆が笑った。
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次は湯浴みだった。
「今ある湯浴みは一部だけです」
「最終的には百二十六作ります」
職人たちが固まる。
「……百二十六?」
「はい」
「十三市それぞれに広げます」
「全部一気には無理なので」
「できるところからです」
八郎は言う。
「だから各市の湯浴み屋さんを呼んでください」
「私が十三ヶ所回って説明するのは無理です」
和尚が笑う。
「とうとう諦めたか」
「当たり前です」
「体一つしかありません」
集まった湯浴み職人たちは説明を聞いて唖然とした。
「百二十六作る?」
「はい」
「一つ五千文として……」
「六十三万文ほどですね」
「……」
「それをどう払うんです?」
「付けで」
全員が吹き出した。
「八郎様」
「さすがに大雑把すぎます」
「違います」
「計算しています」
八郎は帳面を見せる。
「湯浴み一つ」
「一日利益三十五文」
「百二十六なら一日四千文以上」
「月十万文以上になります」
「半年ほどで返せます」
職人たちの顔色が変わる。
「しかも」
「薪を買います」
「人を雇います」
「灰も畑に使えます」
「ただの風呂ではありません」
「銭を回す仕組みです」
大工の親方が笑った。
「まあ……」
「今回守ってもらったしな」
「そこまで言うなら乗るわ」
「ありがとうございます」
「ただ月二つ作れたらええ方やぞ」
八郎は頷く。
「十分です」
「十三市で合わせて月二十個増えれば最高です」
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最後は寺社市。
「父上」
「ここお願いします」
「わしか」
「はい」
「もううちのやり方を一番知っていますので」
「寺と神社で市を開く」
「商人さんに場所を貸す」
「飯を売る」
「特産品を売る」
「そして仕入れる」
「この形です」
八郎は続ける。
「ただ」
「少し高いものも混ぜてください」
「なぜじゃ?」
「借金が減った地域は銭があります」
「安いものだけではなく」
「楽しみも必要です」
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「そして大事なのは」
「売掛を残すこと」
「一つの市で月一万二千文ほど」
「十なら十二万文」
「その分を仕入れと相殺します」
商人たちが笑った。
「八郎様」
「普通、商人は売掛を嫌います」
「そうなんですか?」
「はい」
「でも八郎様の場合は逆です」
「必ず商品を買ってくださる」
「取りっぱぐれがない」
別の商人も頷く。
「今まで借金とは」
「返るか分からないものでした」
「ですが八郎様のところでは」
「米になる」
「魚になる」
「薪になる」
「そして最後は銭になる」
「こんなありがたい話ありません」
和尚が笑う。
「戦で領地を守ったと思ったら」
「次は風呂百二十六個」
「市十三個」
「飯屋大量展開」
「お前、本当に何を目指しとる」
八郎は首をかしげる。
「借金返済です」
その場の全員が笑った。
しかし誰も止めなかった。
戦で奪った領地ではない。
商いで動き出す領地。
八郎の国造りが、本格的に始まろうとしていた。




