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鎧召喚令嬢~元皇太子妃、追放されながらも少年と共に魔族を討つ~  作者: XX
第2章 出現する魔族たち

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第5話 神の鎧と魔族

 この世界には300年に1度の周期で、魔族という存在が魔界と呼ばれる場所から攻めてくる。

 魔界という場所がどこにあるのかは不明だ。

 誰も行ったことが無いからだ。


 魔族についてもよく分かっていない。

 ただ、何故か彼らは人間を目の敵にしていて、人間の世界を潰して自分たちの世界を創ろうとしていると言われている。

 話し合ったという話も無いから、話の通じない存在なんだろうと思う。


 帝国の歴史が始まって、これまで4回魔族の侵攻があり、そのたびに帝国は苦戦を強いられた。


 彼らの数はたった4体。

 だけど、その1体がそれぞれ一騎当千の強さを持っているらしい。


 しかも彼らは自分たちに服従を誓った人間を「眷属」という化け物に変える能力を持っている。

 眷属は人間の姿と怪物の姿を使い分けられる化け物で、その強さはバラツキがあるけれど軽視して良い強さではないそうだ。



 神の鎧はそんな魔族たちを倒すために、神が人間に与えた神器だと言われている。



 これまで4回の侵攻でも、神の鎧を着た戦士がたった1人で4体の魔族を討伐し、この国を救った。

 神の鎧の戦士が誰だったのかは不明だけど、その姿だけは伝えられていて


 それが、ディーヴァくんが着装した白い鎧の姿そのものだったんだ。




「知っての通り、この世界にやってくる魔族は全員分身で、本体は魔界にいると言われています」


 馬車に揺られながら。

 ディーヴァくんは私に説明をしてくれた。


 御者の人に聞かれるとマズいと思うのか、少し声量を抑えながら。


 そう。

 だからこその300年周期。


 彼らの分身をこっちの世界で倒しても、本体がやられていないから復活出来て。

 その復活までの時間が約300年。


 それはまあ、魔族の話を知っている人間であれば常識の話だ。


「だから、魔族を完全に倒すには魔界に行く必要があるわけです」


「それはそう。でも、誰も行ったことがないから」


 本体が魔界にあるなら、魔界に乗り込んで本体を倒せばいい。

 当たり前の話。


 だけど、その方法が無いから分身を延々倒し続けるしかない。

 それがこれまでの常識だった。


 だけど


「……実は、鎧の継承者だけが知ってることなんですが、魔界に行く方法はあるんです」


「えっ」


 ディーヴァくんのその言葉には思わず声が出た。

 それはすごいことだ。


 だけど……


「だったら何故、それを今までやらなかったの……?」


 その当然の疑問。

 私のその言葉に


「やらなかったんではなく、やれなかったんです」


 そう私の目を見てハッキリ言った。

 私はそこに嘘を感じなかった。


 ディーヴァくんは言った。


「魔界に行くためには、アスカさんが継承したもう1つの神の鎧が必要なんですよ」


 その方法とは……


 2つの神の鎧の継承者が、協力して4体の魔族全てを倒すこと。

 それを成し遂げたとき、魔界へ行く扉が開くらしい。


 そのときこそ、魔界に乗り込み魔族たち4体の本体を叩くことが出来る。


 それが今まで出来なかったのだ。

 私が継承した黒い鎧を装着した戦士がいなかったから。


 それはつまり……


「……それぐらい、私の継承した鎧が継承できないってことなの?」


 私のその問いに


「ある意味そうですね……」


 そう言って、ディーヴァくんは目を逸らした。

 何か、すごく言い辛い理由があるみたいだ。


 でもそれは……


 黒い鎧の着装者は早死にするとか、そういう恐ろしい理由ではない気がする。


 この子は多分そういうことをしない。


 それがなんとなく肌で分かったんだ。


 そしてそれは……


 はじめてデイバール殿下に引き合わせていただいたときに感じたことと同じで。

 あのときのことを思い出し、私の胸が沈んでしまう。



 私は皇太子妃の未来を断たれたのに、皇太子殿下を憎めないでいた。

 本当の信頼というものがあったなら、どれだけ証拠を積まれても皇太子殿下は私を信じてくれたはず。


 ディーヴァくんにも言ったけど、私が信用されていなかったことに大きな原因があるんだ。

 結婚するというのに、そこまでの信頼性を持っていただけなかった私にも落ち度がある……


 でも


 私に濡れ衣を着せて、ほくそ笑んでいる奴がこの世にいる。

 そしてそいつは、順調に自分の目論見を次に進めている……


 それを想像すると、どす黒い気持ちが湧くことは抑えられなかった。


 そいつはあんな汚い真似をして、聖人君子の顔をしているに違いない。

 許せなかった。


 そいつだけじゃない。

 そいつを受け入れているこの世界そのものが。



 醜悪な存在を許容する世界が許せない……

 私の中に、そんな思いがどうしても拭いきれずあって。


 自分でも情けなく思う気持ちがあったけど……

 どうしようもなかったんだ……。

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