第十八話 教科書に載ってないこと
『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜
主人公櫻子とヒロの出会い編スタート!
毎日18時更新!
時系列
〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜
〜英雄の誕生〜 ←鬱展開あり閲覧注意
〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜
その日は、偶然にも我々は一緒の休みだった。
しかも、任務がない。
「今日みたいな日は珍しい。今日の訓練は各自自主トレにしよう。」私が提案した。
「しゃ!」
子供のようにはしゃぐ大夢。
なんなんだ。このダメ狐は…。
私は仕事部屋に行き高橋女史の件を思い出す。
【失踪】
【人魚とガータロ】
【宣教師】
どこかに一本に繋がる事柄があるはずだ。
じっと事件簿や歴史書を見る。
私は、集中するために動画サイトの曲のミックスリストを出してヘッドホンをしようとする。
そこへ大夢がやってきた。
「休みちゃうん?」
「休みだが?」
「休んでないやん。」
「……?」
意味がわからん。ゆっくり休んでいるではないか。
「まぁええわ。」
そう言って仕事部屋を後にした。
今日は、どれ系の曲にしようかな…。
なんとなく最近のボカロ曲にした。
最近、クラシック以外も聴くようになってきたな…。
CMで流れてるのを大夢が教えてくれた。
テレビも見るようになったな…。
大夢は食事時に必ずテレビをつける。
私は最初、それを行儀が悪いと注意したが、一般家庭は基本こんなものだ…。とも教えてくれた。
知らない事が沢山ありすぎる…。
私は、自分の家庭を思い出す。
【バケモノ】
「……三条さんとの方が……父と娘らしいかも…。」
三条さんは父と親友だった。
父と三条さん・今の帝である太陽の君はその昔、中央魔術師騎士団で鷹司三羽烏と言われていたとか…。
目が揺らいできた。
資料に目を落とす。
大夢がいないとこを確認する。
目の前の机に突っ伏して目を瞑る。
「バディっつーんは、家族だ。あ!ファミリーの方の家族やで。」
大夢の言葉を思い出す。
“家族”
どんなものか…。
私は知らない。
◇◇◇
廊下を軽くフローリング用ワイパーで拭く。
櫻子姫様の掃除はお掃除ロボットにお任せして終わりだ。
そして、そのお掃除ロボットは、今ロッキーを乗せて稼働してる。
「掃除してくれや。」って言ったら櫻はお掃除ロボットのスイッチを入れて仕事部屋に行ってしまった。
あ!櫻の部屋の魔道具メンテしないとな。
俺は、仕事部屋に行く。
休みなのに仕事してる骨の髄まで公僕姫様に入室許可をいただきに。
「櫻、櫻の部屋の魔道具のメンテしたいんやけど…。」
櫻が白と青の猫耳ヘッドホンをつけて机に突っ伏して寝てる。
机の上には、事件資料の他に様々な本が積み上がってる。
見た目が見た目なだけに受験生が勉強に疲れて寝てるみたいだ。
「なんや…。こんな所で寝て…。」
ゆすって起こそうと手を伸ばす。
櫻の目元が微かに光ったのが見えた。
俺は、櫻を起こすのをやめて、櫻がいつも使ってる毛布を肩にかけてやる。
それで、事後報告にはなるが櫻の部屋に入り魔道具をメンテナンスした。
次に庭に出てバイクをいじる。
これも魔道具にする予定だ。
櫻が回復薬を自作してるならガソリン代を浮かすために魔石の魔力で動くバイクを作ればいいだけや。
ape50のエンジンをバラす。
50ccなら櫻でも乗れるやろ。
運転免許証は持ってるようやからな…。
学校にはバスで通ってるけど。
なんで、こんなに櫻のこと考えてるんやろ…。
◇◇◇
目を開ける。
首が痛い。
回復魔法をかける。
ヘッドホンからは軽快なリズムのジャズ風のメロディが流れてくる。
女盛りをどうするかなどの歌詞が聞こえてきた。
少し艶っぽい女性の声。
そして、気が付く。
肩に私の毛布がかかっている。
大夢がかけてくれたのだろうか?
無骨だが案外優しいところもある奴だ。
目の前には事件簿。
何故だか虚しくなって来た。
綺麗な女の人が公園で踊っているMVを停止させた。
私は、ヘッドホンをとった。
飲み物をとりにキッチンへ行く。
ロッキーがちょろちょろと出て来た。
「大夢なら訓練場にいましゅ!」
聞いてもないのに答えた。
考えてもいないのに…。
「そうなの…。」
私は、たまには炭酸をと思い冷蔵庫を開ける。
中を見て驚愕する。
ない!私が買った四矢サイダーが!
……犯人は1人しかいない。
あのダメ狐!お前がいつも飲んでるとろとろカフェオレ飲んでやるぞ!
私は、目の前で飲んでやろうと大夢がいつも飲んでいるとろとろカフェオレを持って訓練場へ降りる。
あのダメ狐はスパーをしていた。
私の時の訓練よりもキレがいいし、激しいかもしれない…。
体術だったらこの男に敵わない。
そう痛感した…。
でも、今日は休みだぞ?
この男は休みなのにこんな激しいスパーをしているのか?
呆けて見えいると、大夢がこっちを見てきた。
「なんや?さっきから。なんのようや?」
「大夢君、今日は休みだぞ。」
「せやで。」
「休んではないではないか。」
「休んでるで。」
汗を拭きながら答える大夢。
そして、私が買っておいた四矢サイダーを飲んだ。
そうだ!
「オイ!ダメ狐!お前のとろとろカフェオレ飲んでやるぞ!」
私は、大夢に自分の手にあるカフェオレを見せる。
「かまんよ。」
なんともない風に答えた大夢。
その日私は、部屋にこもって1人酒をした。
もう、一人になりたい…。
一人の方が気が楽だった…。




