↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鎧召喚令嬢~元皇太子妃、追放されながらも少年と共に魔族を討つ~  作者: XX
第3章 風の魔族と伝説の皇后

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
20/28

第20話 ナイアルの正体

 ワンプの頭部が焼き尽くされ、灰になった後。

 胴体部分が人に戻って行った。


 切り裂かれた、女の首なし死体に。

 間違いない。


 ワンプは今、死んだのだ。


 すると


「サミー巫女頭……立派な方だと思っていたのに」


 巫女の何人かがその死体に歩み寄り、涙する。


 どうやら彼女は巫女たちの信頼をそれなりに獲得していたみたい。


(何故あなたはこれを見ようとしなかったの……?)


 あなたの周りには真面目に献身的に働く仲間がいたのに。

 一部のどす黒い悪に引っ張られ、全てがそうだと決めつけて。


 魔族に魂を売ってしまうなんて。


 その場はまだ混乱していた。

 巫女頭がいきなり怪物に変身し、その場で討伐されてしまうなんて。


 そんなに簡単には収まらないだろう。


 だが私たちにはこの人たちの心の平穏を取り戻すことよりもしなければいけないことがある。




「おめでとうございます」


 そして私たちが神殿を出たとき。


 神殿出入り口で、待ち構えている者がいた。


「あなたはナイアル……!」


「ええまた会いましたね」


 浅黒い肌の銀髪軽薄男……ナイアルは張り付いた笑みを浮かべたままそう言って


「私のヒントが役に立って何よりです」


 そんなことを愉しげに言う。

 私はその一言を聞き流すことが出来なかった。


「あなたがやったんじゃないの……? あなたがあの巫女頭にッ……!」


 この男は巫女頭の行動原理を知っていて。

 それをヒントとして出して来た。


 だったらそれを疑うのが当然のことだと思う。


 だけど男は困ったように微笑んで


「やってませんよ。言いがかりはよしてください」


 そう否定した。

 私は到底それで納得なんてできなくて


「あなた、魔族ナイアーラトテップでしょ!?」


 激情のまま、それを指摘した。

 男は


「ああ、それ言っちゃいましたか。皇后を目指していたなら、もう少し感情を抑えるべきですよ赤毛のお嬢さん」


 平然とそう言って


「……いかにも。私はナイアーラトテップですよ」


 認めた。


 私は即座に大鎌を構え。

 ディーヴァくんは剣を抜いた。


 その様子をナイアーラトテップは愉しげに見つめ


「……そのまま神の鎧を召喚して、私と雌雄を決しますか? それでも別に構わないですけど……ヒントはもういらないと?」


(こいつ……!)


 神の鎧のことを知ってる。

 その上で、私たちの前に出て来た……!


 ということは


(ここで戦うのはきっと得策じゃない……)


 私は大鎌を下ろした。

 隣に立っているディーヴァくんも同様だ。


 今ここで戦うのは良くない。


 そういう結論に達したらしい。


 それを目にしてナイアーラトテップはニッコリと笑い。

 面白そうに私たちを見つめ


「そうそう。冷静で何よりですお二方」


 ククク、と喉の奥で笑うような仕草をする。

 そして


「一応言っておきますけど、あの巫女さんを眷属化したのは私じゃ無くてハスターです。勘違いしないで下さい」


 そう言った後。

 続けて


「クレイブリッジ周辺でいじましく盗賊行為に勤しんでた負け犬民族さんたちを眷属化したのは私ですけどね」


 そう言った。


 ……あれはこの男が原因だったのか。


(あれでどれだけ被害が出たと思ってるの!?)


 その言葉で私は怒りが吹き上がり、大鎌を構えそうになったが、グッと耐える。


 ……伝承の通りだと思った。


 何を考えているのか全く分からない。

 ただ、思い付きで大惨事を引き起こす悪戯を繰り返し、その結果を眺めて愉しむ……


 そういう存在に見える。

 その結果、自分たちが敗北することを大して重要視していないのか。


 でも


「……ヒントって何?」


 これを信用なんて出来ないけど……

 これが話す「ヒント」というものには価値はある。


 それだけは今、確かだと私は思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感想をいただけましたら必ず返信致します。
些細な感想でも頂けましたら嬉しいです。
ブクマ、評価、いいね等、いただけましたら感謝致します。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。