第四話 10札のために待つ男
『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜
主人公櫻子とヒロの出会い編スタート!
毎日18時更新!
時系列
〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜
〜英雄の誕生〜 ←鬱展開あり閲覧注意
〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜
俺は、本を何とか整理した。
が!何やねん!似た本ばかりありおって!
ホツマツタエと古事記・カナカナムナウタヒは何冊あんねん!
古語で書かれた物から現代和訳版、それに俺には分からん神代文字で書かれている物まであった。かろうじて古事記かも?ホツマツタエか?ぐらいしかわからん。
魔法の本もエグい量ある。
そこに教育書なども混ざっているからどう整理しよう…。
ロッキーにも手伝ってもらった…。
あぁ、一日潰れた。
イライラする。
俺は、寝ているアイツを見る。
毛布を握ってくるんと丸まって寝てる。
おっぱい触っていいやろか?
本を整理したバイト代だ。
俺は、アイツの胸に手を伸ばす。
ぱちっと大きな目が開く。
物凄い速さで裁ち鋏が俺の鼻先へ目掛けてくる。
咄嗟に間合いをとった。
「おっ俺や…!」
危なかった…。やっぱり、おっかない女。
「大夢君か…。どうした?」目を細めながらアイツが話してきた。
「本…本の整理が終わった…。」
おっぱい触りにきました。
なんて言えないから適当な事を言う。
アイツがハサミを下ろす。
そして気が付く。
神器か。
「それ、見してみぃ。」俺が手を出す。
「これは、私の神器だ…。これがないと私は丸腰ではないか…。」
「……。俺は、アンタのそれを手入れするのに雇われたんやろ…。いいから貸しいや。」
アイツが恐る恐るハサミを渡してきた。
俺は、ハサミを見る。
あぁあ。歯はボロボロ。
要ネジはゆるゆる。
「ボロボロやないか。これだと神器が可哀想やで。」
「……可哀想?」
「神器っていうのはな。持ち主とリンクしてんねん。こんだけボロボロってことはアンタだって…。」
ボロボロ。
そう続けるのをやめた。
勘違いされても困る。
チラリとアイツを見る。
自分自身をハグしている。
気味が悪いのか普通の小娘かどっちかにせい。
「二、三日預かるぞ。これはいざと言う時に壊れるで。」
「それだと!私に何かあった時にどうするのだ!」
「魔法でどうにかせいよ。魔術師なんやから。逃げるだけならできるやん。」
「それだと…。もしもの事があったら。」
「何よ。もしもって。」
「すべての事柄の最悪のパターンを常に想定して動く事で生き延びてきた…。」
へぇ〜。俺と似てるやん。華族の令嬢なのに…。
「その最悪のパターンの時に動かれへんねん。とりあえず預かるで。飯にしようや。」
「…え?」
あ!忘れていた。
「あぁ、嫌やったな。すまん。」
忌守と一緒に食事は嫌やんな。
「…違う。給食以外。誰かと一緒の食事が…久々で…。」アイツがポツポツ話す。
「……。」
「とりあえず、飯や。もう、惣菜買ってこよう。一緒にスーパー行くか?」
アイツがこくんと縦に首を振った。
ホンマ!調子狂うヤツやの!
◇◇◇
私たちは、歩いて近所のスーパーへ来た。
隣にいる男をチラリと見る。
隙のない男だ。
体術だと負けるだろうか?
最近、仕事が忙しいのと練習相手がいないから鍛錬を怠っている。
魔法の鍛錬はできても体術の鍛錬は出来ていない。
この男は練習相手に丁度いいかもしれない。
今日は、大夢も疲れているだろうから、明日提案しよう。
そうして、私達はスーパーの入り口をくぐる。
大夢は、慣れた手つきでカートを取るとカゴを乗せて押す。
私は、その行動が無駄に感じる。
ハイボールと弁当を選ぶ。
今日は魚にしようかな。最近、口にする物も疎かだ。
私が、弁当をカゴに入れると大夢がそっとそれを戻した。
「何をするのだ?」私が尋ねる。
「もうすぐ18時やで。」大夢が言う。
「だからなんだ?」
「値引きシール貼ってもらえるやん!」
「はぁ?」意味がわからない。
スマホを見る。
18時まであと5分。
辺りを見ると店員の周りをうろうろする客が何人かいる。
「大夢君。その5分を待つのか?」
「当たり前やろ!」
信じられない。
時間の無駄だ。
「この時間やから、2割引きやろか?この値段だったら肉を買って焼いて…。」
「あぁ、でも米がない…。」
大夢がブツブツと話している。
「おい!アンタ!」と私の方を見る大夢。
「なんだ?」
「家に米はあるか?」
「ない。」
「そうよなぁ…。」
項垂れる大夢。
それより時間の無駄だ。
「早く買って帰ろうではないか。これだと時間の無駄だ。」
「10札安くなるだろう!」
「その10札に5分迷う方が非効率だ。」
私は、内心イラついてきた。
吹雪をお見舞いしてやろうか?
「お華族のご令嬢には10札安いことを選ぶ偉大さが分からんのや!」
大夢が真剣な顔でクワッとこちらを見てくる。
あぁ、私の主神でいらっしゃいます菊理姫様……。
こやつとの縁を切ってよろしいですか?
世界観補足!
1札=1円
硬貨も5札・10札・50札・100札・500札あります。
紙幣は1000札・5000札・10000札
です。
しかし数字のルビを打つところが日本と違います。
10,000←このように日本だと千位からルビが現れますが…。
櫻子達の世界は
1,0000
万の位にルビが現れます。
櫻子達の世界は西洋の3桁区切りに合わせないで伝統的な4桁区切りを現代でも使っているのですね〜。




