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鎧召喚令嬢~元皇太子妃、追放されながらも少年と共に魔族を討つ~  作者: XX
第2章 出現する魔族たち

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第7話 出来過ぎた少年

 クレイブリッジの街は辺境の街らしく、城壁で囲われた都市。

 帝国の防衛線の要だ。


 町並みは砦の部分は石畳が敷かれているが、それ以外は未舗装の土の地面が広がっている。



「取り敢えず、兵士登録のときは偽名でお願いします」


 募兵所を目指して歩きながらディーヴァくんは私に指示を出す。


「えっ、偽名なの? あとで問題になるんじゃないの?」


 私は普通に偽名の発想が無かったのでそう返すと

 彼はしれっと言った。


「どうせ後で問題起こすのにそこ気にして意味あります?」


(……確かに)


 もっともなことを。


 彼曰く「事態が動きだしたらここから姿を消すのだから、痕跡は遺さない方が良い」とのこと。


(なるほど……)


 ぐうの音もでないとはこのことだ。

 ディーヴァくん、本当に私よりも年下なの?


 彼と話をしているとそこが怪しくなる。


 一瞬頭に皇太子殿下がこのクレイブリッジに確認を入れて来た場合に偽名を名乗っていたら、逃走したと思われて即問題にならないかという可能性が過ったけど


(その場合、下級兵士をやるのに本名を名乗るのが辛すぎて偽名に逃げましたと言い訳しよう……)


 私はそう、逃げ道を頭の中で用意した。

 それぐらいの不正で即処刑にはならないだろう……と思う。

 多分。




「……名前は?」


 募兵所に辿り着き。


 順番を待って個室で面接。

 丸椅子に座った私を、担当面接官が面接する。

 面接官は軍服を着た小太りの中年男性で。


 あまり筋肉がついているように見えなかったが、目付きが鋭かった。

 私は


「アスラです……」


 アスラという偽名を名乗る。


 ディーヴァくん曰く、偽名は本名から遠いものにすると咄嗟に呼ばれたときに反応しにくくなるから、とのこと。


(……なるほど)


 ホント、色々知ってるなぁと思う……。

 ディーヴァくんは皇后教育しか受けて来なかった私が知らないことを何でもよく知ってる。


 面接官の男性は私を値踏みするように見て


「得意武器は?」


 色々訊ねてくる。


「大鎌です」


 私の返答を紙にメモする面接官男性。

 そして続けて


「何かアピールすることはあるか?」


 そう訊いて来たので


「火炎の精霊魔法が得意です」


 私はそう答えた。




 魔法が得意なら実演してみせろ。

 そういう流れになり。


 募兵所の外の運動場のような場所に連れて行かれて。


「さあ、ここでやってみろ」


 そう言われる。


 ……前にも言ったけど、私は将来爆炎の皇后の二つ名を貰おうなんて夢を持っていた。

 だから魔法には本気で自信がある。


「分かりました」


 精霊魔法というものは、この世界の管理を司っている存在「精霊」に、頭の中で組み上げた術式を「力の言葉」と共に開放。

 魔力と引き換えにそれを読ませ、実行させて結果を得るというものだ。


 私は面接官の言葉を受けて即座に術式を頭の中で組み上げて


「爆ぜる火炎よ!」


 力の言葉を口にして、魔法を発動させた。


 あのとき……妙な盗賊たちが襲って来たときは発動しなかったが。

 今度は違う。


 私の手から拳大の火炎弾が撃ち出され、それが少し離れた位置の地面に着弾。


 爆炎と熱と波動を放射して、轟音と共に大きく爆ぜる。


「……なるほど」


 面接官は驚きが隠せないらしい。

 その様子が私は少し気分良かった。


 ちなみにこれは威力を少し抑えている。

 そうしないと、危ないかもしれないからだ。


「……なかなかの逸材だな」


 そして板にクリップで張り付けた紙に書き込みをしている。

 それを見ながら


(伊達に皇后目指してたわけじゃ無いもんね)


 そんなことを心で呟いていたとき。



「おおおおお!」



 別の声がした。


 見るとそこには……



「魔法が得意だという話だが、これなら十分だ!」


「キミなら十分戦力になる!」



 ディーヴァくんが。


 自分の身長よりずっと大きな氷塊を前にして複数の面接官に絶賛されていた。


 彼は


「まあ、このくらいできないと体格で大人と渡り合えませんし」


 そう言って面接官たちに頭を下げている。


 どうやら彼も魔法を使えて……


 彼は私と違って、氷の精霊魔法が得意だったみたいだ。

 しかも、かなりの実力派。


(あの年齢で神の鎧の継承者だけあるってことなのか……)



 私は彼の実力の一端を目にして、彼に対する評価がさらに大きくなるのを実感していた。

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