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『菊理姫様!お導きを!』〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜  作者: ぽんぬ


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第四十九話 99%と1%の怪物

『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜

主人公櫻子とヒロの出会い編スタート!


毎日18時更新!


時系列

〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜

〜英雄の誕生〜 ←鬱展開あり閲覧注意

〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜

三条家に西軍のメンバーが集まる。


私は、小野兄妹に軽くヒロを紹介した。


「こちら、小野冬馬侯爵(おのとうまこうしゃく)様と友香里(ゆかり)様。」そう私が紹介すると、二人が静かにヒロにお辞儀を返す。


冬馬君は、少し癖のある黒髪を揺らしながら頭を下げた。


柔らかな目元に浮かぶ笑みは、いかにも人当たりがよさそうだ。


その隣の友香里ちゃんは、兄より小柄で、ふわりとした黒髪を肩に落としている。


丸みのある可愛らしい顔立ちで、華族令嬢らしい上品さがありながら、妙に親しみやすい。


「冬馬君、友香里ちゃん。こちらが私のバディの田中大夢(たなかひろむ)君です。」ヒロも二人に静かにお辞儀をした。


よしよし。訓練の成果が出ているな。


「櫻子さん。バディじゃなくて彼氏ですよね?」友香里ちゃんがぶち込んできた。


「だからね…。男女ペアのバディをね。カップルにしようとしないでね…。」私がぐったりと話す。


華族学校を卒業して外宮の法務大学に通っている彼らからしたら私たちは面白く見えるのだろう。


「そうですかぁ。めっちゃ櫻子さん可愛くなったやないですか。私、櫻子さんが白黒以外の服着てるの初めて見たかも。」友香里ちゃんの追撃が止まらない。


「それに櫻子さんのバディこんなに長く組んだ人いないですよね。」冬馬君までぶち込んできた。


何なんだ!この双子の兄妹は!


「揶揄うのその辺にしぃや。」また丸山さんが楽しそうに笑ってる。


その隣でちょっと悲しそうな豊富さんが私たちを見てる。


今日は、フォーマルだけど少しラフな格好だ。


チェック柄の大きめのテーラードジャケットに淡いブルーのブラウス。大きめの黒いリボンをつけた。そこに黒のショートパンツを履いている。髪は編み込みをして高めのポニーテールにした。同じく黒いリボンをつけた。


ヒロがリボン可愛いってよく言ってくれるから。


そして、ヒロは上品な黒のスラックに淡いブルーのシャツ、胸ポケットの縁にチェック柄が入っている。

ボタンを1つ外して襟元をラフに開けている。腕にはハミルトンの時計に革のマジックバッグを肩から下げている。


格好が私の護衛だ。


「でも、二人でリンクコーデとか仲良しすぎますよね。」冬馬が私たちをぶった斬る!


「偶然です」


「偶然や!」


ヒロと私の声が重なる。


「ひゃー!もう!やめたれや!」丸山さんがテーブルを叩いて笑う。


三条家から会議はこれを着てきなさいって言われて戦闘服と一緒に送られてきたんだけど…。


はめられた?


そこへドアが静かに開いた。


三条さん達が入ってくる。


私たちを見るとニヤリと笑う三条さんと葵さん。


この兄妹も何やねん!


そうして、会議が始まった。




◇◇◇



西軍と東軍が一個小隊を作って各陣を守りながら相手の陣を落とす。


ゲームみたいな演習やな…。


各分隊は小隊長1名に分隊9名編成の分隊が4分隊。


それぞれ、37名か。


小隊長は、櫻、丸山さん、豊富に冬馬。


そして、三条さんは隊長ってわけか。


気になることを話す。


「他のメンバーはどんな人達なんですか?」三条さんに話す。


「私の家の者とヒーラー、それに櫻子君と豊富君の恩師が一人。まぁ、この方は見学だな。魔道具を使った戦い方を見たいらしい。」


「塹壕を掘れるメンバーはどれぐらいいますか?」俺が尋ねる。


「………塹壕?」櫻がこてんと可愛く小首を傾げた。


可愛いだけだと死んでまうやろ!


