第三十七話 黒い縁
『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜
主人公櫻子とヒロの出会い編スタート!
毎日18時更新!
時系列
〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜
〜英雄の誕生〜 ←鬱展開あり閲覧注意
〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜
書類が届いていたで。
そう、言われたので魔法で封を切り中身を確認する。
【田中大夢の内宮騎士団軍服製作の申請を却下する。
却下理由・平民の身分であるため】
私は、書かれている内容の意味がわからなかった。
却下理由が理由になっていない。
私だって今は公爵家を剥奪された一般人だ。
2枚目があるな…。
そっと書類を見る。
魔力を流さないと読めないようになっている。
私は魔力を流す。
【忌守を伝達者とするのはなんと穢らわしい。流石、外宮育ちで父も母もなりそこないになんぞになる者の娘だ。紀州の事件もでっちあげてないだろうな?早く引退してわしの息子の妾になれ。女のくせに戦場で勲章までとりおって。その高い魔力量を大和のために正しく使えよ。】
【防衛大臣 藤原昭正】
手が震える。
気持ち悪い。
吐き気がする。
「櫻?」ヒロが声をかけてくる。
2枚目の手紙をさっと燃やす。
「なんやったん?」ヒロの顔が厳しい。
「なんもない。」目を逸らす。
「あんな!一緒に生活してるんや。なんかあったのわかるで?燃やした手紙…。何が書いてあった。」
ヒロが私の目を見てくる。
切れ長の薄いブラウンの目が険しい。
そこに写っているのは何者でもない私のはずだ。
吐き気が込み上げてきた。
ヒロには悪いが口に手を当てて自室に籠る。
あ!1枚目の書類…。仕事部屋。
でも、震えて動けない。
アイツの息子は、最初から気持ち悪かった。
私を膝に乗せたがるし、ベタベタと触るし。
部屋に霜が降りる。
思い出したくない…。
◇◇◇
櫻が走って行ってしまった。
あの手紙はなんだったんだろう?
俺は、ため息をついた。
たまにメンヘラになるのどうにかならんかな?
床に落ちた1枚目の書類を見る。
【田中大夢の内宮騎士団軍服製作の申請を却下する。
却下理由・平民の身分であるため】
いらんよ。そんなの。
櫻の魔力が部屋から溢れてきた。
これは、やばい!
櫻のカバンが目に入る。
俺は悪いと思いながらも神器を取り出した。
憎悪と悲しさでハサミが凍りつつある。
「本当はあかんのだけどねぇ。」
俺はゴーグルをつける。
ハサミに絡まっている縁を見る。
一つ、真っ黒で粘ついた縁を見つけた。
「これやな。」
その縁に魔力を込めた。
そうして目を瞑る。
座敷
櫻が縛られてる。
「おやめください!藤原公!お戯れがすぎます!」
櫻の髪の毛はグジャグジャだ。着物も着崩れている。
今より若い。中学生か…。下手したら小学生に見える。
櫻の前にはでっぷりと太ったおっさんが半裸で近づいてきてる。
「良いではないか…。其方の元婚約者は子を作ったと言うぞ。其方も作れよう。」
櫻が小さく悲鳴をあげて男から逃げようとする。
「わ、わたくしはまだ成人しておりません。佐竹は恋愛して学生結婚しただけです。」
「でも、初潮はきておるだろう?」
そう言って櫻の足を持ち上げる男。
「キャー!」
「初いの。今から可愛がってやるからなぁ」そう言って櫻の足を撫でる男。
これは…。でも、なんで魔法を使わない?
俺は、畳の下を見た。
魔力封じの陣が描かれてる。
え?櫻は処女だったぞ。
男が全裸になる。
ちっさ。
え?どういうことや?そういうことか?
男が櫻の顔に自分の顔を近づける。
櫻の頬を舐める。
「ヒィ!」
そこにスパンと襖が開いて。
緋色の軍服を着た俺ぐらいゴツいメガネをかけたおっさんと細身だけど筋肉質の魔眼のオッドアイのおっさんが入ってきた。
「私の娘に何をしてる。藤原公。」緋色の軍服を着たおっさんがブチ切れ気味に刀を向ける。
その神器を見て驚く。
草薙剣だ。
櫻の親父ってあの伝説の伊達尚人なのか!
「伊達殿。継母がちゃんと娘に淑女教育しとらんぞ。男を立たせるように躾けておけ。」
オッドアイのおっさんが自分の上着を櫻にかける。
そうして、櫻の耳を塞ぐ。
そこで意識が途切れる。
俺は、目を開ける。
これは、メンヘラになる。
切っても問題なさそうやけどな…。
とりあえず、この粘ついた泥だけは取り除いておくかぁ。
俺は、魔力操作をして黒い液体を拭った。
気休めにしかならんけど…。
やらんよりはえぇやろ。
神器の手入れをして、部屋を出る。
櫻の魔力が落ち着いてる。
様子を見る。
泣きながら寝ていた。
俺は、そっとベッドに櫻を寝かせた。
なんか面倒臭くなりそうだから家を出ることにする。
久しぶりに釣りでもするか…。
海にきてラインを垂らす。
極力何も考えないように遠くを見る。
無心でルアーを動かす。
考えるな。
スマホが鳴る。
櫻だ。
無視をする。
今は、一緒にいたくない。
なんとなく。一緒にいたくない。
鳴り続けるスマホ。
メンヘラ面倒クセーな。
電源を切る。
俺にも心の整理ぐらいさせろや。
そうして、海に向かってルアーを投げた。




