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『菊理姫様!お導きを!』〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜  作者: ぽんぬ


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第十五話 ダメ狐と大和撫子

『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜

主人公櫻子とヒロの出会い編スタート!


毎日18時更新!


時系列

〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜

〜英雄の誕生〜 ←鬱展開あり閲覧注意

〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜

私たちは、屋敷に入る。


私が靴を脱いで揃える。


大夢を睨む。


目で「わかってるな!靴を揃えるんだぞ!」って合図する。


大夢も気がついたみたいで小さく頷く。


家では、毎日“靴を揃えろ!”と言っても脱ぎっぱなしだ。


嫌いだ!


廊下を通り、客間に通される。


畳の上に座布団が乗っている。


私が畳を歩く。


極力大夢を見ないようにして…。


でも、目に入ってしまった、敷居と畳縁たたみべりは踏むな!!


畳縁に家紋が入っているだろぉぉぉ!


今すぐ怒鳴りつけたい。


とりあえず、息を一つ吐く。


そんな私の様子を高橋女史は楽しそうに目を細めて見ていた。


大夢はとりあえずは畏まってる。


確か元自衛官とも言ってたな。


目上の者に対しては大丈夫だろう。


行儀は良くないが。


「今、お茶をお持ちしますね。」


そう言って、高橋女史が退出した。


「おい!敷居と畳縁を踏むなマナー違反だ。」


「何処と何処や。教えといてくれや。」大夢が慌てて話す。


「襖の下の方と畳の柄が入っている所だ。帰りは気をつけろ。」


「私も説明するのを失念していた。大夢君は都会育ちだね。和室がない家で育ったのか?」私が尋ねる。


「そうやないけど…。」大夢が小さく話す。


そこに襖が開かれお茶が運ばれる。


早速、大夢が手をつけようとする。


私は、大夢の逞しい太ももを小さく叩く。


大夢が止まる。


よしよし。今日はお利口だな。


高橋女史が我々の前に来て湯呑みを回し、一口飲む。


高橋女史が鬼喰い(毒味)をしたので私も湯呑みを持ち上げる。


「いただきますね。」そうして、お茶を飲む。


チラリと大夢を見る。


理解したのか同じようにした。


高橋女史は尚もその様子が面白いのか目を細めた。


「して、お話しとは、いかような話しですか?」私が切り出す。


早く聞いてこのダメ狐を屋敷から出さないといけない。


「えぇ、竜王さんがね。おかしな事をお話ししたの。」


「妹山・背山におられる竜王様でございますか?」


確か今の桂木から光治こうじの時代に竜王様の金の御幣ごへいがこの地に流れ着いた…。そんな話しがあったな。


「そう、今から100年ほど前かしら?この土地に流れついたのはご存知?」


「はい。」


「実は、竜王さん。それで味をしめたのか度々こちらに遊びに来ていたの。」


初耳だ。しかし、大和の神々は遊び心がある。


「ガータロや人魚が攫われているのですって。」


私は眉を顰める。


「ガータロと人魚…。どちらも知能が高く内宮では、独立民族として成立してますね…。」


「それに何やら大和の理と違う者がこの土地にいると…。」高橋女史が続ける。


「最近は外国人も多いですから…。其方の方々ではない。と申しますか?」


「えぇ。」


私は、考える。ここで高橋女史に尋ねるのは簡単だ。


しかし、それでは、自分に問題解決能力が備わらない。


高橋女史を見る。


「宣教師が来ていた頃のよう…。そう、お話ししたいのですか?」


私は高橋女史の細く切れ長の瞳を見る。


光が入り、薄くブラウンの色になる。


「しかし、以前のような形ではない。」私は続ける。


隣のダメ狐は意味を理解できないのであろう。


呆けてこちらを見ている。


「やはり、櫻子さんは話が早くて助かります。」


「しかし…。中央が動くには、まだ材料が少ないですね。私の方でも調べますが、何かわかりましたらご連絡ください。」


そう言って頭を下げる。


頭を下げずに呆けてるダメ狐の太ももを叩く。


一拍遅れて大夢も頭を下げた。


お利口さんで良かった。


でも、躾けは大事だな…。



◇◇◇



屋敷を出て車に乗り込んだ。


タバコに手が伸びそうだが、高橋女史が見送ってるのでグッと堪える。


しばらく、走る。


ミラーを見る。


屋敷が見えなくなった。


俺は、ため息をついてタバコに火をつけた。


慣れない事をしたからヤニ切れが早い。


隣を見る。櫻が考え込んでいる。


「櫻…。俺、全く意味がわからんかった。」煙を吐きながら話す。


「あぁ?」櫻が睨んでくる。


「今、考えているんだ。ダメ狐は黙っていたまえ。総論を話してやる。」


可愛らしい顔を歪ませ怖い顔をした櫻が吐き捨てた。


そうして、また、顎に手を置いて考え始めた。


ダメ狐って……。


とりあえず、俺は車を家へ走らせる。


紀州城近くの古民家へとね…。


「大夢!櫻子!おちゃえり!」玄関をくぐるとロッキーが挨拶してくれた。


櫻が教えたから、最近は挨拶をするようになってる。


俺は、そのまま入ろうとする。


「おい!」櫻に呼び止められる。


「いい機会だ。靴を揃えるのを慣れろ。今後、高橋女史の所に出入りする可能性が高い。」櫻が睨みながら話す。


いつもより、凄みがある。


「………はい。分かりました。櫻子先生。」


そう言うと靴を揃える。


そうして、櫻は仕事部屋に入ると次々と本と過去の事件記録を取り出し広げ始めた。


飛行魔法でふわりと浮かぶとそれらの本をじぃ〜と見ている。


何考えているんやろう?


そう思ったらロッキーがバーストした。


「きゅう…。」と言って倒れこむロッキー。


あ!櫻の考えてること読んだなこりゃ。


俺は、ロッキーを抱えると魔力が安定する魔道具に乗せた。


晩飯を作る。


チラリと櫻を見る。


PCまで持ち出してカタカタしはじめた。


風魔法で本のページを器用に捲る。


すごい繊細な魔力操作が出来るんだな…。


とりあえず作って置いて飯時に聞くか…。


この時の時間は夜の20時。


まさか、夕飯が深夜0時を回るとは思わなかった。

参考文献

『和歌山市の民話〈資料集・上巻〉』和歌山市(和歌山市市民文化課)


盗んで来てないぞ!ちゃんと譲って貰ったんだからな!

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