第三十四話 シガーキス、その後…。
『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜
主人公櫻子とヒロの出会い編スタート!
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時系列
〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜
〜英雄の誕生〜 ←鬱展開あり閲覧注意
〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜
そして、夕方。
櫻が行きたがっていた七甲山ガーデンテラスに来ている。
夜景が一望できる所で腰掛けて神辺の街を見下ろす。
俺らは、傍から見たらどう見えるんだろう?
そんな事が頭をよぎる。
「こんなに楽しいの初めてかも…。」櫻が街を見下ろしながら話す。
「よかったよ。俺なんかのデートで楽しんでもらえて…。」俺がゆっくりタバコの煙を吐きながら話す。
「……デート?」櫻がキョトンとした顔をする。
「デートやん。映画観て、食事して、最後は夜景スポット。」
「そうか…。ヒロ!ありがとう。」櫻が笑う。
また、胸が締め上げられる。
「ヒロって呼ぶんだったら、キスして欲しいけどなぁ」そんな気持ちを、俺はタバコの煙と一緒に吐き出した。
櫻はおもむろに自分のタバコを出す。
そして、タバコを咥えると俺の顔に近づいてきた。
2本のタバコの先が触れる。
俺のタバコの火が櫻のタバコに移る。
「本当のキスはあかんけど、シガーキスならいいよ。」そう言って不敵に櫻が笑った。
俺は、櫻の頬に手を当てた。
「お前、色々わかってこんなことしてるん?」
「何が?」
「櫻は、公爵令嬢や。そして、俺は忌守や。」
「今の私は一般人。そして、大和にはかつて忌守と言われた身分はあったけど、今は関係ない。」
櫻が自分の頬の俺の手に自らの手を置きながら話す。
大きく無垢な瞳が俺を見つめる。
俺は、今どんな顔をしているだろう。
好きと認めたら楽になるんだろうか?
お互いの指の間から紫煙が流れる。
サッと雨が降りはじめた。
急に降りはじめた雨に、俺らは慌ててタバコを消した。
俺は、ジャケットを脱ぐと櫻が濡れないようにかける。
慌てて、車に戻る。
びしょびしょだ。
櫻がハンカチを出して自分のワンピースを拭いている。
布が張り付いて櫻の体のラインが見える。
うっすら下着も見える。
周りを見る。
俺らの他に車はない。
濡れたワンピース。
肌に張り付いた布。
俺は目を逸らした。
でも、また櫻の濡れた体が目に入る。
………。
もう一度周囲を見渡す。
誰もいないな。
そこで、俺は助手席のシートを倒して、櫻に覆い被さった。
◇◇◇
ロッキーがうちわで仰いでくれる。
ゴロゴロと自分のベッドに寝転びのたうちまわる。
起きても寝ていても気持ち悪い。
「ごめんね。ロッキーありがとう。」
「櫻子大丈夫でしゅか?」
「大丈夫…。薬の副作用やから仕方がないんよ。」
私は、もらってきたアフターピルの箱を見る。
ファーリー製薬会社?聞かない名前…。
胸がムカついてきた。
トイレに駆け込む。
こんな調子だから、私は子供たちが帰ったら学校を早退した。
明日もこれだったらどうしよう。
薬を飲んだ状態で回復魔法や治癒魔法はかけられないしな…。
洗面所で口を濯いで鏡を見る。
もう、怖くない。
だって、私は公爵令嬢じゃないもん。
ドサリとベッドに寝転ぶ。
ベッドがありがたい。
ヒロを思い出す。
ヒロが作った魔道具に寝転ぶとヒロに抱きしめられてるようだ。
「ヒロと私だったら…。魔力量釣り合うのかな…。」
「櫻子は、大夢の子供が欲しいんでしゅか?ロッキーは賛成でしゅ。」
ロッキーがうちわで仰ぎながら話す。
「無理だよ…。ヒロが嫌やろ…。」
それに…。私は、母にはなれない。
自分の家庭を思い出す。
赤い唇を思い出。
トイレに駆け込む。
食べてないのに吐き気があるのはしんどい。
胃が空っぽなのに吐き気が込み上げてくる。
あかん。これだと脱水になってしまう。
スポドリでもいいから少しずつ水分を摂取しないと。
玄関が開く音がした。
あぁ、もうヒロが帰ってくる時間やったんや。
トイレから出る。
ヒロと目が合う。
「大丈夫か?顔が真っ青やで。」
「ダメかも…。今日は、内宮の仕事お休みしてかまん?ロッキーとお願い…。」
「えぇで。何か食べれそうか?」
私は、首を横にふる。
「水分だけでも摂りいや。」
首を縦に振る。
気持ち悪くなる。トイレに駆け込む。
「ほんま大丈夫かいな?」ヒロがトイレに入ってきて背中をさすってくれた。
オイルの匂いがする。
落ち着く。
「副作用やから…。薬剤師さんが言っていたやん。それよりも、任務。お願い。」
そう言ってヒロと無理矢理離れる。
なんか、離れないと変な妄想しそうで怖かった。




