国境越え⑤血だらけのエミリア
エミリアは優しく落ち着いた雰囲気で更にめちゃくちゃ美人だ。
しかし、彼女にも暗い過去がある。幼少期から人とは違う才能と美貌があり孤児であったエミリアは村の教会に拾われた。
食べ物もあり雨に濡れない安心して暮らせる環境についたと思いきや…教会の神父はエミリアを奴隷の様に扱った…治癒の才能を使い、金儲けをし時には性的な事も強要した…
幼かったエミリアは抵抗も出来ず、従うしかなった。
彼女が自由を得たのは18歳の日。神父を殺し兵に取り押えられて、牢に入れられた時に彼女は自由を感じた。
神父を殺した罪は重く、死刑は免れなかったが副団長が目をつけ彼女を引き取った。
治癒の力は教会が独占しており、教会の認めた者しか使えない決まりだったが、副団長は当時の戦争状況を利用して騎士団付きの特別待遇で治癒師としてエミリアを採用した。
また地獄の日々が始まると思いきや、予想は大きく外れた。戦場で治癒の力を使うと多くの兵士から感謝された。
助けられた者からも助けられなかった者からも…
毎日戦場で血だらけになりながらも笑顔で治癒する姿に兵士達は尊敬の念を抱いていた。
戦場で身につけた技術は凄まじく、元々才能もあり彼女の力は治癒の力を凌駕しつつあった。
失った手足を復元したり、時には臓器までも復元できる方になっていた。
もちろん、教会はこの力を黙っていなかった。神への冒涜やらなんやら文句をつけ彼女を渡す様に騎士団に要求した
もちろん、副団長は許さず拒んだが治癒の力は教会のもの、彼女は一応は教会所属だった為に渡さざるおえなかった。
しかし、戦争が激化しそれどころじゃない状況が彼女を救った。
しばらくして、同じ騎士団に愛する人ができた彼女は幸せの絶頂にいた。彼は優しく、彼女の事を大切にそして深く愛情を注いだ。愛を誓い合い美しいアメジストのペアリングをを貰った時、彼女は全て報われた気がした。
あの戦場に行くまでは…
戦争が激化し、いよいよ彼女も前線に配備され最前線で治癒を行っている時、彼女目がけて矢の雨が降ってきた。空が暗くなる程の矢の雨だったが彼女は傷一つ負わなかった。
目の前には彼女を守る様に、矢の雨を浴びた人の形をしたものが立っていた。外見が判断出来ないほど刺さった矢の影からアメジストの指輪が見えた。
膝から崩れ落ち、泣きじゃくる彼女に助けを求める声が色々な場所から聞こえる。色々な感情が混ざり震える手を押さえながら治癒を続けた。
血だらけになり愛する人を救えなかった…それでも戦場で助けを求められたら治癒する彼女に兵士達からは毎回同じ事を言われた。
「ありがとう…エミリア…」
愛した彼の声だと思いエミリアは今も治癒を続けている。
ハヤトと目が合いながら優しく見つめてくるエミリアの瞳にはそんな物語が写しだされていた。
エミリアが優しく語りかけてきた。
「私の話などつまらないので…ただ一つ、何かあれば私が必ず助けます…安心して下さい」
優しく手を握りしめてくれた指には汚れたアメジストの指輪が光っていた。




