国境越え
翌朝の早朝。まだ薄暗く霧が出ているなか馬車が到着する音で目覚めた…
ドアをノックする音で俺は起き上がる。
『ハヤト。時間だ行くぞ…』
ロンドと共に広間に向かう足取りは何か足先から、ゆっくり冷水に浸かるような冷たく、足に力が入らなかった。
俺は何かの冒険に出掛けるのかと思っていた。
しかし、ロンドや他の仲間の顔から死地に向かう死者の様な雰囲気を感じ取っていた。
『ハーヤート! なに暗い顔してるの!?私がいるから大丈夫だょ!』
ミリーが静かに耳元で囁いてきた。その後ろからロンドが布に包まれた長い棒みたいなものを取り出してるのが見えた。
『ハヤト、これは俺からの贈り物だ。とある剣士が使っていたクレイモアだ…俺にはこの長物は扱えないがお前なら使えるはずだ…』
それは長く刀身は黒くて、みているだけで吸い込まれそうな不思議な剣だった。
俺はその剣を背中に背負い、みんなと一緒に広間を出て行った…
馬車に向かうと運転席にはハワード氏が乗っていた。
『ハヤトさん…またご一緒出来て光栄です。さぁお乗りください。』
俺は軽く会釈して荷台に上がった。グリスト、ミリー、ハンス、エミリア…みんな俯いて静かに馬車の出発を待っている。ロンドが助席に乗ると馬車は出発した。
まだ誰も起きてない街に車輪の音が響く。賑やかな街が今では不気味な雰囲気で心がざわついてる。
正門を抜けて、しばらくするとグリストが口を開いた。
『みんな、朝食はまだ食べてないよな?軽く作ってきた。さぁ食べよう!』
カバンから焼けたソーセージの匂いがふんわりと香り、真っ白なパンが一緒に出て来た。
ミリーは直ぐに掴み取るとテヘッと笑いロンドとハワードさんに渡した…意外だった…
グリストは全員分のカップを出して、水筒から温かいスープを注ぐ。トマトスープなのか軽い酸味のある香りが荷台に立ち込める。とても良い匂いだ…
『遠慮なく食べてくれ!!味は保証する。』
ミリーは食べながら笑いながら静かに食べていた。
それを横目で微笑みながらグリストはゆっくりスープを飲んで、俺に目で食べなと合図した。
俺はゆっくりスープを飲み荷台から見える朝日を眺めていた。
これはこれでいいのかも知れない。恐怖も楽しみも
無理に拒まず旅を楽しもうと、温かいスープが胃を温めると共に心も暖かくなった。
グリストがみんなに食べながら話す。
『辛い旅になるだろう…まずは国境を超える。ハワード商会の護衛としてアステラ王国に入る。その後は北に北上して未開の地に近い街で、密偵と合流する。なーにアステラ王国に入れば楽な旅さ…』
するとミリーが飛び上がり、グリストに報告する。
『グリスト…背後から4人。前から15人馬で近づいてくる。背後の4人は襲う気はないみたい。問題は前の15人。フルプレートで突撃隊形!』
やれやれと腰を上げてグリストが前に伝える。
馬車は加速して前に進む。
俺は剣に手を伸ばすと、エミリアが優しく手を止め、優しい口調で話す。
『大丈夫です…ハヤトさん…ハンスさんが手を打ってます。』
騎馬隊が見えた瞬間。強い光が騎馬隊を襲う。
敵の騎馬隊は四方に散り散りになりながら相手の馬は暴れている。
その横を何事も無かったように馬車は通り過ぎていく。気づくとミリーの姿は無く、次の瞬間!天幕に誰か乗る音がした。
クルッと身を半転してミリーが荷台に乗ってきて、グリストに何か手渡す。
『ミリーありがとう。これはアステラの紋章だな。簡単には国境を越えさせてくれないか…これは大きくルート変更だな…』
グリストはハワードさんに何か話すと俺たちに説明する。
『荷馬車は捨てる。荷馬車は囮にして一旦森に入り作戦を練り直す』
そうすると俺たちは荷馬車を降りて、森に向かう。
ハワードさんはニコリと俺に会釈をして馬車を走らせた。すかさずミリーが痕跡を隠蔽して森に入って行く。
かなり深くまで来たか、グリストが座り込む。
『今日はここで野宿しよう。先に急ぐより考えさせてくれ…』
俺は野営の準備をして、身体を休めているとミリーが話しかけてきた。
『楽しくなってきたね!! 今日はもう大丈夫!!周りには気配が無いし、ハヤトにビビッて森のモンスターも引っ込んだよ!』
俺はハテナマークが頭の上に浮かんだが、みんなが俺の側に集まってきた。グリストが話しかけてくる。
『ハヤト…少し話そうか…』
俺は嫌な予感がしたが真剣な顔でみんな見ている。
『まずは俺たちの事を話す。ハヤト…君の事も隠さず話してくれ。回答次第ではこの先の旅に影響する…たのむ』
もう隠せないのは分かった…俺はゆっくり話始める。




