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鎧召喚令嬢~元皇太子妃、追放されながらも少年と共に魔族を討つ~  作者: XX
第3章 風の魔族と伝説の皇后

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第15話 そこは戦場だった

 カダフス山。


 帝国を建国した初代皇帝が、この山の頂上で神に地上の支配を命じられたと伝えられている場所。

 歴代皇帝と皇后がこの山の周辺に葬られており、帝国にとっては聖地だ。


 だから本来は観光地としても賑わっている場所。

 私も昔、皇后教育の一環で来たことがある。




 色々乗り継いで、歩いて。

 この聖地にやって来た。


 カダフス山周辺で最も大きな街・レンヒル。


 そこに辿り着いてみると、魔族が出現したという話の割に街は意外にも破壊されていなかった。

 しかし……


「人が全くいないね」


 街を見回しつつ、私はそう隣を歩くディーヴァくんに話し掛けると


「そうですね。物理的に魔族の攻撃を受けているようには見えないですけど……まるでゴーストタウンだ」



 店は軒並み閉まり、外は誰も歩いていない。



 何故こうなのかの事情を知りたいけれど……

 人がいない。


「どうする……?」


 情けないけど。

 私はディーヴァくんに訊ねた。


 この状況でどう動くべきなのかを。

 分からなかったんだ。


 するとディーヴァくんは


「……神殿に行きましょう。神殿であれば、何があっても開いているはずです」


(確かに)


 神殿であれば確かに開いているはずだ。

 そして疫病が起きた際に病人を隔離する施設も神殿なのだ。


 行けば確実に色々分かるはずである。




 予想通り神殿は開いていた。


 石で作られた神殿の中では……


 病人が多数寝かされていた。

 ベッドの数が足りないみたいで。

 石の床に敷物を敷いて、そこに転がされていた。


 神殿の巫女たちが病人たちの世話をしつつ、神官の何人かが祈祷を行っていた。


 病室に使っている大部屋の中央に祭壇を設けて、そこで供物と共に祈りを捧げていた。


「儀式魔法の快癒祈祷でも治らないクラスの病気みたいですね……」


 ディーヴァくんが患者たちを見て顔を顰めている。


 儀式魔法とは精霊魔法とは違い、精霊以外の高位存在に貢物を捧げて願いを叶えてもらう魔法の総称だ。

 それには病気の治癒に関するものもあり、快癒祈祷というものをしてもらえば、それが治る魔法であるなら大体治る。


 だけど……


 もしその病が難病である場合は話が別。

 必ず治るとは限らないし、治らないかもしれないんだ。


 病人たちは顔色が悪く、手足の末端が緑色に変色している。

 明らかに重い病だ。


 全員苦しそうに汗を掻き呻き声をあげ。


 巫女衣装を着た巫女たちがその汗を拭き、手で熱を測っていた。


 ……ここは戦場だった。


(これが風の魔族ハスターの仕業だというの……?)


 だったらなんとしてでも倒さなければ。

 そう思った。


 すると


 巫女の1人が私たちを見て


「何の御用ですか? 申し訳ありませんが、当神殿は現在余裕がありません」


 余裕のない表情でこう言って来たんだ。


「懺悔や説法のご依頼はお受けできません。お引き取りを」


 普通に聞くとあんまりな内容だ。

 忙しいから帰れ、なんて。


 でも……


 その巫女は丸い眼鏡を掛けた茶色の髪のお下げの女性で。

 酷く真面目そうに見えた。


 そんな人物が思わずそんなことを言ってしまうほど、今が大変なのだろう。


 私は


「いえ、そういうわけではないです」


 そう言ってまず「懺悔や説法目的ではない」と否定した後。


「……この惨状は風の魔族ハスターのせいなんでしょうか?」


 そこを訊ねる。

 するとその眼鏡の巫女の人は首を左右に振り


 顔を顰めながら


「いえ、違いますね……眷属・ワンプがこの街に出現したんです」


 そう言った。

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