第三十二話 おっかない女なんや。魔法を使う。
『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜
主人公櫻子とヒロの出会い編スタート!
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時系列
〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜
〜英雄の誕生〜 ←鬱展開あり閲覧注意
〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜
人が多くなって来た。
櫻を見る男が何人かいて、次に俺を見て嫌な顔をされる。
まぁ、仕方がないか…。
色んな女と歩いていたが、この視線は初めてやな…。
隣で手を繋いで歩く櫻を見る。
メイクもヘアセットもしてもらっていつもより大人びてる。
綺麗だな。
それでも高校生が少し背伸びしたみたいだから合法ロリババアには違いない。
え?俺ってロリ好きか?
こんなガキみたいな見た目の女…。
女は抱けたらそれでいいんだ。
そう、セフレや。
それ以上でも、それ以下でもない。
そうやって気持ちに蓋をする。
無くなった時に悲しくなるほうが辛い。
でも…。俺の前に現れた、神託の社の中に入っていたら…。
俺は、櫻の隣を堂々と歩けていたのだろうか…。
神託の社に入れるのは、華族だけだ。
入ったのなら家族と離れてどこかの華族と養子縁組しないといけない。
12歳の俺には面倒としか思わなかった。
ーーーーー。
煌めく空。
和服の自分。
書生服の少年が俺を蹴る。
「お前!忌守なんやろ!ちょっと魔力が高いからって調子こくなや!」
相手は、子爵家の次男だ。
やり返したら親父やお袋に迷惑がかかる。
魔力量の多い俺は、特別に魔力操作の練習のために華族が通う魔法塾に通わせてもらっていた。
発狂する俺を心配して、親父が頼み込んで通わせてもらっていた…。
先生もはじめは断っていた。
こうなるからだ…。
先生は俺の素性は明かしてない。
でも、明らかに平民の俺を見て調べが入った。
「やめなぁよ。」同じ教室の麗乃が止めに入る。
「なんだよ!平民女!お前もムカつくんや!」少年が殴りかかる。
「そこまでにしなさい!」ピシャリと澄んだ声がする。
顔を上げる。
原先生だ。
目力が強く、きっちりと髪を結い上げ小袖を着ている。
40歳ほどの見た目だが、これで90歳だ。
「私も魔力が高あてね。苦労したんよ。でも、魔法は嫌いやない。大夢君も大夢君の好きな形の魔法を選べばえぇ。魔法は色々な形があるんやから。」
ーーーーそんな先生の言葉を思い出す。
「ヒロ!」櫻の声だ。
俺は現実に引き戻される。
「これ観ない?」櫻がアニメを指差す。
帝都に住んでいる男子高校生と田舎に住んでいる女子高生が突然意識が入れ替わって青春したり、恋愛する話だ。
「えぇよ。」俺は短く話す。
上映時間を確認する。
どうやら今から1時間ほど後になるようだ。
「それまで、適当に店回るか?」俺は櫻を見る。
「そうやね。」櫻はとても嬉しそうだ。
そうして、腕を組んできた。
何を考えているのか…。
雑貨屋に入る。
櫻が猫モチーフのグッツを見ている。
「結構可愛いの好きよや。櫻って。」
「そうかな?」
「イヤホンも猫耳ついているやん。」
「服装が可愛いのは嫌いやけど持ち物が可愛いのは好きかも。」
櫻が猫のぬいぐるみを持ち上げながら話す。
「子供の頃、家で喋る相手が猫しかおらんかったし…。」
「化け猫やったん?」
「そんなところ。それで、教育伝達者になったのかも…。」
「どういうこと?」俺が尋ねる。
「学校が唯一…。息抜きだったから。私は外宮の小学校に通っていて…。その時の記憶が良かったから…。」櫻がポツポツと話す。
こんなに素直に自分のこと話す奴じゃなかったのにな…。
まぁ、信用されているってわけかな?悪い気はしやん。
「そういや、華族って学校どうしてるの?」店を移動しながら話す。
「内宮にいる人は基本家庭教師と魔法塾だよ。15歳から華族学校に行く。」
魔法塾。
思考に蓋をする。
「それだと15歳まで集団行動したことないん?大変やない?」
「そう!ホンマそれなの!」櫻がクワっと目を開いて話す。
どうやら地雷を踏み抜いてしまったらしい。
「秋の社交会の前に子供舞踏会でしか同い年の子と関わらないからマジで自己中しかおらん。」すごい剣幕で櫻が話す。
「私は夜間学部だったからいいけど、寮なんで絶対無理!地獄!」
「………あんたらも大変なんやな。俺、普通で良かったわ。」そんな感想が漏れる。
「でも、今は私も普通だよ。」ニコッと櫻が話す。
「魔法どちゃどちゃ撃ちまくってる合法ロリババアが普通ですか?」
「相変わらずへらず口だね。ダメ狐。」
そんな会話をしながら櫻がふと足をとめた。
ジュエリーショップに飾られているネックレスを見ている。
「気になるんやったら見たら?」
「え…。でも。」
「見るだけやん。」そう言ってショップに入る。
櫻は花のネックレスを見ている。
五角形の綺麗な花のネックレスだ。
一輪の花の下に綺麗なピンクの石がぶら下がっている。
この石は、ローズクォーツかな?
「買ったら?」俺が勧めてみる。
「えぇよ。つけていくところないもん。」そう言って店を出てしまった。
「これ、包んでくれます?あとで、取りにきますわ。」こっそり店員に話した。
「かしこまりました。」女性店員が微笑む。
櫻の後を追った。
もうすぐ映画の時間になる。
その時にトイレとか言って抜け出すか。
って、俺は何をしているんだ?
自分の行動が謎すぎて調子が狂う。
これも合法ロリババアの魔法なんだろうか?
恐ろしい女だ。そう、おっかなくて口うるさくて、合法ロリババア。
アイツはそんなやつ。




