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『菊理姫様!お導きを!』〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜  作者: ぽんぬ


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第二十七話 鏡に映せない私

『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜

主人公櫻子とヒロの出会い編スタート!


毎日18時更新!


時系列

〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜

〜英雄の誕生〜 ←鬱展開あり閲覧注意

〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜

顔に水をつけて涙も感情も何もかも流す。


そうして、心を凍らす。


すぐに解けそうだけど…。


洗面所の鏡を見ないようにタオルで拭く。


泣き腫らした顔に回復魔法をかけた。


ロッキーがやってきた。


「櫻子は可愛いでしゅ!」


「そう、ありがとう。」


なぜか、いつも褒めてくれる。


そこに声をかけられた。


「櫻!ちょっと来て。」ヒロに呼ばれる。


「すまん。ちゃんと直っているか試したいから俺が髪をすいてかまん?」


「あぁ。」


私はヒロの作業机の椅子に座った。


「痛かったらごめん。なるべく優しくやるわ。」


ヒロが私の髪を触り、つげ櫛を入れる。


ーーーーー。


大きめの手鏡を私が持っている。


とても笑顔で嬉しそうだ。


後ろの人物が私の髪をすいてくれてる。


とても、優しい。


ゴツゴツとして大きな手。


私が振り返る。


顔は光が入ったかのようにそこだけ眩しくて見えない。


緋色の軍服。


沢山の勲章が胸に付いている。


ーーーーー。


私が振り返る。


「すまん。痛かったか?」


ヒロの顔がある。切れ長の目で無骨に髭を生やしている。


「大丈夫だ。なんでもない…。」


さきほどの光景を思い出す。


鏡を見てるのに笑顔で嬉しそうな自分の顔。


綺麗な紫の縁。


目が揺らがないよう心を凍らす。




◇◇◇




つげ櫛を直すと椿油に浸す。


椿油は櫻が持っていた。


よく手入れされていたしな…。


「なぁ?神器のことなんやけど。」


本題に入る。


「手入れしても刃こぼれが酷いんや。」


「大夢君がまめに手入れしてくれてるからいいではないか?」櫻が不思議そうに話す。


防護が硬いな。訛りが出ないようにして魔物の目に力が入っている。


ちょっとそっとしておいた方がいいが神器の装備は任務に関わるからなぁ。


下手したら死んでしまう。俺は、櫻に死んでほしくない。


「そうやけど、それだとしょっちゅう研がなあかんやん。もう一回、髪の毛触ってかまん?」


「構わないが…。」


俺は、櫻の髪の毛を触る。


細くてふわふわしているが絡まりやすそうだな。


毛先も傷んでる。


風呂上がりによく手入れしているのは、知っているが素人では限界があるのだろう…。


刃こぼれの原因はこれだな。


「最後に髪切ったのいつよ?」


「半年前かな…。」


「櫻の髪だと最低でも三ヶ月に一回は切らんと魔力操作が上手くいかんのちゃう?」


「でも…。こっちの美容室わからないし。それに私の髪の毛…。普通の美容師さんだと切れないし…。」


確かに、櫻の髪の毛は下手な魔物の毛より魔力が強いからな…。


適切に処理しないとゆきんこか何かが出てくるやろうな…。


家でも捨てるときに魔力抜いてるぐらいだし…。


「そうやな…。今度の日曜日ってお互い休みよな?内宮の仕事もないし。」


櫻がこくんと頷く。


神辺かんなべで俺の知り合いが美容室開いているんや。そいつやったら切れると思うわ。」


「そんな遠くまで行って髪切らなくても…。そろそろ自分で切ろうかなって思っていたし…。」


「櫻の髪がそんなんやから神器の刃こぼれ酷いんよ。今、連絡するから決まりな。」


俺は、スマホを取り出す。


「ねぇ!その美容室…。私が行く時に鏡、隠してって言ったらあかんかな?」


櫻がそんな注文を入れてきた。


「………。わかった。」


そう短く話してスマホのメッセージアプリを開いた。



◇◇◇



クローゼットを開ける。


スーツ、緋色の軍服、戦闘服。


箪笥の引き出しを開ける。


白いブラウスと黒のスカートかパンツ…。


どうしよう…。神辺かんなべなんてオシャレな街をどんな服を着たらいいの?


そこにロッキーがちょこちょことやってきた。


「日曜までに買いに行ったらいいでしゅ!」


「どんなの着たらいいかわかんないの。」


「櫻子ならなんでも可愛いでしゅ!」


「ロッキーだけだよぉ。」


そうだ!下着!


下着は、ヒロに指摘されたから店に行って店員に採寸してもらい勧められるまま買った。


下着を見る。


パンスト嫌いって言ったらガーターベルト勧められたんだよな…。


私は、くすみローズのガーターベルトを見る。


次にストッキングを出す。


少し、グレーで上品だ。


キャミソールもある。


よし、社交会の時のドレスを着る前みたいにはなった。


でも…。服がない。


「ネットはどうでしゅか?」ロッキーが提案してくれる。


私は、ショッピングサイトのジャングルを開く。


「でも、日曜まで間に合わないじゃない?それに家に届いてヒロに見つかったら嫌やなぁ…。」


「お急ぎ便にして、コンビニ受け取りにしたらいいでしゅ。」


「ロッキーなんでも知っとるなぁ。」


私が感心してロッキーを見た。


「大夢が時々使ってましゅ!」


へぇ〜、何買っているんやろう?


○○○(ピィーー!)でしゅ。」


「ロッキー…。それは教えてくれなくてもえぇよ。」


聞かなかったことにしよう。


私は、サイトを見る。


どんなのがえぇかわからん…。


「ロッキー…。どんなのがいいかな?」


ロッキーとサイトを覗き込む。


「こんなのとかどうでしゅか?」ロッキーがめっちゃミニスカートの服を指差した。


「………。これは、無理だよ。足が隠れてない。」


「大夢はこんなの好きでしゅよ。」


えぇ。こんなの恥ずかしいし似合わないよ。


「そんな事ないでしゅよ。大夢は、櫻子の部屋着のショートパンツ見て、“エロいな。”スカートだったらもっといいな“って思ってましゅよ。」


ロッキーがとんでもないものを投下してきた。


………。


「ヒロが『暑くないやろ。節約やろ。』って言ってエアコン使わせてくれないからショーパンはいていたけど、もう魔力で家冷やして、ハーフパンツはくわ。ありがとう。ロッキー。」


私は、様々なワードを入れてネットで検索する。


うぅ。どんなのがいいんだ…。


「これは、ダメなんでしゅか?」


ロッキーが私が奥の方に放っておいた箱を出してきた。


大小様々な箱がある。


これは!忘れていた!


大きい平たい箱を開ける。


中はワンピースだ。


「これは!豊富さんが任務のお礼だから!って押し付けてきたお礼の数々!」


私は、初めて箱を開ける。


パンプスもある。ピアスもある。カバンもある!


一式箱から出して見てみる。


コーデが完成された。


多分、豊富家の側仕えが選んでる!センスはいいはずだ。


私の体に柔らかなワンピースを当てる。


確認したい…。


でも、鏡が…。


「似合うかな?」


「とっても可愛いでしゅ!」ロッキーの目が真っ直ぐ私を見た。


その目には、何が映っているのだろう?

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