第九話 大夢君、かくれんぼは好きかね?
『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜
主人公櫻子とヒロの出会い編スタート!
毎日18時更新!
時系列
〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜
〜英雄の誕生〜 ←鬱展開あり閲覧注意
〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜
俺は、家の光熱費を見て嘆いている櫻を見る。
「そりゃ、大人一人と猿一匹が増えたら光熱費高くなるの当たり前やん。」
「しかしだがな…。最近、任務続きで金がない。」
「そこなんよ…。なんで、任務沢山すると赤字になるん。」
「伝達者の必要経費がほんまに下りづらい…。」櫻がぼそっと話す。
「はぁ?仕事で使ってるんやろ?ガソリン代とかどうなんよ?」
「最近、うちの管轄が外宮嫌いの大臣に変わって…。ガソリンとか交通手段に関することも、めっちゃ厳しくなった。魔法を使えって。」
櫻がダイニングテーブルに突っ伏す。
こんな姿、初めて見たかもしれん。
いつも隙がないのに経済問題は完璧な女でもこうも悩ませるんだな。
「内宮の防衛大臣ってそんなヤバいの?」
「藤原昭正様…。私も社交会でしかお会いした事ないが、私が外宮育ちと知っただけであっち行けと扇であおがれた。」
櫻がダイニングテーブルの上に顔を乗せたまま横に向いて話す。
「………あんたらも大変なんやな。」
「どうにかならんの?その相談する相手とかおらん?」俺が提案してみる。
「………三条さんなら…。」
「じゃ、その人に相談しいや。」俺が腕を組んで話す。
「………。」無反応の櫻。
俺は、ため息を一つつく。
「とりあえず、俺らでできる事やな。今、洗濯別々やけど一緒でかまんのちゃう?」俺が提案する。
「それだと…。下着とか…。」
「あんたの色気のないスポブラとショーツ見てもなんも思わんわ。」
俺が吐き捨てる。
「なんでそれを知っている?」
櫻が顔を上げて睨む。
あ!やばっ!
“部屋で干しているの覗きました。”なんて言えん。
「たまたま目に入って。」
俺が目を逸らす。
「大夢くん、悪い事は言わない。ちゃんと話したまえ。」
櫻が神器のハサミを俺の喉元に突き立ててくる。
俺は、両手をあげて降参のポーズを取る。
「大夢は、櫻子の干してある下着を覗いたでしゅ!ついでにもっと色気のある下着がないかタンスも開けましゅた!」
ロッキーが爆弾を投下した。
「っ!?」
櫻が耳を真っ赤にしてロッキーを見た後に俺を睨みながら見る。
「それに片付いてないな!きたなって思ってましゅた!」
ロッキーの銃弾爆撃が止まらない。
櫻はフルフルと震えている。
「大夢君……。今日の訓練…。魔法もありにしたいから、紀州巡礼道まで行こうかぁ。」
櫻がニヤリと笑う。
「それだと……移動時間が……。」
俺が絞り出すように話す。
「なぁに、空間移動魔法を使うよ。大臣も推奨しているしねぇ。」
櫻のハサミが俺の喉元を少し刺す。
「はい…。わかりました。櫻子さん。」
そう絞り出すので手一杯だった。
そうして、装備を完璧にさせられて紀州巡礼道まで空間移動魔法で一瞬で辿りついた。
が…。少し上の方だ。
俺らはべチンと石畳に叩きつけられた。
「イッタっ。」思わず呻く。
「すまんな…。どうしてもこの魔法は苦手なのだ。」
櫻が手の土を払いながら話す。
片付け以外にも苦手なもんあるんかい。
しかも、魔法で。
俺らは起き上がる。
「大夢君。」
「はい。なんですか?櫻子先生。」
「かくれんぼは、好きかね?」
そう言ってニヤリと笑ってきた。
背筋が凍るが…。
「えぇんか?俺は狙撃手やで。」
俺が挑発的に話す。
「あぁ、だからこそ良いのではないか。」
櫻がニヤリと笑う。
魔物の目が光る。
「ほう、どっちが鬼なん?」
「私が鬼をやろう。ここで一分間待つ。その間に君は隠れたまえ。」
「えぇで。怪我しても知らんからな。」
「あぁ、本気できたまえ。」
そうやって、朝まで続く俺らのガチかくれんぼが始まった。




