魔法
すみません。投稿が遅れました。
俺は今、傭兵組合上級魔法職支部の地下にいた。この世界の常識なのかはよく分からんが、地下に訓練場があるというのはどうやら裏町では普通のことのようだ。それはこの建物も例外ではなく、なんなら情報屋よりも大きな訓練場が設置されていた。
やはり予算の差なのか、俺が普段使っている情報屋地下よりも、心なしか豪華な気がする。豪華と言っても外装ではなく機能面の話であるが。
「改めまして、僕は ファイズ・ヴァルキリア。傭兵組合「ヴァルキリア」筆頭の第二秘書兼、魔法職支部長。ヴァルキリアの魔法部門の最高責任者だ」
ファイズが改めて自己紹介をする。マキナが秘書にするぐらいだから相当に優秀なのだろうとは思っていたが、部門の最高責任者を任されているのだ。きっと、実力も一級品なのだろう。というか、そうでなければわざわざマキナが姓を与えるとは思えない。
「さて、まず航君は、魔法の根本的な概念「魔力」と「属性」についてどの程度理解しているのかな?」
早速訓練に入る、と思われたのだが、結局まずは座学だ。少し拍子抜けだと思ってしまった。趣旨を理解していないとできるものもできないので、間違ってはいないはずなのであるが。
「魔力」とは、魔法を行使するための力。魔法とは、小規模な世界変換だから、大きなエネルギーが必要になる。それが、魔力。
「属性」は、魔法の大まかな指向性のことだ。火、水、風、土、光、闇、念 の七属性が存在している。魔法とは、世界の法則を捻じ曲げる力であるから、必然的にタイプ分けが可能なのだ。
と、このような内容は、アリスフィーネから教わったものである。今思えば、第二皇女直々の指導を受けるというのはなかなか体験できない貴重な機会だったと思う。まぁ、かなりブラックでスパルタだったから、いまだに少しトラウマではあるのだが。
「そうだな……一般の解釈から大きく外れてはいないと思うけど、正しいってわけじゃないね」
なんだか曖昧な言い方をするな。フォローなのか知らんが、間違ってるなら「違う」ってはっきり言われた方が気楽なんだよなぁ、俺は。なんか妙に気を使われるときの微妙な雰囲気がすごく気まずく感じられるんだ。
「なんでかって言うと、そもそも一般の解釈がずれてるんだよね。そもそも魔法っていうのは、「神」との対話のことを指す古代語なんだ」
「航君はスキルを持ってるんだよね」
ええ、もちろん持っております。なんなら今もバリバリ発動中です。あなたもその影響を受けています。そう思ったが、応答は心の中に留めておくことにする。説明とかめんどくさいし、何かとその方が気が楽だからな。
「スキル取得、表で言う「能力開化の儀」だね。その際に、七体の象が並ぶ「儀式の間に」行ったと思うんだよ」
確かに、そんな覚えがある。今になって考えてみると、あれはきっと神像だったんだろうなと思えてくる。その考えできっと間違いはないだろう。全く神なんて信じてない俺でさえ、なんだか神々しさみたいなものを感じたくらいなのだから。
「あれは、それぞれの魔法属性を司る神像なんだ。そして、獲得した能力に応じて天から降り注ぐ光が、「祝福」。この裏町の人間は、闇属性を半数弱が持っているっと言われているね」
「とにかく、魔法というのは、「祝福」を与えるられた神に対して自らの力の一部を捧げ、見返りを得る術のことを言うんだよ。決して僕たち自身が法則を捻じ曲げられるわけじゃないんだ」
まぁ、それはそうだろうな。よく考えてみると、少し訓練して魔力なんて物が手に入ったとしても、順調にいけば世界の改変なんてできるはずがないんだ。
神みたいな存在が行っていると言われた方が何倍も納得できる。神と言う存在も、最近は「いそうだなぁ」くらいの認識のスタンスになってしまっているし。今までいろいろありすぎたから、別に神がいたとてもう驚かない、と思う……
というか、能力開花時の黒い光って「祝福」だったのか。どうりでなんだか神々しい感じがしたわけである。ちなみにこの世界でもイメージは変わらず、「黒」は闇の神の貴色である。「悪役」スキルの属性にぴったりな神である。だからどうしたという話になるのだけれど。
「細かく話し始めたら言わなきゃいけない事は尽きないんだけど、長い座学も嫌だろうから、とりあえず一点だけ。絶対に言わなきゃいけないこと、君にやって欲しいことだけ伝えておくよ」
俺は、ゴクリど喉を鳴らして、彼の次の台詞を待ち構えた。マキナの差し金なのだ。どうせ何かむちゃぶりでもされるのだろうが、もう心の準備は完璧である。大体の事はスルーできる自信がある。
「さっきの説明の通り、僕達は基本的に「祝福」を得た属性の魔法をしか使えない。でも、航君にはそれを覆してもらう」
「航君、君には「祝福」を得ていない属性の魔法を習得して欲しいと思っている」
基礎をやらずに応用を教えるファイズ流教育方針に絶句したが、自らの心の中には不満などとは全く別の気持存在していた。ただ、ひたすらに楽し。その気持ちが俺の脳内をどこまでも支配しているように感じられた。
明日は投稿できるかどうか五分五分です。できるだけ頑張りますので、投稿できたら読んでいただけると幸いです。




