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悪役覇道  作者: wistereal
三章 『皇国覇道ー序 独立』
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『八位』と定例会議 結

 優しい夜の包み込むような気配の中、俺の眠気はピークに達していた。少しでも油断すれば寝る。そんな確信があるほどには、俺の中で睡眠欲の割合が非常に高くなっていたのである。

 だが、経験はないだろうか。何かちょっとしたきっかけで、限界まで達していた眠気が一切吹き飛ばされてしまうような現象を。俺にも、今それが起こった。


「『マーディッシュ商会』と『協会』が繋がっていたのは、アノルフィア皇国。それは皆知っての通りだと思う。その中で、具体的にどこと繋がりがあったのか、それを通達しておくことにするよ」


 そんな重要な話題を、うとうととしている最中に投入されたのである。正直、一瞬この話題は俺の目を覚ますためのものなのではないかと、そう思うくらいピンポイントで俺の感性を刺激している。

 自然に脳内が思考モードへと移行して、考察だ何だを行い始めてしまうのである。まあ俺は別にそれが悪いことだとは微塵も思っていないのだが。


 さて、すっかり覚めた意識で先ほどの発言について考えを巡らせる。マキナの言う通り、確かに皇国のどこと繋がりがあったのかによって、俺たちがしなければいけない対応も変わってくるはずだ。

 例えば騎士団幹部クラスと繋がっているくらいならばまだいいが、財務長官とか、騎士団長とか、ましてや宰相とかと繋がりがあったとしたらかなり面倒くさくなるし、何より……


「残念なことに、浅慮なマーディッシュのせいで我々は厄介ごとを抱え込むことになった。彼等とつながりを持っていたのは、「皇族」だ」


 そう、それが最悪のパターン。適切な対応をするとしたら相応の費用と対価が求められることとなるし、色々とめんどくさい。まさに厄介ごとの置き土産である。去ってもなお俺たちに悪影響を与えるマーディッシュ。執念深いというか何というか……商会長からしたら本懐かもしれないけどな。


「理解しているとは思うが、「協会」の潜入によるつながりも完全に絶たれた。今後、僕達は無情報の中常に正解を選択し続けなければならない。そのために、今後は「臨時会議」の回数が増えると思う。理解しておいてくれ」


 マキナと「協会」の間で何やら大人の取引があったようで、「協会」はマキナのためにマーディッシュに同調していた、という設定になっている。その話し合いは結構前についていたようで。

 実はマーディッシュ商会と「協会」への同時襲撃の日の時点でその話し合いはとっくのとうについていたらしく、ジンとアリアが中心となって掃討した敵は、マーディッシュの戦力と、「協会」リーダーに反対する急進派だったらしいのである。

 マキナの情報収集能力の賜物によりアジトが割れたわけではなく。懐柔力とでも呼ぶべき政治力が密接に関係していた、というわけなのである。マキナ側はマーディッシュの討伐、「協会」側は救済と組織内敵対派閥の討伐。ウィンウィンだったというわけである。

 全くふざけた話だ。いまさら言ったとて何も始まらないのはわかっているのだけれど、文句くらいは言いたくなるであろう。


「僕個人としては、『裏町』の皇国からの独立を提案したいと思う。それこそが裏町の悲願でもあるからだ。それを合理的に行うなら、間違いなくいまが一番の好機。だが、今決めれることでもないだろう。存分に考えて考えて、考え抜いてくれ。それぞれの利己が、この町の推進力だ」


 マキナが、さらに爆弾を投下する。おそらく今、この場にいる責任ある立場のものは大混乱であろう。多分落ち着いているのは、最初からよくわかっていない俺とアリア、そして全てを把握していたマキナとその秘書団くらいのものだろう。

 そのざわめきを抑え込むように、マキナは続けて声を発する。帝王の伊吹。時代の始まりを告げる法螺貝の爆音。それに似た何かが、俺たちの心の底を、胸騒ぎと共にやけに掻き立てる。


「僕達これから直面するのは、これまでよりもさらに大きい問題のはずだ。だが、僕は僕たちの結束力を期待している。存分に、暴れ散らかそうじゃないか、裏切り者の一族郎党、姻族、仲間、全てに厳正なる裁断を。それが裏町の流儀なのだから」


 断言するようなその口調は、俺たちに不安を抱かれる暇もなく、昂りへと感情を誘っていった。

 めっちゃ短いです。最近短くね?と思われた方、鋭いです。明日はもっと長いです。今までの短さは前振りみたいなもんだと思っといてください。

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