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鎧召喚令嬢~元皇太子妃、追放されながらも少年と共に魔族を討つ~  作者: XX
第3章 風の魔族と伝説の皇后

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第25話 魔族の理由

 ハスター……

 風の魔族……!


 その伝説の存在に色々言いたいこと、訊きたいことはある。


 だけど


「何故あなたたちは人間界にやってくるの!?」


 あまり意識を働かせて会話できる相手じゃない。

 相手はそんなことは不能な相手だと歴史が教えている。


 だから深く考えなくても出てくる言葉をそのまま口にした。


 だけどハスターは私の言葉に


「……理由か。なかなか答えにくいことを言ってくるのぅ」


 予想外の態度を示した。

 真面目に考え始めたのだ。


 最初は私たちを動揺させて隙を誘おうとしているのかと思った。

 だけどそうじゃない。


 ハスターは


「……最初はまあ、嫌がらせじゃった。苛ついておったからな。だが1000年以上もそんな強いマイナス感情を維持するのはなかなか大変でな」


 自分の髪を弄りながらそんなことを言い。

 そして


「今はまあ『そういう役割だから』というのが一番しっくりくるかの」


 役割……?

 人間の世界で暴れまわり、命を奪うのが役割だって言うの……!?


 私はこのハスターが眷属化したというサミー巫女頭が引き起こした惨劇を思い出す。


「ふざけないで! あなたが作った眷属で、一体どれほどの被害が出ていると思ってるの!?」


 思わず口走った私の言葉に、ハスターは面倒そうな表情を浮かべる。


「そんなもんワシは知らぬわ。ワンプのチカラを与えたら面白そうなことをしそうな女があの街で巫女をしておった。そしてワシはその女にチカラを与えた。それだけの話よ」


 その言葉にはこちらを嘲笑う響きがなかった。

 だけど


 当然、責任感を感じる響きも無い。


 面倒な奴に面倒なことを言われた。

 その程度の反応でしか無かったのだ。


(コイツは赦してはいけない化け物だ)


 私はそのことを思い知った。

 魔族は信念も無く人を殺し、それを何とも思っていない。


 我々がその辺をはい回る虫を相手にしていないように。

 我々は害虫以外の虫については別に嫌ってはいないけど。


 だがそれでも、道端で踏み殺してしまっても罪悪感なんて抱かない。


 つまりは……そういうことなんだ。


 だから私は


「ディーヴァくん、もういいよね」


 倒そう。


 そう言いかけたとき。


「待って下さい」


 ディーヴァくんがそれに待ったをかける。


 ディーヴァくんは


「……嫌がらせということは、我々人類に魔族に憎まれる理由があるということですか?」


 ハスターの言ったことから、そこを指摘したんだ。

 私がハスターの言葉に怒りを燃やしていたとき。


 彼は私よりも冷静に、ハスターの言葉を聞いていたんだ。


 ハスターはそんなディーヴァくんを見て


「……ほお? ガキにしか見えんのになかなか冷静ではないか。面白いな」


 楽しそうにそう返す。

 とても「面白半分でチカラを与えてはいけない人間にチカラを与え、恐ろしい病を撒き散らした」と言った存在とは思えないほどに爽やかに。


 ハスターはまた少し思案し


「嘘をつくなと言われるとクソ面倒じゃ……だから1つだけ教えてやる」


 そう言った後。

 力強く


「おヌシたちがワシらに憎まれておったのは、ワシらが到底納得できない理由で失敗作呼ばわりされ、捨てられたからじゃ!」


「だからワシらがおヌシらを憎むのは当然じゃ!」


 ……そう、続けた。


 失敗作……?

 だから憎むのは当然……?


「どういうこと……?」


 理解ができない。

 意味が分からない。


 だけど


「質問は受け付けん!」


 ハスターは私の言葉を拒絶した。

 そして続けて


 変身を開始した。


 その身体が変化していく。

 身体を膨張させ、拡大し


 金髪の少女の姿から


 みるみる、全長数メートルに達する巨大な赤黒い色の異形の化け物の姿になっていく。


 それは全体的に見ると、人間の脳の形に似ていた。

 だが、その脳には巨大な目が無数についていて。


 そしてそれと同じくらい、血管によく似た触手が数えきれないほど生えていた。


 その化け物は変わらぬ少女の声でさっきの言葉を続ける。


 それは――


「他の訊きたいことは残りの魔族3体に訊くが良い!」


 私たちと会話する気はもう無いという完全な意思表示と。


「このワシに勝てればなぁ!」


 ――宣戦布告の言葉だった。

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