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外の世界

PV800 ユニーク400 到達しました。

ありがとうございます!

今後ともよろしくお願いいたします。

 神眼(しんげん)を使って見た外の世界は、全てが動きを止めていた。


 空を飛ぶ鳥も、子供を乗せ揺れているブランコも、風にそよぐ洗濯物も、水の流れさえ動いていない。

 母さんも洗濯物を取り込んでいるところだったのか、カゴにタオルを入れた姿勢のまま微動だにしない。


 「食いもんが食品サンプルみたいになってんじゃーねーか。広東軒(かんとんけん)のチャーハン、鍋の上でヤバイことになってんぞ!?」


 (しょう)の取り乱す気持ちはわかるけど、この状況で一番気にしてるの、なんでそれ?

 だいたいお前、一体どこ(のぞ)いてんだよ。


 驚き続きで感情がマヒしてしまったのか、俺は異常事態を目の当たりにしたにもかかわらず、勝の言動に思わず噴き出してしまった。

 俺が肩の力を抜いたことで、光弘(みつひろ)も緊張を解いたようだ。


 「まぁ、落ち着けって。よく考えてみれば、俺らの世界がヤバいことになってるのに、都古(みやこ)翡翠(ひすい)さんたちが、こんなに平然としてるわけないんだ。」


 光弘も俺の意見と同じ考えだったらしく、俺の言葉にうなずいている。


 「ばれちゃいました?真也(しんや)君と光弘君の言う通り、心配はご無用ですよ。あーあ。みなさんもっと驚いてくれると思ったんですが。残念だなぁ。」


 翡翠はわざとらしく肩を落とすと、久遠(くおん)の背中を「後はよろしく」とでも言うように、ポンと叩いて後ろに引っ込んでしまった。

 久遠はもはや翡翠の自由奔放な言動については諦めたようで、小さくため息をつくと俺たちに説明を始めた。


 「驚かせてすまなかった。簡単に説明すると、彼呼迷軌(ひよめき)には時の流れを操作する能力があるんだ。」


 「今日、皆さんがいらっしゃると都古から連絡がありましたので、ゆっくりしていただきたくて、皆さんが入ると同時に止めてもらったのです。彼呼迷軌とはいえ、かなりの力を使いますのであまり長い時間は止めることができないのですが。そうですねぇ、一日に50時間くらいが限界でしょうか。」


 「時間が止まってる?」


 「ピンポーン。大正解です。お帰りの際には戻しますので、安心安全ですよ。」


 笑顔の翡翠の答えに、俺も勝も光弘も大きく息をはいた。

 なにはともあれ、問題が起きているわけではなさそうだし、時間の心配をする必要がなくなったことは、俺たちにとっては大ラッキーだ。


 「なるほどねー。都古がこんなちっちぇーのも実は時間を止めてるせいだったりしてな。」


 ニヤリと笑い、都古の頭をつかむようにわしゃわしゃと撫でる勝。

 都古は口をとがらせ、勝を(にら)んだ。


 「これでも色々努力はしているんだ。勝を越えてやりたいから。」


 都古はくやしそうに、はるかな高見(?)から自分を見下ろしている勝をにらんだ。


 「勝は別格だろ。俺らだって全然追いつけないんだから。それに、強さだけじゃなく身長までお前が勝っちゃったら、勝、立場なくなって大変だぞ?」


 都古をフォローする俺の言葉に、勝が都古をなでていた手をだらんと下にたらし、ショックの表情で固まってしまった。


 「真也ぁ・・・・・。」


 そのままヨロヨロと崩れ落ちてしまった勝。

 俺は苦笑しながら、背中をなでてフォローする。

 その横で光弘が静かに都古に近寄り、膝を折って目線を合わせた。


 「このままでいい。俺は好きだ。」


 光弘の言葉に反応するように、周囲の樹々や生き物がざわめいた。


 いや・・・・・。

 光弘、お前・・・・・それは反則だろ。

 光弘は「小さいのが好き」って意味で言ったのかもしんないけど・・・・・・。

 言われた方はたまったもんじゃないぞ。

 頼むからちょっとは自分の魅力を理解してくれ。


 俺と勝が呆然と見つめている中、光弘はそれだけ都古に伝えると、(ゆい)と共にまた移動の練習を始めてしまった。

 都古の顔は見えないが、後ろから見える耳が真っ赤になっているのを見る限り、やはり今の光弘の一言はかなりの破壊力があったようだ。

 小首をかしげ、手をうちわにしてパタパタとあおいでいる。

 そんな都古の様子に、俺までなんだかドキッとしてしまった。


 とにかく。

 毎日のように都古に押し倒され、耳元でささやかれたりしている、純粋(ピュア)で哀れな勝という男の気持ちを、これで都古がちょっとでも理解できるようになればいいのだが・・・・・。


 そんなことを考えている間に、俺と勝の2人を残し、いつの間にか他のみんなはいなくなっていたのだった。

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