第五十七話 力の恐ろしさ
『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜
主人公櫻子とヒロの出会い編スタート!
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時系列
〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜
〜英雄の誕生〜 ←鬱展開あり閲覧注意
〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜
私たちバディは冬馬班と離れて豊富班の様子を見るべく離れたところで潜伏している。
右手を動かして魔法陣を展開した。それを見てヒロが驚く。
「それヘラスや聖ルクスの魔術師が使うやつやん。大和で使っているの初めて見たんやけど。」
「華族学校でも習うんだけどね。実用的と思わない人の方が多いんよ。今回、ヒロに言われて私なりに勉強したんや。」
そうして、ヘリオス神やヘカテー神から少しお力をもらう。
魔法陣に頭上から見た豊富さんの様子が映し出される。
音声はザッザザーとして不安定だ。
「まだ、音声までは不安定やな…。これが出来るなら論文あげて軍で使える様にしたいんやけど。」
「あんた、いつ寝てるん?」そんなアホみたいな質問がダメ狐から聞こえてきた。
「寝てるやろ。普通に…。隣で。」
「なんやて!」そこに三条さんの声が聞こえてきた。
しまった通信切るの忘れた。
「櫻子君!それは、本当か!赤飯炊かなあかんなぁ!」
何がめでたいんだよ!
「言葉が足りませんでした。隣の部屋で寝ているです。」そこで通信を切った。
「俺を殺したいのか?櫻は。」
「ごめんって…。それより、豊富さんや。一ノ瀬さんにどれだけくらいつけるかやな。場合によっては応援に行こう。」そう話す。
「いや、信じてええと思うで。」そう、ヒロが飄々と話してきた。
「根拠は?」ヒロの顔を見る。
ヒロのことだがら適当なことは言わない。
そんなことをしたら戦場では命取りだ。
「相手を見てわかるが…。魔力量がほぼ互角やからや。」ヒロが意外なことを言ってきた。
「魔力量が互角?一ノ瀬さんの方が魔力高いんじゃない?」私が尋ねる。
「見た感じそんなことないで。」ヒロが映像を見ながら話す。
「多分、豊富さんはビビっていただけやと思うわ。初めの一突きが出来なかったんやろ。」そう言ってヒロはナイフで刺すジェスチャーをした。
「ふ〜ん。」そんな感想しか出ない。
初めに殺した相手なんて覚えてない。
ただ、成功したしか思わなかった。
「櫻は?」おもむろにヒロが尋ねてきた。
「初めの一突きってやつ?」私はヒロの顔を見た。
その目に少し憂いが滲んでいる。
「正直な話…。覚えてない。成功した。それだけしかない。」ヒロに取り繕ったり誤魔化しても無駄だ。
この前そう感じた。
ふっと笑ったと思ったら
「櫻もこっち側やな。俺もそんな感じや」そうヒロが言う。
その横顔を見る。安心した様な顔だ。
ロッキーがいたらなんて言うやろう。
それよりも豊富さんや。
「今度ミューズの力も借りれたらいいかな…。そうなったら発動にかなりの魔力がいるから力技になってまうしな…。」そんな事をぶつぶつと話す。
ヒロがマジックバックをゴソゴソし始めた。
そうして、コウモリ型の魔道具を出す。
「可愛い♩それ何なん?」
「盗聴用の魔道具。壁の耳が手に入ったからそれ使うたんや。」
「あんなキモいもんからよくこんな可愛い魔道具作るわな。それにヒロが作る魔道具って可愛い動物多いな。」私はコウモリの頭を撫でながら話す。
「動物の方が街中で擬態しやすいのと特性考えて作っているんや。」そう言ってコウモリを飛ばした。
「これで、音は拾える。」そう言うとイヤホンの片方を私に貸してきた。
私はイヤホンをするために体を少しヒロに近づける。
お尻がサワサワと撫でられる感覚がする。
「演習中ですけどぉ!ダメ狐!」思いっきり睨む。
「いやぁ、そこにケツがあるから。」ニヤリと笑うヒロ。
「一度、一ノ瀬さんに瘴気抜かれて来たらぁ?」私が挑発的に言う。
「ええんか?」ヒロが真顔で聞いてくる。
え…。そんな真剣な顔やめてや…。
「……嫌や。」そう小さく言う。
「とっ!ともかく!演習に集中して!今は、豊富さん!」
私は、耳が赤くなるのを感じながら映像に集中する。
私らがごちゃごちゃしていたらどうやら豊富さんは一ノ瀬さんと対峙したみたいだ。
イヤホンから衝撃音が聞こえてきた。
映像を見ると一ノ瀬さんが容赦無く豊富さんを弓で撃ってる。
しかし、おかしい。
豊富さんが反撃しない。
「櫻、この映像移動できやん?」ヒロが尋ねて来た。
「出来るけど…。一回、広くみようか。」そう言うと私は、見える範囲を広げた。
一ノ瀬さんは姫輿から立ち上がり豊富さんを撃っている。
「このコンカフェ嬢の斜め後ろ写して、俺もコウモリそっちに向かわせるわ。」
コンカフェ嬢って…。
本人聞いたら大激怒するで…。
自称最も美しい軍服姿なのに…。
そして、大和で最も美しい戦乙女なのに…。
私は、映像を動かしながら注意することにした。
「ヒロ…。そのコンカフェ嬢って本人の前で言っちゃいけないからね。一ノ瀬さんは大和で最も美しい戦乙女なんだから…」
「はぁ?」ヒロが信じられない物を見るような目で私を見た。
「誰が言ってるんよ?」ヒロが尋ねてくる。
「………本人が」
ヒロが呆れてこっちを見てきた。
そんな目で見ないでくれ、私は悪くないやん!
