異文化交流
「ここが私の部・・・いや、今日からは私たちの部屋だな」
寮に着くと、寮監のラナ先生に挨拶を済ませ、私は彼女を自分の部屋に案内した。
(ジークは今後の監督役の役目について、ラナ先生と話し合っている)
「ベッドは上と下、好きな方を選んでくれていいが、どちらが・・・どうかしたか?」
反応がないので振り返ると、彼女が所在なさげに部屋の中を見回していた。
「・・・・・」
「・・・そんなに珍しいか?」
私は改めて自室を見渡した。
部屋の間取りは、寝室と居間と小さいながらも機能的な台所、そして寮の大浴場とは別に備え付けられている浴室。
ただ、私自身は元々それほど私物が多いいほうではない。
部屋にあるのは二段ベッド、姿見、洋服ダンス、鳥籠など、必要最低限の家具類。
なので、他の寮の部屋などと比べたら我ながら少し殺風景な部屋かもしれない。
「まぁ、今は広く感じても、これからは私のだけでなく君の私物も増えるからな。今後のことを考えれば、少し広く感じるぐらいで丁度いいだ・・・・は?」
そう言って彼女に視線を向けると、私は信じられない光景を目の当たりにした。
「・・・・・・・」
彼女は床に足を折り畳むようにして座り、床と眉間がくっつくのではと思わせるほど、深々と頭を下げていた。
『な、突然なんだ?何故この子は、奴隷のように私に跪いているんだ?』
これには私も、かなり面食らった。
私には理解できないが、もしやこれも東の文化、挨拶の一種なのか?
『い、いや、落ち着け、私。いくらなんでもそれはないだろう』
〈ヤマト〉について知識はないが、このような奴隷がするようなポーズが挨拶な訳がないだろう。
『・・・では、まさか!』
やはり先程ジークが言ったように(私自身に、その気はまったくなかったんだが)私の先程の態度が彼女に恐怖を!?
私は彼女に、そこまでの恐怖を与えたというのか?
『しかし、そうだとしたら、これは由々しき事態だ』
監督役を仰せつかったのに、最初の段階で相手に跪かせるほどの恐怖を与えるなど論外だ。
『・・・なんとかしなくては!しかし、どうすればいいんだ!?私も同じポーズをすればいいのか?』
予想外の事態に、私の頭は混乱した。
故に、私は気付けなかった。
「・・・なにしてるんだ、お前ら」
「!」
間がいいのか悪いのか・・・そんな時に限って・・・。
「・・・ミア、お、お前・・・」
用事を終えたジークが驚愕の表情でドアを開けて立っていた。
「・・・ノックをしてから・・入ってくれ」




