国境越え② 煉獄の魔術師
みんなが輪になるように座り、気まずい雰囲気が流れている。俺は話すタイミングを失いオロオロしていると、グリストが話し始めた。
『先に俺たちの事について話をしよう…出発前に話したが、俺たちはみんな【訳あり】の集団で副団長に命を助けてもらった…まずは…』
そう言うとハンスが口を開いた。
『まずは私から話しましょう。紹介した通り私は魔術師です。どうやらハヤトさんは魔法についてご存知みたいですが…この世界の魔法はまだまだ未知の部分が多いです』
ハンスは立ち上がりマントを外し体全体が見えるように手を広げ話を続ける。
『ハヤトさん、私の第一印象は痩せてる奴だと思いましたよね?私は元々戦士でした…あれはエルフとの戦い。戦いは敗戦し我々の隊は、捕虜になりました…しかしエルフ達は我々を許さなかった…』
ハンスはマントを拾い上げ握りしめる。
『皆殺しですよ。簡単には殺してくれなかった…一人一人ゆっくり全員の前で…私の愛する人まで…彼女だけは逃がしてくれと嘆願しました。しかし奴らは…彼女は弄ばれ殺された時、怒りで我を失いました…気づいた時は辺り一面黒焦げ…捕まっていた味方諸共、焼き尽くしました…2万人はいたでしょう。その後、異端児扱いですよ…いく先の無い中、副団長が拾ってくれました。』
ハンスは服を脱ぎ上半身を見せる。
まるでおじいちゃんの様な身体でシワが目立ち、肋骨が浮き出ている。
『ハヤトさん、魔法なんて便利だと思ってないですか?これは呪いに近いですよ。強力な魔法を使えば使うほど、身体は朽ちて行く…簡単に言えば寿命の前借りです…見ての通り、残り時間は少ないです…私はその後も多くの敵を燃やし尽くした…償いの為にもこの力で国を守ると誓いました。身体が朽ちようと関係ない。最後まで我が国の敵は燃やし尽くしますよ…』
ハンスは服を着てゆっくり座る。
『まぁ、沢山の戦果も上げ国王からも二つ名をもらいました…皮肉も込めてか私の二つ名は【煉獄の魔術師】私にはお似合いの名前です…』
グリストがハンスの肩を叩き、横に座る。
するとミリーが立ち上がり明るい声で話す。
『まぁまぁ!!暗いハンスくんの話は置いといてミリーちゃんのお話です!!』
ハンスはため息を吐きながら、微笑んでミリーを見ている…しかし、少し笑顔も見えた気がした。
『ちょっと!! ハヤト!! ちゃんと聴いてよね!!』
そうするとミリーが話始める。こいつの話は半分くらい聴いておこう…