そうしてニヤァと笑ったら
「煽るネタできたわ。櫻おおきに」と言われてしまった。
やめてくれ!変な争いを生まないでくれぇ!
「ひっヒロ。あんまり、厄介な人に関わらん方がいいからね!」私が注意する。
「関わらんよ。近づいてこない限り。お!ここ!そこアップにして。」ヒロが話す。
ヒロの指示通り拡大する。
そこには豊富さんがいる。
認識阻害魔法をかけているが私たちにはわかった。
豊富さんが合図を送る。
豊富家の側仕えが一斉に輿を担いでいる男を攻撃した。
体勢が崩れる姫輿。
一ノ瀬さんの驚いた顔が見えた。
そこに豊富さんが槍を撃ち込んだ。
しかし、内乱経験者。
すぐに地面に移動し、体勢を整え近接戦の鞭を出して攻撃し始めた。
『あらぁ、豊富君。私と直接遊びたいの。』そう不敵に笑いながら鞭を振り上げ風魔法を繰り出す。
身体強化魔法をした豊富さんはそれを簡単にかわした。
一ノ瀬さんが驚いた顔をした。
「へぇ〜やるやん。」私がそんな感想を漏らす。
「やろ。」そう言って不敵に笑うヒロ。
なんで、ヒロが嬉しそうなんだ?
でも、ヒロに華族のいい友達が出来たのかもしれない。
そんなヒロに横顔を見る。
「なんや?」ヒロに睨まれる。
「なんもない。」私は自分のにやけた顔を取り繕って映像を見る。
一ノ瀬さんの攻撃をかわしながら槍を突く豊富さん。
でも、何かがおかしい。
「なんで、ここって時に撃たないだろう。」私がそう漏らす。
「魔道具持ってへんからやろ。豊富さんは余裕やけど…。あれだけドカドカ大技撃っていたコンカフェ嬢は…。ほれ見ろ。」そう、ヒロに言われて見ると一ノ瀬さんの表情が苦しそうだ。
『そろそろですかね!魔力が尽きる前に降参したらどうでかぁ〜。』イヤホンから豊富さんの声が聞こえてきた。
『はっ!この程度!』そう言うと一ノ瀬さんは自衛官の元へ行った。
「あかん!こちら伊達!豊富さん!一ノ瀬さんを止めて!」私は通信を入れて指示を出す。
すぐに豊富さんが反応して切り掛かるが他の自衛官が邪魔をする。
その間に一ノ瀬さんは一人の自衛官の所へ行き。
その自衛官に深い深いキスをする。
自衛官が恍惚そうに目を潤ませると目をカッと見開きもがき苦しみはじめた。
ヒロが口に手を当てる。
「ヒロ!見やんといて!」
そうやって映像を切って通信も切った。
ヒロの額から汗が吹き出している。
その大きな体が小刻みに震えてる。
私はヒロのイヤホンを耳からとる。
反射的にヒロを抱きしめる。
「大丈夫やから。大丈夫。」
私は………見たことがある。
社交会でまだ尊術波が、一掃される前だ…。
ーーーーー。
「やめてください!ごめんなさい!」幼い子が懇願している。
「これをな。こうやって。このモノに口をつけるとな。」公家の男が子供の首筋に口をつける。
「あぁぁぁ!」白目になって倒れる子供。
「魔力を吸い出すのだ。庶民のくせに魔力が高いなんと無駄だ。我々が吸い出して大和のために使おうぞ。わかったか。」
「はい!」そう言うと私以外の子供たちが獣のようにその子供に群がり魔力を吸い出しはじめた。
初めはもがいていた子供も最後には、まるで萎びた野菜の様になり息絶えた。
「伊達殿。そなたもやりなさい。幼き頃にこのようにして魔力を吸収すると魔力量が増えるのだ。今日の授業をしっかり受けんとお父上も悲しむぞ。」そう言って狩衣を着た男が私に話しかけてくる。
嫌。絶対これはおかしい。
「わっわたくしは…。」そこで、小柄の男の子が目に入る。
面長で目がくりっとした子だ。洋服を着ている。絶対、庶民だ。
その子が震えながらこちらを見ている。
「わたくしはこの子と遊びとうございます。」そう言うとその子の手をとる。
「斎賀様、わたくしにはこれで失礼します!」そう言って座敷を飛び出した。
この子だけでも逃がせないかと…。
名も知らない子の手を取って走った事がある。
ーーーーーー。
【ぽんぬ家】
ぽんぬ「闇をねぇ…。ぶち込みたいんよ。そしてねぇ。闇を打ち込むと字数が増えるんだよ。」




