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鎧召喚令嬢~元皇太子妃、追放されながらも少年と共に魔族を討つ~  作者: XX
第3章 風の魔族と伝説の皇后

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第28話 ハスターの最後の言葉

 神の鎧の力で強化された身体能力と、神器であるマーファシアの大鎌。

 その2つの力は凍り付いたハスターを一撃で両断することを可能にした。


 2つになったハスターはドロドロに溶け始め。

 そして消えていく。


 だが、同時に


 そこに金髪金目黄金のドレスの少女……

 変身前のハスターが現れる。


(まだ終わりじゃない)


 そう思った私は、さらにその姿に鎌を振るう。

 下段から斬り上げる形だ。


 だけど


 それは手ごたえなくすり抜けた。

 それに私が愕然とする前に


『心配せんでももう終わっておる。おヌシらの勝ちじゃ』


 ハスターはやけに晴れやかな表情でそう告げる。


(……終わっている?)


 私たちは距離を開け、鎧の着装も解除せず。

 ハスターから目を離さず。


「……負けを認めるってこと?」


『ああ、そうじゃ』


 敵の言うことだ。

 完全に信用するわけにはいかない。


 だけど


「……もう一度聞くわ。あなたたちが失敗作ってどういうことなの?」


 会話できそうだったから、私はそう訊ねる。

 その私の言葉にハスターは苦笑した。


 そして


『これ以上は教えぬと言ったはずじゃが? ……まあ、良い』


 そう言って、ハスターは喋ってくれる気になったようだった。


 ハスターは言った。

 私たちに試すような視線を向けながら


『基本皆が平等で、飢えず、暑くも寒くもなく、渇かず、皆が日々幸せに楽しく生きる世界を実現した』


 そんなことを。

 一瞬わけが分からなかった。


 話の前後に繋がりが無いと思った。


 失敗作、という言葉に繋がらないと思ったんだ。

 だけど


『……そんな奴らが、創造神を自称する上位存在にいきなり失敗作と言われたとしたらどう思う?』


 ハスターの話は、その「繋がりようのない話」だったんだ。


 だから私は


「死に際に嘘を吹き込んでいこうって言うの……?」


 ほとんど反射的にそう言い返していた。

 創造神を自称する上位存在……?


 ありえないと思った。


 創造神は無からこの世界を創ったとされる。


 神はまず精霊を創り、精霊に命じて大地と海と空を創り、最後に私たち人間を創った。

 そう、私たちの神話では教えているから。


 だけど


『……ほらな。頭から否定する。だから面倒じゃ、説明しないと言ったのじゃ』


 ハスターは私の言葉にそう返し。

 不愉快そうな……いや、少し寂しそうな目をした。


 私はその目に


 何故だか罪悪感を覚えてしまった。

 なので


「待って」


 今の言葉、取り消す。

 もうちょっと詳しく説明して。


 そう言いかけたとき


 ハスターの身体がどんどん透明になっていく。


 消えるのかもしれない。


「ちょっと待って」


 まだ話を少しも出来ていない。

 聞きたいことがあるんだ。


 そう言おうとしたけど。


 その前に


『では、さらばじゃ』


 ハスターは消えて行った。


『……最後にひとつ。クトゥルーは他3人と違って己の役割を受け入れておらんでな……気をつけるがいい』


 そんな言葉を残して。




「……どういうことなんだろうと思う?」


 私は鎧の着装を解除しつつ、ディーヴァくんに訊ねる。

 彼も鎧の着装を解除しながら


「分かりません……」


 頭を振った。


 だけど


「ただひとつ言えることは……」


 思案顔で、彼。


「クトゥルーは全力で勝ちに来るだろう……ということでしょうか?」


 ハスターは勝つことを目的にしていなかった。

 正面から自分達と戦って、その結果がどうなるかはどうでも良さそうだった。


 まるで戦うこと自体が目的だったような……。


 そしてハスター曰く、クトゥルーだけは役割を受け入れていないらしい。


「だからルーイエの街では同じように行かないと思うべき……僕はそう思います」


 ディーヴァくんのその見解は私も同感だ。


 気をつけないと……





 そして私たちはレンヒルの街に戻り、神殿に向かった。


 私は持ち帰ったマーファシアの大鎌を振るい、舞を舞った。

 この神器のチカラを使うには、こうする必要がある。


 舞に関しては、私は皇后教育の一環で教えられている。


(もう意味がなくなったと思っていたことだけど……役に立ったな……)


 私は舞いながら思った。

 自分が受けて来た教育が役に立って本当に良かったと。


 そして



「ああ……」


「おお……」



 倒れていた病人たち。

 苦しんでいた病人たちの症状が消えていく。


 白骨病が消えていく。



(助けられた)



 そう思ったとき。

 私は舞を舞うのをやめ


 ディーヴァくんと一緒に神殿を後にした。



 ……次はルーイエの街だ。

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