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悪役覇道  作者: wisteria
第一章 『悪役』
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前哨戦

 知恵。人類の発展に最も貢献したものの一つ。人間に与えられた甘い甘い毒薬だ。知恵は進化と争いを生み、そのたびに人は成長してきた。その影に多くの不幸を生みながら。

 悲劇と喜劇の両方を作り出す激薬。人が食した禁断の果実。知恵というのはそういうものだ。

 知恵の戦。互いに頭を絞り、相手を潰すためだけに頭脳を集中させる。力があるだけでは負ける。当然、知恵だけで勝てるはずもない。

 手札、切り札、情報戦(ブラフ)。すべてを制した者だけが勝つ。それ以外にはひたすら無慈悲。ただ、勝者にだけに優しい世界。ここは、そういう場所だ。


 今、俺の目の前で繰り広げられているのが、それだ。情報収集と、その真偽の判断。ミスリードや罠の仕掛け合い。高度な読み合いを相手の顔を見ずに行っている感じだ。俺に言わせてみれば、目隠ししてチェスや将棋をしているようなもんである。

 正直恐ろしい。「情報屋」として、このくらいは当然できるとジンは言うが、そんなことができるのがこの世界の標準であれば、外すら出歩きたくない。いつのまにか弱みとか握られてそうだからな。まぁ外で弱みなんて晒す気はさらさらないけれども。


「情報操作の基本は嘘をつかないことです。相手が自分以上の情報収集能力を持っていた場合、嘘をつくと必ずボロが出ます。なので、相手にスムーズに勘違いをしてもらうことが大事なのです」


 ジンの言葉だが、そもそもこいつより情報収集が得意なやつとかもう化け物だと思う。少なくとも俺は会いたいとは思わない。会った瞬間、いろんな情報を片っ端から抜き取られるであろう。


「人は、自らが苦労して辿り着いた答えを疑いません。ですので、一度嘘を暴かせて、さらに相手を騙すというのも手の一つではあります」


 確かにそう言われると理屈は理解できる。心の中では対策だってできないことはないだろう。だけど、きっと彼がその気になれば俺は騙される。全く違った真実を人に植え込む。そういう説得力が彼にはあるのだ。

 不敵に笑う彼が、非常に頼もしくもあり、それとは裏腹に恐ろしくもあった。


「マーディッシュの動向は把握しています。航様は訓練に集中なさってください」


 現在、彼の子供達(チルドレン)が三人がかりでマーディッシュの内情を探っている。人手が増えたら、その分相手の動向は把握しやすくなるわけだが、逆に言えば、その分の子供達(チルドレン)の仕事は、全てジンが行っているということである。

 一人では捌ききれなくなってきたから子供達(チルドレン)を鍛え始めたのだろうに、その分の仕事をしているというのは本末転倒な気がしなくもない。


 だが、彼が様々な負担を請け負っているおかげで、状況は徐々に良くなりつつある。

 俺の戦闘面は、期待できるとまではいかないものの、当初よりは格段に動きが良くなっている。一般人レベルなら余裕で倒せるであろう。まぁ、やらないけど。

 マーディッシュについている武力勢力は、相変わらず明らかになっていないが、ジンは見つけるのはの問題だと言っている。それであれば俺も信じて待つべきだと思うし、少なくとも不安を全面に押し出さないように努力はしている、


 切り札を増やすこと。それも戦いを制するための重要な要素のーつだ。そのために自らを犠牲にすることなど厭わない。そんな姿勢は、とても猛々しくみえた。!

 知恵の戦い。それは勝敗の八割を決定付ける前哨戦。知恵の実を冠する戦は、この時点から既に始まっているのだ。

申し訳ありません。予約投稿の時間設定を間違えておりました。ただいま気付き、投稿いたしました。

月曜日は、変わらず十二時投稿です。読んでいただけると幸いです。

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