第四十一話 「「任務です!」」
『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜
主人公櫻子とヒロの出会い編スタート!
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時系列
〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜
〜英雄の誕生〜 ←鬱展開あり閲覧注意
〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜
丸山さんから失踪事件の手がかりを掴んだ。
そう連絡が入ったのは、7月末だった。
できれば表向きの仕事との調整がしやすい夏休みを使ってこの事件を一気に解決したいな…。
丸山さんから得た情報をもとに、今日は現地で話を聞く。
そう思いながら神辺に向かった。
今日は、神辺に馴染みやすいように私服で来ている。
私は、薫さんと一緒に買いに行った服を着てる。
アイボリーのふんわりとしたブラウス。Vネックになっているからヒロに貰った桔梗のネックレスをつけた。それにハイウエストのベージュのミニスカート。赤い差し色のチェックがかわいい、靴はストラップつきのローヒールサンダルにした。
ヒロも夏らしく白シャツにオリーブ色のカーゴパンツだ。ボディバッグ型のマジックバッグを持っている。
ヒロの隣を歩く。
私の鞄は普通の鞄だ。その中にマジックバッグを入れてる。
「ヒロのバッグいいなぁ。」そんな呟きをする。
「何が?」
「私は、服装に合わせてマジックバッグないもん。」
「えぇやん。櫻のマジックバッグはかなり高級で小さいからその鞄の中でも入るんやろ?」
「そうやけど…。いざってなったとにき鞄二回開けなあかんやん。」
「そん時の時間稼ぎは俺がするから大丈夫や。」
そんな感じで丸山さんとの待ち合わせに到着した。
ヨンプラの二階、渡り廊下の間にある港のサーティーン広場。
「ちょっと、お兄さん。時間いい?」振り向く。
制服を着た警察官がヒロに声をかけてた。
「なんですか?」ヒロが答える。
「お姉さんはこっちの方でお願い。」もう一人の警官に呼ばれる。
素直に従う。
「お姉さん、高校生?もうすぐ日が暮れるから帰った方がいいで。」
私は免許証を出す。
「え!え!」免許証と私を見比べる警官。
「ちょっと番号確認するから待っとって。」そう言って何やら無線を入れる警官。
「あの…。」
「ん?どうしたの?」目が笑ってないが愛想はいい。
「座っていいですか?」そして、タバコを吸ってイライラしてるヒロの方を見る。
「私もタバコ吸いたいので。」
「お姉さんは、ちょっと待って。」
なんでよ…。
「じゃ、座るだけ…。」
「それならえぇで。」警官の許可が出たのでヒロの隣に座る。
「お兄さんとお姉さんどんな関係?」ヒロの前にいる警官が話す。
「彼氏彼女です。」ヒロがぶっきらぼうに話す。
「彼女さんの親御さんから同意はもらっているの?」
「私、未成年ちゃいます…。」タバコ吸いたい。
「えぇ、若く見えるで…。」警官が話しかけてくる。
そこに無線で確認を取った警官がきた。
私に免許証を返してくる。
「確認取れました。ほんまに29歳なんですね。」警察官が話す。
もう一人がギョッとする。
「タバコ!吸ってもいいですか?」私が睨みながらタバコを出す。
「ごめん。ごめん。僕たちもこれが仕事なんよ。協力おおきに。」そう言って警察官から解放された。
どっと疲れた。
「最近、職質多くない?」
「俺は、元から多い。」ヒロが煙を吐きながら話す。
「クククククっ!」そこに認識阻害魔法を解いた丸山さんが現れた。
「やっぱり、一部始終見ていたんですか?助けてくださいよ。」私が丸山さんに話す。
「いや、俺が出ていった方がややこいやん。捜査一課の刑事と待ち合わせなんて。どんなカップルやねん。」丸山さんが笑いながら赤ラークを出す。
「それで、櫻子さんいつ田中と付き合ったん?」丸山さんが尋ねてきた。
「ちゃいますよ。建前ですよ。友達って言うと逆に長いですよ。」ヒロが答えた。
「確かに田中は職質されてまうわ。殺気が違う。ハハハハ。それで、隣に櫻子さんやろ。女の子がなんかされると思うわ。クククっ。」丸山さんが笑いながらタバコに火をつけた。
「そんなに笑わんといてください。」私がむすくれながらタバコを吸う。
「で?君たちは今日は任務に来たの?デートに来たの?」丸山さんがなおも楽しそうに聞く。
「「任務です!」」私とヒロの声が重なった。
それを見てまた笑い出す丸山さん。
「もう、笑わせやんといて。」そう言いながらタバコを咥えて煙を吐く。
今日の丸山さんは意地悪だ。
タバコ一本分休憩した。
「ほな、行こうか。」
丸山さんが、吸っていた赤ラークを携帯灰皿に押し込む。
「ここから先は、ちょっと真面目な話や。」
そう言って、丸山さんが立ち上がった。
私たちも立ち上がる。
さっきまで笑っていた空気が、ほんの少しだけ変わった。
私は赤いチョークを出す。
鳥居を描いた。
空間が歪む。
その中に静かに入っていった。




