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『菊理姫様!お導きを!』〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜  作者: ぽんぬ


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第六十四話 しくじり元公爵令嬢、山一つ消す

『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜

主人公櫻子とヒロの出会い編スタート!


毎日23時更新!


時系列

〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜

〜英雄の誕生〜 ←鬱展開あり閲覧注意

〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜

荒れ果てた大地に、雷鳴が届く。


ーーポツン。


ーーポツン。ポツン。


雲の裂け目から時折、青白い稲妻が走る。その閃光が私達の顔を一瞬だけ照らす。


雷鳴とともに雨足が強くなった。


「櫻子君……雷魔法も特級になったのか?」徳田さんが眉を顰めて話す。


「いいえ。雷魔法は苦手なので中級ですよ」私が鼻で笑いながら答えた。


そうして、土魔法で避雷針を作る。


「じゃ、どうやって雷雲を……」徳田が困惑している。


「すべての理が魔法だけと思うのか傲慢ですよ。徳田さん」


雷が避雷針へ落ちたのが見えた。


そのエネルギーを使い私自身の雷魔法で徳田さんを攻撃する。


咄嗟に結界を展開する徳田さん。


「足元が疎かですよぉ!」そう言って避雷針からの雷を使いながら地面に雷を流す。


力が分散した…。難しいな。


私は、水魔法を使い地面を湿らせる。


徳田さんが炎魔法で迎え撃つ。


雷雲の栄養をありがとう。


「絶対零度。」詠唱する。


大地が凍てついた。


「なっ!」徳田さんの足も凍らせることが成功する。


必死に炎魔法で足元を溶かしているのが見えた。


私は飛行魔法を使って上昇する。


上空で水蒸気を冷やして雷雲はできた……。


あとは、ロケット誘雷のようにこのパワーを徳田さんに打ち込んだら…。


私は、結界を張って雷雲ギリギリにまできた。


結界を解く、背中から腕や脚、髪の毛の一本一本まで帯電してビリビリと痛い。


手に魔素を巡らせる。


「かけまくも かしこき たけみかづちのおおかみ の ひろまえに かしこみーー。」私はゆっくり詠唱をする。


『あかん!櫻子君やりすぎや』三条さんの声が聞こえた。


「いまかみの みちの たえなるわざを きがんたてまつりーー。」


『田中!どうにかせーよ!彼女やろ!』丸山さんの声だ。


『無理っすよ。櫻はああなったら実験したくて止まらんです。』ヒロの呆れた声が聞こえた。


「いのちながく のびさいわい まどかにしてーー。」


『騎士団は、前へ!結界を張れ!全力で結界に魔力を注げ!田中君も魔力をこめろ!』三条さんの慌てた声が聞こえる。


そこへ、足の氷を溶かした徳田さんがやってきた。


「ちと肝が冷えたが、まだまだだなぁ…。」そう言って抜刀の構えをする。


もう、詠唱が終わる。私はニヤァと自分でも笑うのがわかった。


「かしこみ かしこみ もうす。」両手に集まった雷を徳田さんに撃ちつける!


黒い手袋が雷鳴で破けるのが見えた。


「天昭!」徳田さんも炎魔法で雷を撃ち迎えた。


「絶対零度ぉ!」私はそこにダメ押しで氷魔法を叩き込む!


徳田さんから不敵な笑みが消えて驚愕した顔が見えた。


炎と雷それに吹雪が混じりとてつもないパワーが生まれた。


急激な温度変化で空気が渦巻き炎の竜巻が起きる。


氷が溶けたと思ったら冷やされ拳だいの霰が地面を撃ちつける。


空は青白く、そして、赤紫に点滅するようにスパークし、稲妻が走る。


地面は地層がはっきりと見えてきた。もう、ここでは生きている草花はいない。


岩が土煙のように舞い上がる。


その岩を避けながら徳田さんに近づく。徳田さんの方が面積が大きいから風に煽られている。


その滑稽な姿にハサミで斬りかかる。


刀でなんとか応戦しているが、暴風と炎と雷。そして、雪によって思うように反撃できない様子だ。


そして、この状況で高火力の魔法は使えまい。


よし!私の勝ちだ!


あとは、持久戦!


「ーーーそこまで!」天を貫くような涼やかな声が聞こえた。


そうして、私たちの魔法が櫓の方に吸い込まれていく。


帝が神器の鏡を使って魔法を鏡に閉じ込めている。


周囲の雲が晴れて、明るくなる。


帝が飛行魔法でこちらにくる。


「櫻子……徳田………周囲を見渡してみよ」そう帝が仰る。


私は、ゆっくりと辺りを見渡す。


見渡す限りの更地だけが広がっていた。わずかに残った黒い岩の破片だけがところどころに転がっている。


あ……あれれ?山はどこにいっちゃったのかなぁ?


