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鎧召喚令嬢~元皇太子妃、追放されながらも少年と共に魔族を討つ~  作者: XX
第3章 風の魔族と伝説の皇后

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第27話 会心のコンビネーション

 風の刃は見えない。

 その上、速い。


(避け辛い)


 当たればとんでもないことになる。

 その予感があるのに避けるのが簡単ではない。


 私たちは防戦に追い込まれた。


「氷の盾よ!我らを守れ!」


 そのとき。

 ディーヴァくんが氷の精霊魔法を発動させる。


 ディーヴァくんが手を翳した目の前の空間に、分厚い氷の塊が出現し、それがハスターの風の刃を受け止める。


 だけど


 連続する炸裂音が響き、数秒で氷の盾は砕け散る。

 バラバラ落ちていく氷の塊。


(ディーヴァくんの魔法でも無理なの……?)


 私は焦りと共に


「ハスターを凍らせることは?」


「無理でした! すでに1回試みて、ダメだったんです! 発動しないんですよ!」


 ディーヴァくんも切羽詰まってるみたい。


 私もディーヴァくんも、ハスター相手には精霊魔法が通じない……!

 何てとんでもない化け物なのか。


 魔族……彼らが伝説の存在で、その出現を恐れられていることの意味がどうしようもなく理解できた。


 そこでハスターが愉し気に言った。


「氷の精霊魔法による凍結には、事前に精霊に水蒸気を集めさせなければならない制約があるでな。ならばその水蒸気の集中を阻止してやれば発動しない。……当然の理屈じゃな」


 水蒸気……

 それは流石に分かる。


 お湯を沸かしたときに蒸発する水のことだ。

 水が気体になり、空気中に散ったもののことだ。


 ここに至って、なんとなくわかって来た。


 このハスターが風の魔族と言われるのは


 空気を操作する能力があるからなんだ……!



 ハスターはそれを駆使して、私やディーヴァくんの精霊魔法を打ち消している。


 だったら



「ディーヴァくん! 床に氷の塊を出せる!?」


 私の言葉に


「やってみます!」


 ディーヴァくんはすぐに対応してくれた。


 私たちが飛行している真下の床に


「凍結せよ!」


 そして彼は冷気を発生させ、一抱えはありそうな氷の塊を出現させた。

 それを見て、思う。


(ハスターの傍で無ければ魔法は使えるのか)


 だとすると、ハスターのいう「自分の周りの空気を操作する」防御法は、射程距離が短いのかもしれない。


「ハスターの傍でなければ発動する」


「そのようですね」


 私の呟きにディーヴァくんがそう返してくれる。

 私は床の上に降り立った。


 そしてもう一度


「焼き尽くす火炎よ!」


 私は左手を翳し、強力な火炎魔法を発動させる。

 左手から噴き出した業火と言える火炎がハスターを飲み込む。


 だが


「……無駄だと言ったはずじゃが?」


 ハスターは平然としていた。

 ハスターの周囲に、火炎を阻む見えない壁が変わらず存在している。


 ハスターは言った。


「……酸素。酸素が無いんじゃ。気合いや根性ではどうにもならんでな。学べ」


 半ば呆れたような言葉。


 それに対して私は思う。


(別に根性論でやってるわけじゃない)


 これは本命じゃない。

 狙いは別にある。


 ただ、確証はない。

 打ち合わせもしていない。


 でも


(ディーヴァくんなら気づいてくれるかもしれない)


 期待はしていた。

 彼なら気づいてやってくれるかもしれないと。


 だから


「ディーヴァくん!」


 私は振り向かずに彼の名を叫び。

 続けて


「合わせて!」


 そう言った後。


 私は黒(・)い(・)神(・)の(・)鎧(・)に(・)備(・)わ(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)尾(・)を(・)伸(・)ば(・)し(・)た(・)。


 そう……黒い神の鎧には、白い神の鎧に無い部位がある。

 それは爬虫類生物に似た尻尾だ。


 これはある程度伸ばせるし、このように着装者の意志で操り、手足の如く操ることもできる。



 私はその力を駆使し。

 尻尾で私の後ろ……


 ディーヴァくんが先ほど出現させた氷塊を


 巻き付かせ。


 持ち上げ。


 ……投擲する!


 ハスターに向かって。


 ハスターは私が尻尾で行うことには警戒心を持たなかったようだ。


「な……?」


 ハスターがその言葉を発したとき。

 私が投げつけた氷の塊は私の火炎に飲み込まれ


 瞬く間に溶けて、液化し。


 その液化し、水になった元氷はそのままハスターの身体を包んで

 そして


「氷の牢獄に囚われよ!」


 ディーヴァくんの声が響き。


 そのまま、ガチガチに凍り付いていく


「うおおおおお?」


 ハスターの戸惑いと驚愕の声。

 その声を聞き


 私は震えた。

 それは……達成感と感動だった。


(やった……!)


 ハスターは気体を操ることが出来る。

 だがそれは射程距離があり


 ついでにいえば、気体以外は弄れない。


 だから私はディーヴァくんが生み出した氷の塊を投げつけた。

 そしてハスターの目の前で溶かして水にして。


 それを起点として、ディーヴァくんが凍らせてくれた。


(ありがとう……!)


 私は感謝し地を蹴り、羽ばたき、突き進み。


 目の前で氷の中に封じられているハスターに向けて


 振りかぶった大鎌の斬撃を叩き込み。


 ハスターの身体を袈裟に一撃で切断した。

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