第二十五話 茶懐石と核攻撃
『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜
主人公櫻子とヒロの出会い編スタート!
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時系列
〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜
〜英雄の誕生〜 ←鬱展開あり閲覧注意
〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜
高橋女史の立派な館。
櫻の目線が怖い。
きっかけはこうだ。
俺たちが報告が終わる。
そしたらちょうど昼時だったのだ…。
「お昼でも一緒にどうでしょう?」静かに誘われた昼食。
「いっいや。悪いですから…。」明らかに焦っている櫻。
「まぁまぁ、誰かと賑やかに食事したいの。だから、ね。」イタズラっぽく話す高橋女史。
そして通された掘り炬燵の和室。
よかった。あのまま正座はきつい。
こっそり櫻が白い紙の束を渡してきた。
なんやこれ?
「そんなに畏まらないでいいですからね。最近、私もこのスタイルで食事しているの。私も食べるし茶懐石崩れなので。」
目の前の高橋女史が話す。
「では、ありがたく無礼講で。」櫻が話す。
絶対、無礼講じゃないのはわかった。
「それに、大夢さんを紹介していただいたけどお話をした事ないでしょう?」
俺に振らんといて。
「そうですね。」
とりあえず畏まって話す。
ろくろ首のお手伝いが盆を持ってくる。
櫻が睨む。
「いいか、私の真似をするんだぞ!」目が話して来た。
俺は小さくコクコクと頷く。
高橋女史と櫻がお椀の蓋を同時に持ち上げ重ねて右に置く。
俺も習う。
飯がちんまりのってる。
しかも、おにぎりみたいに一の字になってる。
櫻が飯のお椀を持って箸を握ったので習う。
しかし、いつも通り箸を持ったら蹴られた。
なんでや!何が違うんや!
引き攣った笑顔の櫻が飯を一口食べる。
そうして汁を飲む櫻。
俺も汁を啜る。
あ!あかん癖で音立ててもうた。
隣から恐ろしい冷気を感じます。
櫻が箸置きに箸を置いて椀の蓋を戻す。
俺も習う。
もう、お腹いっぱいです。
家に帰ってカップラーメンが食べたい…。
そうやって地獄の会食が進み。
何を聞かれて、何を答えたか忘れた。
その日、櫻子先生の指導の元もう一度手順を叩き込まれた…。
俺は一体なんの仕事をしているのだろう?
◇◇◇
どうしてこうなった!
ヒロに茶懐石のマナーなんて教えてない!
最近やっと縦肘をしないことと箸の持ち方覚えたダメ狐に茶懐石って…。
とりあえず、ヒロにこっそり懐紙を渡しておいた。
「そんなに畏まらないでいいですからね。最近、私もこのスタイルで食事しているの。私も食べるし茶懐石崩れなので。」高橋女史が楽しそうに話してきた。
「では、ありがたく無礼講で。」私が答える。
ダメ狐大丈夫か?
折敷にご飯、味噌汁。向付が乗せられ運ばれる。
向付はハモか…。6月だしな。
私と高橋女史が椀の蓋を同じタイミングでとる。
一拍、遅れてヒロが取る。
まぁ、ここは目を瞑ってもらおう。
私が左手でご飯の椀を持ち、右手で箸を持ち上げ左の椀を持っている手で箸を持つ。
そうして、箸を右手で正しい持ち方に直す。
ヒロが左手に椀を持って折敷に箸を立てて右手に箸を持った。
違う!ダメ狐!
私は軽く足で小突く。
その様子を目を細めて楽しそうに見る高橋女史。
うぅ、どう思っているのだろう?
味噌汁を飲む。
隣から音が聞こえる。
私の魔力が自然と漏れる。
なぜか、高橋女史がとても楽しそうだ。
食べ終わったら蓋を戻す。
次に向付だ。両手で器を持って箸を持つ。
「櫻子さんと大夢さん。関係が変わりましたか?」
高橋女史から核爆弾が飛んできた。
「そのようなことはないですよ。」
私は今までの淑女教育の全てを使って顔を作り話す。
悟られないよう…。
動きを止めないで。
「そうですかね?櫻子さん。色っぽくなりましたよ。」
第二波の攻撃が来た。
あかん。更地になってしまう。
「男の人と常に行動しているので女性らしく振る舞ってしまうのかもしれません。ねぇ。大夢君。」
「そうだと思います。」大夢が短く答える。
まさか、“体の関係持ちました。”なんて言えない。
「そうですか?大夢さんが櫻子さんを見る目も以前と違うように見えますよ。」
そっちは攻撃しないでくれ!
「自分はそう思いません。以前と変わらないかと…。」ヒロがぎこちなく向付を食べて皿を置く。
そして、箸置きに箸を置いた。
もう、マナーよりこっちがしんどいかも…。
ろくろ首の女中が飯器を持ってきた。
私の横に置かれる。
私は蓋をとって、ヒロに渡す。
目で次に高橋女史に渡すのだ!と合図する。
ダメ狐は死んだ目をしている。
「大夢さんも初めにここに来られた時より、品が出て動きが洗練されました。」高橋女史が話す。
「褒められて、光栄です。」蓋を高橋女史に渡しながらヒロが話す。
まぁ、言葉遣いはともかく…。
生活態度やマナーは少しずつ叩き込んでいるからな…。
「櫻子さんも以前より、いいお顔になりましたよ。」
私は意味がわからず答えられなかった。
「初めてここに来たのは三条さんとですね。豊富さんと次世代の伝達者だからと…。」
「そうですね。」
「その時の櫻子さんは、心が氷漬けになったような目をしていました。」高橋女史が続ける。
「こんな若いお嬢さんが心を凍らせないといけないなんて…。と思いましたが、今はとても良い目ですよ。」
「そうですね。恋をしているような。」
私の心が核攻撃で更地になった。
その日、帰ったら何も考えたくないからダメ狐にあれこれダメだしして茶懐石のマナーを叩き込んだ。
これが、八つ当たりというものなのだろうか?
その感情に名前をつけたくない。
感情に名前をつけたら呪いになって私を縛ってしまう。
そして、マナー訓練ででっかい体を小さくしているヒロを腕を組みながら見下げる。
「明日は、焼き魚の正しい食べ方だ。わかったか?ダメ狐。」
「勘弁してください…。櫻子先生。」




