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『菊理姫様!お導きを!』〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜  作者: ぽんぬ


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第十九話 俺しか知らん神楽舞

『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜

主人公櫻子とヒロの出会い編スタート!


毎日18時更新!


時系列

〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜

〜英雄の誕生〜 ←鬱展開あり閲覧注意

〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜

「田中の彼女って高校生なん?」そんなことを同僚の川野に言われた。


あ!これは小出しにした方がおもろい会話や。


俺らは、喫煙所でタバコを吸ってる。


そんな時に聞かれた。


「上っすよ。」俺は答える。


「え?大学生?この前スーパーで見たで。めっちゃかわええやん。どこで知り合ったん?」


「ちゃいます。俺より5歳上ですわ。」


「はぁ!?ほんまなん?」川野が驚愕してこっちを見て来た。


「ほんまっすよ。」俺が煙を吐く。


「なんの仕事してるん?」


「教師ですわ。」


「メダカの学校すぎるやん。」


誰が生徒かー♩先生かー♩


「同じレベルでえぇんやないですか?」


「どこで知り合ったん?あんな可愛い子。」


「ネットっす。それと彼女やないです。趣味仲間です。」


俺は適当にはぐらかす。


「えぇ感じに見えるけどな。狙ってるんやろ?」


えぇ感じ…。


狙ってる。


その言葉の意味を考える。


でも、櫻は“華族”だ…。俺とは違う人間。


「そんな気持ちないですわ。」


そう言ってタバコの火を消した。



◇◇◇



私は帰宅するのにバスに乗り込んだ。


そして、気が付く…。


また、アイツだ。


私は帰宅時間がまちまちだが基本7時近くにバスに乗る。


でも、そいつがいる。


20代ぐらいの男性だ。


どこにでもいそうな風貌のそいつは、私が早く帰宅しても遅く帰宅してもバスにいる。


(気持ち悪いな…。)


ねっとりとした視線が私の体を舐め回す。


不思議と鳥肌が出る。


最近、こんなことが増えた…。


なんでだろう?


まぁ、何かしてきたら殺さない程度に怖い目に合わそう。


そう思い、窓の外を見る。


紀州の街並みが流れる。


紀の川を渡り、家具屋の看板が見えた。


市役所の横に紀州城。


もうすぐ家だ。


家ねぇ…。


無意識に大夢のことを考える。


そうして、バスを降りた。


家路に向かって歩く。


「あっあの!」声をかけられる。


私は振り返ろうとする。


「櫻!」大夢の声が聞こえた。


そちらの方へ顔を向ける。


大夢の大きな体が見えた。


タバコを吸いながら私の後ろを睨みつける。


後ろの人物が走っていなくなるのが魔力でわかった。


何故だが、少しホッとした。


「なんだ?大夢君。」


「あんた。危なかったで。」


「はぁ?」


私が、任務以外で危ない?


「どういう意味だ?」


「……。男って案外バカやで。」


「君で知っている。」私が答える。


ため息をついて煙を吸う大夢。


「まぁ、偶然。俺が買い出しから帰った時に見かけたからよかったわ。」


意味がわからない。


「……。」私は黙り込む。


「帰ろうや。」


「そうだな。」


私たちは二人で家路についた。


街灯の灯りの影に二つの影が伸びる。


私の隣の影は、私のものより大きく伸びていた。


それから、その男を見なくなった。


私の悩み事が一つ解決した。



◇◇◇



今日は結界の張り直しに来てる。


「紀州は魔素が強いからな。内宮の扉が空きやすんだ。」


そう、櫻が説明した。


「でも、紀州の内宮って確か…。」


「あぁ、先の内乱でほとんどの華族がなくなり、今は無人の所が多い。」


俺もよく知らないが、確か外宮を侵略して実権を握ろうとした一族とそれを阻止しようとした…。


今の帝・太陽の君の軍とぶつかっていたはずだ。


俺は、その内乱に巻き込まれるのが嫌で海外で傭兵をしていた。


「皮肉だな…。」


「何がよ?」


「この地の一族を討ち取ったのは、私と父だ。その私がここを管理するとはな…。」


「そんなもんちゃう?戦争って。」


「……そうだな。始めるぞ。無防備になるから護衛を頼む。」


そう言うと櫻は、社の前で認識阻害魔法を使う。


櫻は上着を脱ぐ。


その下から現れたのは普段任務で着ている戦闘服ではない。


巫女服だ。


神器のハサミを掲げる。


鈴の音が鳴る。太鼓の音も聞こえてきた。


櫻の魔力によってお囃子が流れる。


月明かりに櫻のハサミが照らされ光る。


剣舞の方だがとても優雅で綺麗だった。


でも、俺は櫻には鈴や扇の舞の方が似合ってるように感じた。


なぜ、櫻は剣を取ったのだろう?


取らずに淑女として生きていたらこんな俺と一緒に住まなくても


そして、泥臭く生きなくても良かっただろうに


櫻の神楽が俺の目を惹きつける。


櫻の髪が風に舞う。社に周辺の魔素が集まる。


優しく微笑み神器のハサミをふり、しっかりとした足捌きで神に祈っている。


「公爵令嬢」


その言葉を思い出す。


彼女は、何を祈っているのだろう?


そして、彼女の主神である菊理姫様はなんで俺と櫻の縁を繋いだんやろうな。


神様が目の前におったら真っ先に聞きたいことだ…。


夜が更けていく。


俺しか知らん神楽舞が紀州を守った。

【次回予告】


任務中桃畑で泥だらけになった二人。


「………お風呂、入りたい。」


そんな櫻子の一言から始まった、行き先!


向かった先はーーーまさかのラブホ!?


「何もしやんよ。風呂に入るだけや。」


「……大夢君は、彼女とかいるのかな。」


揺れ始める櫻子の心。


ホテルの中不器用な男女が一つのベッドにーーー。


果たしてこの二人はどうなるのか!


次回ーーー

芽吹いていたもの


この次も!サービスゥ!サービスゥ!

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