第4話 神の鎧の継承者になってしまった!
神の鎧を身に着けたディーヴァくんは、背中の翼を羽ばたかせて飛行状態になり。
ミノタウロスに体当たりを敢行する。
『ウボアァァッッ!?』
突然の出来事に棒立ちになっていたミノタウロスはその一撃で転倒し。
その隙にディーヴァくんは
「アスカさん!」
私に向かって、何かを投げつけて来た。
それを私はキャッチして
見ると……
それは黒い球だった。
まるで闇を固めたような……
(何? これ?)
わけがわからなくて混乱する。
そんな私に
「アスカさん! その球を自分のものだと思ってください!」
「あなたなら継承できるはずです!」
「もうひとつの神の鎧を……!」
まくし立てるようにそう言って来た。
もうひとつの神の鎧……?
聞いたことが無かった。
神の鎧は300年に1度、魔界から攻め寄せてくる魔族たちを撃退する戦士が身につけるもので。
それはたった1つしか無かったはずで……!
だけど
「早く! 急いで!」
ハッとした。
見れば倒れたミノタウロスは起き上がりつつあり、もう1体も突然の出来事の衝撃から立ち直ろうとしている。
なので私は
(迷ってる暇なんてない!)
言われた通りに念じた。
この球は私のものだということを。
すると同時に……
私の脳裏に、イメージが浮かんだ。
それは黒い鎧で……
兜の意匠は狼の頭。
でも山羊の角を生やしていて。
背中には黒いカラスのような翼が生えている。
そして臀部に尻尾があって、それは蜥蜴か蛇のものに見えた。
鎧は私を見つめていて
こう言ったように思えた。
……良かろう。
お前を我の所有者と認めよう。
さあ、呼ぶがいい……!
気が付くとあの黒い球が手の中から消えていた。
私は……
手にしていた大鎌のその切っ先で自分を囲む円を描き
叫んだ。
「着装!」
その瞬間。
私の描いた円の軌跡が黒く染まり、そこから漆黒のナニカが飛び出し、私の身体を覆って行く。
ここには鏡が無いので自分の姿を確認することはできない。
だが、私は分かっていた。
円から飛び出し、私に装着されたのはあの黒い鎧。
装着はディーヴァくん同様一瞬で終わり。
私は鎧の装着を終えた自分の手を見つめ、激しく興奮していた。
(これが……もうひとつの神の鎧……!)
『ウオオオオ! ナンカ知ランガクラエ!』
そこにミノタウロスが私に向けて拳を振り下ろして来る。
単調な一撃。
でも、喰らえば致命的な威力を備えた一撃だ。
……さっきまでの私であれば。
私はその拳に左手を翳し。
掌で受け止める。
私の足がその衝撃で地面にめり込んだ。
だが
それだけだった。
「……もう終わり?」
恐ろしいほどの力が湧きだして来る。
ミノタウロスの破壊的な拳もものともしない、凄まじい力が。
『ナ……!』
ミノタウロスは動揺し。
私はその足に震えを見た。
コイツも力の差を悟りはじめている……!
だから私は右手に持った大鎌を振り上げ。
そのミノタウロスの右腕の肘から先を斬り落とした。
そのとき、大鎌を操る手が酷く軽かった。
『ギュアアアアアア!』
切断された右腕を押さえ、どす黒い血液を流して転げまわるミノタウロス。
私はそれに大鎌を突きつけながら
「次は無い」
そう言い放つ。
ミノタウロスは激しく首を縦に振りつつ
『ムリダ! ニゲヨウ!』
『コロサレル!』
そう口々に言って。
残った他の男たちも
「畜生! こんなの聞いてねえぞ!?」
「簡単に大儲けできるって話だったはずなのに!」
ミノタウロスがまるで相手になっていないことを理解し。
悲鳴を上げて逃げ去って行った。
その様子を見つめ
(危機は去ったか……)
そう思ったとき。
私の身体を覆っていた黒い神の鎧は独りでに外れ
虚空の中に消えていき。
「……やりましたね。あなたを探していたんです」
そして。
同じように白い神の鎧を解除して脱ぎ捨てたディーヴァくんにそんなことを言われた。
私は
「私を探していた……?」
わけがわからないからそう返すと。
彼は私に近づいて
私に頭を下げて
こう言ったんだ。
「アスカさん……単刀直入に言います」
真剣な目で。
それは……
「僕と一緒に魔族を倒して下さい!」
300年に1度、魔界から攻めてくる存在……魔族の撃退。
その共闘の要請だった。