「其方(そなた)らには、九条と一緒に話がある。櫓へ来たれ」そう言って御自ら飛行魔法で帰っていった。


しくじった……。


また、私はしくじった…。あぁ〜、次はどんな罰だ?


そんなことを思いながらよろよろと飛行魔法で櫓を目指した。


「最後に氷魔法でダメ押ししたのは櫻子君だからな!」徳田さんがそんなことを言う。


「私を煽ってきたのは徳田さんではありませんか!?」思わず言い返す。


『どっちもどっちだから!早く櫓へ来い!』九条さんの怒鳴り声が通信で入った。


………。


………。


我々は、よろよろ飛びながら櫓を目指す。


私は、仔牛が売られていく歌を思い出す。


ドコドコドコ〜♩処罰されるよ〜♩


ドコドコドコ〜♩黙って耐えよう♩




◇◇◇



あの後、櫻はみっちり説教を喰らった。


その後、数日間ずっと落ち込んでいる。


そして、賭けは引き分けと言うとこでお互い半々で罰ゲームをすることになった。


昼間は櫻の言うことを聞く、そして………。夜は櫻が俺の言うことを聞く約束だ。


今は、天六の大きな生活資料館の目の前にある喫茶店「かものはし」と言う店に二人でいる。


櫻はその店のプリンアラモードを爆食いしてる。


櫻が甘い物こんなにバクバク食べるの珍しいな…。こりぁ、相当苛立っていますなぁ。


「いつまで引きずっているんよ?」俺はタバコに火をつけて話す。


「だって…だって…。私がしくじったからヒロが開発した魔道具の特許…。有栖川宮殿下の手柄になっちゃったやん」櫻がスプーンを動かす手を止めて下を向く。


「えぇよ。それに結果よかったと思うで」俺が煙を吐きながら話す。


そんな所にミックスジュースが運ばれてきた。


俺は、ストローを使わず飲む。甘味の中に少し酸味がある。懐かしい味だ。


「なんでそう思うんよ?キックバックだって………。殿下がかなり譲ってくれたけど。3割も殿下やし」櫻がスプーンでホイップクリームをもふもふと叩いてる。


おいおい、公爵令嬢がどうしたよ………。


そして、目の前の櫻はどっからどう見ても大学生だ。


黒のクロップトタンクトップにオーバーサイズの薄手のシャツを羽織っている。


そこに黒みが強いカーゴミニスカートに黒いキャップ。


あぁ、天六でこんな格好の女連れていたら、また職質されるで………。


俺も今日は、考えられるだけ若造した。オーバーサイズの白Tに黒のワイドカーゴパンツ。


ハミルトンの腕時計は外してきた。伝達者を示すバックルだけだ。


櫻も同じバックルをしている。カップルでお揃いって思われるんやろうか?紋様が微妙に違うんやけど…ターコイズ色の魔石は同じだ。


「物って言うのは上から流れてきた方がええ。皇族が推奨した方が魔道具も広まりやすいやろ」俺は、意識を目の前の櫻に向ける。


「どういうこと?」櫻が眉を顰める。


「だって、今まで庶民が魔道具使ってるの知らんかったやろ?櫻は」


頷く櫻。顎に手をおいて、少し考えてる。


「そういうことか……。」櫻が気がついたようだ。


「そ、皇族とか特権階級が使わん限り、その下の華族は使わん。今回、かなり好条件やと思うで、処罰になっとらん」そうして、俺は櫻からスプーンを奪うとプリンアラモードを少し食べる。


「私のプリン!」櫻がむくれる。


「ええやん。俺の魔道具で経済問題が少し解消されそうなんやから」


「そんなことを言ったら私の魔法の研究論文も売れましたぁ」櫻が顔にシワを寄せながら話す。


「まぁ、今日は息抜きや。最近なんかバタバタしすぎや」俺がプリンアラモードを食べながら話す。


「そうやね。そっちもちょっと頂戴」櫻がストローを出してミックスジュースを飲む。


「あぁ、なんか苦手。甘いのに少し酸っぱくて」櫻がそんな感想を言った。


「じゃ、飲むなや」


「出会いたいんだもん。私の口に合うミックスジュース」そう言ってプイッと横を向いてしまった。


そんなアホな会話をして喫茶店を出た。


出てすぐに待ち構えていたかのように警察が居る。


こちらに真っ直ぐ向かってくる警察官。


「お兄さん!お姉さん!ちょっとええ?」聞き覚えのある声。


顔を見る。豊富さんだった……。


なんやねん…。近くに伝達者がいたらわかるシステムがネックやな。


毎回デート邪魔されたら世話ないで。


しかし、認識阻害魔法を声にかけながら豊富からこんなことを言われた。


「櫻子はんたち、悪い。これちょっと追ってくれへん。」組んでる警察官にわからないように手渡された紙。


俺らバディの目が静かに光った。

しれっと更新時間変えました。



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