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鎧召喚令嬢~元皇太子妃、追放されながらも少年と共に魔族を討つ~  作者: XX
第3章 風の魔族と伝説の皇后

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第17話 謎の男ナイアル

「どうしてあなたがここに……?」


 確かこの男性は、辺境防衛隊の兵士だったはず。

 何故ってあの辺境の砦での緊急事態で姿を見せていたからだ。


 彼は私のその言葉に


「いけませんか? あなたたちだって辺境防衛隊の兵士でしょ? 脱走兵ってことは同じはずです」


 そんなあまり返答になっていないことを、貼り付いた笑みを浮かべたまま返して来る。

 そして続けて


「私は別に脱走兵狩りの追っ手ではありませんのでご安心を」


 自分は敵ではない。

 そう、人を食った態度だけど。

 口の上ではそう主張して来る。


 それに関しては


(確かにこの男性からは殺気は感じない……)


 この男性はあまりにも胡散臭いが。

 明確にこちらへの害意のようなものは感じなかった。


 だから


「で、その同じ脱走兵さんが何の御用ですか?」


 信用できないが、ずっと相手をしているわけにもいかない。

 私はじっとその男ナイアルを見つめながら訊ねる。


 僅かな嘘も見逃すものか。

 その心で。


 ナイアルは笑みを浮かべたまま、その視線を私からディーヴァくんに向けた。

 そしてこう言って来た。


「ええとですね……そちらの凛々しい少年の人の推理が微妙に的外れなのでヒントを出して差し上げようかと」


「僕の推理が的外れ……?」


 ディーヴァくんが戸惑った様子を見せている。

 ナイアルはそんなディーヴァくんを面白そうに見つめ


「ええ。残念ながらそんな理由では無いんですよ」


 ナイアルは頷いた。

 そして彼は


「ヒントは昼にあって夜に無いもの」


 そんなことを言う。

 私たちの頭に疑問符が浮かんだ。


「昼にあって夜に無いもの……?」


 だから私たち2人は、同時に同じ言葉を繰り返した。


 何だろう……?

 太陽? 光?

 それだけ言われても正直何のことだか分からない。


 そんな私たちのことなどお構いなしに彼は


「ええ。寝てる相手を襲っても悲鳴が聞けませんよね?」


「えっ?」


 そう、さらに意味不明の言葉を続ける。

 なおさらわけがわからなかった。


「それどういうこと……?」


 もっと分かるように、詳しく説明して欲しい。

 そう言おうとしたら


「さて、ヒントは出しましたから後は自分で考えてくださいな」


 そうナイアルは私たちに向かって、一方的に会話を打ち切る宣言をし。


 私が慌てて「待って」と言おうとしたとき。


 その瞬間、急に砂嵐が巻き起こった。

 異様だった。


 さっきまで砂嵐が起きそうな気象状況では無かったはずだ。


 突然の砂嵐に私たちは砂から一瞬目を庇った。

 すると


 その一瞬で、ナイアルは姿を消していた。


 現れたときと同じく、唐突に。

 その出来事に私たちは困惑し、硬直していたけど


 やがて、私は思い至る。


(あの男性……ひょっとして魔族ナイアーラトテップ……?)


 その可能性に


 だって変過ぎるから。

 あの男、この街で起きていることを把握してる風で、そしてヒントを出してきた。

 何でそんなことが出来るのか?

 それは、あの男が人間では無いからだ。


 ……これはあり得る話だ。


 伝承によるとナイアーラトテップは意味不明の行動をするという。

 自分で自分たちの首を絞める動きをしたり。

 それを起点に人間を罠に掛けてきたり。


 まるで遊びでテキトーに、状況を引っ掻き回して喜んでいるような。


「あの男性……ひょっとしたらナイアーラトテップかもしれませんね」


 そして。

 ディーヴァくんも同じ結論に達したらしい。

 厳しい表情で、ナイアルと名乗った男が立っていた場所を見つめていた。


 あのナイアルという男はナイアーラトテップだった。


 だとすれば……


 今のヒント、出鱈目ではないのかもしれない。

 考えるべきかもしれない……。




 そして私たちは2人であの男から得たヒントについて話し合い。

 ひとつの推論を出した。


 それは……



 私たちはまた、神殿に戻って来ていた。


 中では巫女たちが忙しく働いていた。


 床に寝かされている病人の数が増えているように感じるのは気のせいだと思いたい。



 そこで私たちは真っ直ぐに、1人の巫女の背中に近づいた。


 その巫女は眼鏡を掛けたお下げの髪型の、茶髪の真面目そうな人物で……

 名前をサミーというらしい。


 この神殿に来たときに、私たちに「帰れ」と暗に言った女性だ。


「サミー巫女頭」


 そのとき。

 私の隣で、ディーヴァくんが彼女の背中に声を掛けた。


 その女性はその声で振り返り


「何でしょうか? 当神殿は見ての通りとても忙しく……」


 少し不機嫌な様子でそう返して来た。

 だけど私たちはそんな彼女の様子を無視し


「ここを忙しくしてるのはあなたでしょう?」


「全てバレているんですよサミーさん」


 そう、半ばカマかけだったけど。

 断定口調でそう彼女に言い放った。

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