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『菊理姫様!お導きを!』〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜  作者: ぽんぬ


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第二十一話 境界線。そして、揺れ動く天秤。

『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜

主人公櫻子とヒロの出会い編スタート!


毎日18時更新!


時系列

〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜

〜英雄の誕生〜 ←鬱展開あり閲覧注意

〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜

櫻がこっちを見ている。


布団で口元を隠している。


まつ毛の長い大きな目が潤む。


ふわりとした髪の毛が顔にかかっている。


「櫻…。それホントなん?」


「うん。」視線を外す櫻。


最悪や。面倒臭い。


俺は、起き上がる。


櫻の体がびくんと揺れる。


「俺、ソファで寝るわ。」


そう言うと、立ちあがろうとする。


ラブホのガウンを掴まれる。


「話…。聞いて。」俺は座り直す。


「もう年齢も年齢なのに…そんな経験なくて…。そういうのって面倒臭いの?」


普段どちゃどちゃ魔法を打ち込んで妖を蹴散らす血も涙もない女が小娘のような相談してくる。


「知らんよ。」


「大夢君は?」


「俺は、正直面倒やな。」


「そう…。」そこでガウンの裾が離される。


俺は、立ちあがろうとする。


「ねぇ?経験させてって言ったらしてくれる?」櫻が弱々しく話す。


俺は驚いて櫻を見る。


潤んだ大きな瞳、垂れ下がった目尻。


ふんわりとしたウエーブのかかった髪の毛。


出会った頃のような怪物の目ではなく、少女のような目でこちらを見返してくる。


可愛いんだよな…。


いかん、櫻は元公爵令嬢や。


俺とは違う。


「お前なぁ。自分の体は大切にせーや。」


もっともなようなことを言って回避する。


いざ!と言って泣かれるのがオチだ。


「ヒロ…。なら良いかなって。」


ほう、そうくる。


俺は、櫻に覆い被さる。


「何?告白?」


櫻の体が硬直する。


いつものダメ狐がない…。


俺の中でも“何かが”とまらなくなってきてる。


「そうじゃない!」むくれる櫻。


「じゃ、やめておけ。好きでもない男となんて。」俺は櫻に顔を近づける。


目を逸らす櫻。


「そうだけど。そうじゃないような。」


「言ったな。」


俺は櫻にキスをしようとする。


「キスだけは!キスだけはあかん!それは、本当に好きな人と…。」


櫻が俺のキスを拒む。


「じゃ、俺は、櫻子姫様の性教育係ってわけですか?」


「その呼び方やめて。」櫻が苦しそうに言う。


「嫌やな。」そう言って俺は櫻の首筋にかぶりついた。



◇◇◇



ヒロがベッドから起き上がる。


「俺、ソファで寝るわ。」


立ち上がるヒロ。


いかんといて。


私の手が伸び、ヒロのガウンを掴む。


「話…。聞いて。」


ヒロに聞いてほしい。


「もう年齢も年齢なのに…そんな経験なくて…。そういうのって面倒臭いの?」


ヒロはそういうのどう思っているんだろう?


「知らんよ。」


「大夢君は?」


「俺は、正直面倒やな。」


“面倒”やっぱりそう感じるんだ…。


私は裾を掴んだ手の力が抜ける。


立ちあがろうとするヒロ。


嫌や。いかんといて。


「ねぇ?経験させてって言ったらしてくれる?」


私の口からそんな言葉が出てくる。


ヒロならいい。


ヒロが驚いて私の顔を見る。


切れ長の少しブラウンの瞳。


無骨に髭を生やして、面長な顔。


戦場や任務では血も涙もなく相手を殺す、でも私はこの人の優しさを知っている。


「お前なぁ。自分の体は大切にせーや。」


ヒロが私の身体を気遣う。


お姫様みたいに…。


本当のお姫様の頃はこんな思いはなかった…。


「ヒロ…。なら良いかなって。」私がどんな風に言っていいわからず答える。


ベッドが大きく揺れてヒロの大きな体が私に覆い被さる。


「何?告白?」


そんな風にきこえるの?


嫌だ。断られたらーーー。


「そうじゃない!」短く答える。


苦しくなる。


今の関係がなくなるのが嫌や。


「じゃ、やめておけ。好きでもない男となんて。」


ヒロが私を見つめる。


ヒロの瞳に【バケモノ】の自分が映り込む。


目を逸らす。


「そうだけど。そうじゃないような。」


なんて答えていいかわからない。ヒロが好きとは思わない。


仕事を任せれるし、色々教えてくれるし、“コレ”も教えてもらうだけだ…。


「言ったな。」


ヒロが私にキスをしようとする。


「キスだけは!キスだけはあかん!それは、本当に好きな人と…。」


そう、キスだけはほんまに好きな人と…。


そうして、私はヒロを見る。


やはり、ヒロの瞳に【バケモノ】の私がいる…。


「じゃ、俺は、櫻子姫様の性教育係ってわけですか?」


「その呼び方やめて。」


ーーー櫻子姫様。やりすぎでございます。また、相手のご子息を傷つけて…。


ーーーちょっとからかっただけなのに…。あそこまでするなんて、やっぱり


ーーーバケモノ姫様だな。近づいたら殺されるぞ。


【バケモノ姫様】


「嫌やな。」


ヒロの声が聞こえた。


私の意識が現実に引き戻される。


温かな唇が私の首筋に触れた。


何だか、何者でもない自分がいるようだった。

【次回予告】


ラブホテルのベッドで目覚めた二人。


心を凍らす櫻子。


「櫻ってドMなん?」いつものように軽口を叩く大夢。


交差することを拒む心。


お互いの体の温もりは感じる身体。


自分たちで選んでしまった妙に歪んだ関係。


果たしてこの二人はどうなるのか!


次回ーーー

新しい肩書き


この次も!サービスゥ!サービスゥ!

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