「あのなぁ…。魔道具はある意味ハイテク機器や。塹壕を掘って敵の位置を把握。そして、高火力で撃つんや…。外宮の魔法を使わん戦闘員も塹壕掘るところから始めるんよ。」


「どうやって戦っているんよ?魔術師は?」俺が櫻に聞く。


「索敵して、相手と会ったたら戦う。」櫻が話す。


「敵将の場所の把握は?」


「それは偵察部隊がするよ。でも、あまり当てにならないかな…。」


偵察が当てにならんって何やねん。


「………戦い方が戦国時代やで…。はっきり言って。」俺がそんな感想を言う。


大和は平和だが、これ他国に攻め込まれたら一瞬で壊滅や。


内乱が泥沼化した理由がわかったかもしれん。


俺はメモを出す。これは塹壕を簡単に掘れる魔道具が必要や…。


「それと通信機器はどうしてますか?」俺が尋ねる。


丸山さんが骨董品レベルのトランシーバーを出してきた…。


「100年前の第二次世界大戦から止まっているんですか…?内宮の軍事事情は…?」項垂れた。


もう、俺の力だけでは無理だ。


俺は、マジックバックからPCを出した。


そうしてステイツの裏サイトで軍用魔道具のページを出す。


「櫻、モニター繋いで。」櫻に声をかける。


櫻がマジックバッグからモニターを出した。


「すごっ!そんなに容量入るんや。」豊富が感心する。


「これぐらいの容量庶民でも手が出ますよ。知らんのですか?」俺は豊富を見た。


首を横に振る豊富。


櫻もお嬢様だったけど豊富さんもボンボンよなぁ。


まぁ、華族が魔道具買わんから安く手に入るけど…。作っている方は買い叩かれてるんよな…。


櫻がモニターを準備してくれたのでPCを繋ぐ。


「いいですか?これがステイツの軍から流れてる魔道具です。傭兵でも買えるレベルの当たり前の装備ですね。」


そう言って通信や索敵する魔道具をモニターに移す。


次に俺が持っている現物も見せる。


「可愛い!ネズミ型なんや」友香里が索敵の魔道具を見てそんな感想を持つ。


「ネズミなら市街地でも森でもおるからですよ。他にG型の最新バージョンあるんすが、キモいので買ってないです。」


「私もGは嫌や。三条さん…買うならネズミさんにしましょうよ…。」友香里がそう、三条さんに振る。


「通信機器だが…。科学との違いは?」三条さんが冷静に聞いてくる。


「科学ではキャッチできません。科学の通信機器は通信をキャッチして解析されたら終わりですが、魔道具の通信はそれが少ないです。」


「少ない…と言うと?」


「高度な魔力探知と細部の解析ができる魔術師は相手の通信をキャッチして情報を盗み聞くことも可能です。フランシアなんかはそんなのが得意ですね。エルフが協力しているんでしょう。」


「エルフが人間に協力しているの?」櫻が驚いて尋ねてきた。


「噂だけどな。でも、そうじゃないと通りが通らん。」そう説明する。


「なるほどなぁ…。」三条さんが考え込む。


「田中君は今の話を聞いて我々がこれらの魔道具を使いこなせたら…。東軍にはどれぐらいの確率で勝てると思う?」


「99%やと思いますよ?相手がよっぽどの化け物でない限り。」俺が答える。


櫻も考え込む。


「1%の確率があるな。」櫻が低い声で言う。


「そんなバケモンおるか?櫻も三条さんも強いで…。」俺が呆れながら答えた。


「おる。一人。中央騎士団特殊編成部隊「オロチ」の隊長。徳田恒一(とくだこういち)」


櫻が真剣な声で言う。


櫻がそんな風に言うという事はかなり強いな…。


「やるにしても…一回練習したいな…。」三条さんが呟く。


現在は7月末。演習までは時間がない。


「全員まとまっては無理やないですか?」俺が答える。


櫻も考え込む。


そうしてにぃと笑った。


あ!これは碌でもないこと考えてるで…。


「大夢君…かくれんぼは好きだろう?」櫻の目が光った。


なるほど…そういう事か。


「えぇ、大好きであります。櫻子姫様。」俺も笑い返す。


小野兄妹と豊富が震え出した。


「みなさん、私たちバディとかくれんぼをして遊びませんか?紀州巡礼道で。」櫻が両手を合わせて小首を傾げる。


そして、可愛らしい声でそうみんなを誘った。


三条さんと丸山さん以外は震えていた。


「大丈夫ですわ。うちのヒロが身代わりの魔道具を持ってますの。死にはしませんわ。死ぬ思いをするだけですの」そう続けてニヤリと櫻は笑った。

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