第四十二話 「「バディです!」」
『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜
主人公櫻子とヒロの出会い編スタート!
毎日18時更新!
時系列
〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜
〜英雄の誕生〜 ←鬱展開あり閲覧注意
〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜
内宮の夜の空は星々の他にオーロラのような淡い緑色の光が煌めいている。
兎の亜人がバニーガールの姿で客引きをしている。
人々の間を縫うように歩く。
化け猫が足元を駆け抜ける。それを人面犬が追いかけていた。
この前のコーヒーショップへ入る。
今回は、ヒロもためらいがない。
我々は前回と同じ個室へ入る。
「神辺でも失踪事件が増えてきてな。」そこで丸山さんが切り出した。
「神辺でもですか?」私が尋ねる。
「あぁ、若い男女がな。」
「紀州の時の女でしょうか?」
「わからん。わかっているのは『ENISHI』ってマッチングアプリや。」
「動画見ていたらよく広告流れるアプリですよね?」ヒロが尋ねてきた。
「私は見たことないで。」
「櫻子姫様には刺激が強い方の動画や。」ヒロがサラッと言う。
「ダメ狐!そんなこと今言うなや。」
「合法ロリババアが聞いてきたんやろ。」
その様子を見て笑う丸山さん。
「もう、真面目に捜査しよーや。ヒヒ。」
そこへコーヒーが運ばれてきた。
店員が出ていくと丸山さんが話を続けた。
「立て続けにエニシを入れて『マッチした人に会いに行く』と言った男女が今月だけでも4人失踪している。」
「それは、多いですね…。」私が答えた。
「俺らもそのアプリ入れて怪しい奴を炙り出すのが早ないか?」ヒロが提案する。
「そうやな。丸山さん失踪者が会う予定の男女の特徴はわかりますか?」
「すまん。それは、わからんのや。」
それもそうか…。
「とりあえず、その『ENISHI』ってアプリ入れてみようや。」
そう言って、アプリをインストールした。
「18歳以上ですか。」で“はい”を選択。
プロフィール写真?どうするかな…。
「プロフィール写真どうしよう?」自分の写真なんて撮ってない。
一つ、この前のデートの写真が目に止まる。
トイレの前で待っていてくれたヒロの写真だ。
スマホを見ながら壁に寄りかかり、脚を交差させて待っている。
片手をパンツのポケットに無造作に入れてスマホを持っている姿をなんとなく撮ったやつだ。
後ろのレンガ調のタイルもおしゃれだなぁってなんとなく撮った写真だ。
「ヒロのプロフ写真これにしたら?」
私が写真を見せる。
「………。」ヒロがその写真を見る。
「いつの間に撮ってたん?」
「まぁ、なんとなく…。」
「じゃ、櫻はこの写真やな。」そう言って一枚の写真を見せてくれた。
神辺タワーから景色を見ている私だ。
「…………。」
「いつの間に撮ってたん?」私が尋ねる。
「もう、お前ら付き合うてるやろ!」丸山さんがお腹を抱えながら笑い出した。
「「バディです!」」私とヒロの声が重なった。
「ヒー!はいはい。バディねっ。」丸山さんが笑ってる。
「もう、笑わせんといてなっ。はぁ。」そこで息を整える丸山さん。
「さて、冗談はここまでにしてや。取り敢えず登録は終わったか?」
「あ!櫻!ここのプロフ馬鹿正直に入れちゃあかんで!」ヒロが私に注意してきた。
「捜査なんやから当たり前やろ。」私がヒロを睨む。
「大学生にして暇してます!遊びましょう!って書いておけ!」ヒロが言う。
「大学生はサバ読みすぎやろう?」私が答える。
「いや、櫻子さんならいける。」丸山さんもヒロの味方してきた。
じゃ、20歳にして大学生。名前は…。自分のネックレスが目に入った。
『鏡花』
「こんなんでいいかな?」私は丸山さんとヒロに見せる。
ニヤリと二人が悪い顔になった。
ヒロがプロフをいじっている。
「これ、やりすぎっすかね?」ヒロが丸山さんにプロフを見せた。
「いやー、これはあかんやろ。貸してみ。」丸山さんがプロフをいじる。
二人で何してんねん!
「これでどうや。」丸山さんがヒロに見せる。
「おじさん構文すぎますって。」ヒロが吹き出す。
「二人で何してんねん!」そう言って私は二人からスマホを取り上げて自分のプロフを見た。
【名前・鏡花
20歳・大学生(大学帽の絵文字)
はじめまして〜(ニコニコ絵文字)
プロフィール見てくれてありがとう(キラキラ)
普段は大学に通っています(本の絵文字)
休みの日はカフェ(コーヒーの絵文字)とか、映画(映画の絵文字)を見たりしてます。
最近、夏休みに入ってちょっと寂しいので、気軽にお話しできる人がいたら嬉しいです(ハート)
優しい人が好きです(ニコニコ)
年上の人も全然OKです(ニコニコ・キラキラ)
仲良くなったら、一緒にご飯とか行きたいな(パスタの絵文字)
夜のドライブなんかも楽しそうですね(車が発信しているような絵文字)
まずはメッセージくださいね(ウインク)
返信、待ってます(ハート)】
「………。」なんだ?このプロフ…。
そして、映画は「観る」ものだ…。「見る」ではない。
「最近の若い子ってこんな感じちゃうん?」丸山さんが楽しそうにタバコを出した。
「いや、おじさんすぎますって。」ヒロもお腹抱えて笑ってる。
「そんなこと言うヒロはどんな感じなんよ?」そう言ってヒロのプロフを見る。
【名前・ロッキー
28歳・会社員
気軽に会える人探してます。
面倒なやり取りは苦手なので、仲良くなったら早めに会いたいです。
お互い干渉なしで。気が合えば長く続けられる関係が理想。
恋人探しではありません。
割り切った関係を希望しています。
年齢はあまり気にしません。
まずは、メッセージください。】
このダメ狐。捜査のついでにもう一人セフレ募集してない?
私、結構頻繁に相手してるのに…。
え?性病とか嫌やな。
丸山さんがヒロのスマホを覗く。
「田中!お前!彼女おるのにもう一人欲しいんかっ!」丸山さんが手を叩いて笑う。
「そんなんやないですって!」ヒロが否定する。
ほんまかいな。
「でも、めっちゃリアルや。これは釣れる。田中慣れてるな。」丸山さんが笑いながらタバコを吸う。
そうして、マッチングアプリを登録した。
もちろん、私のプロフィールは修正した。
「これで、あとは待つだけやな。」丸山さんがタバコを灰皿に押し付ける。
「そうですね。」
ヒロがスマホをテーブルに置く。
私もスマホを置いた。
私もタバコを出して火をつける。
本当にこんなことで失踪事件の手掛かりを掴めるのだろうか?
ーーーピコン。
私のスマホが鳴った。
「……?」
画面を見る。
一件のメッセージ通知。
【マッチしました】
「……マッチした。」私が呟く。
「早っ!」丸山さんがコーヒーを吹き出した。
囮プロフ考えるのめっちゃ楽しかった。
そして、時代背景的に2016年のお話しなんですが、丸山が作った櫻子のプロフって当時のマッチングアプリに溢れ返っていたような気がする。そのままの感性で10年過ごしているからおじさん構文が作られたような気がする。
まぁ、でもこの物語はファンタジーなので。




