第五話 ここだけの話
前の晩は、久しぶりに雪が降らなかった。
日付が変わっても夏樹からの電話はなく、連日のように夜中から道路へ出ていた者たちは、久しぶりに朝まで眠ることができた。
もっとも、夜中の除雪がなかったからといって、昼間の仕事までなくなるわけではない。路肩には雪が積み上がり、交差点の見通しも悪くなっている。ロータリーで飛ばす場所もあれば、ダンプで雪捨て場へ運び出さなければならない場所も残っていた。
その日の仕事は、前日から夏樹が少し割り振りを変えていた。
午後になると、稲沢地区の重機車庫の前へ次々と車が入ってきた。
直営だけではない。楢山建設のダブルキャブ、そのほかの業者の軽トラックやバン、乗用車が駐車場を埋めていく。
車庫の中では、場所を空けるために何台かのローダーが外へ出されていた。空いたコンクリートの床に折り畳み椅子を並べ、休憩室からも椅子を運び込む。それでも足りず、壁際に立つ者もいた。
三十人を超えた。
最後の何人かが入ると、大きなシャッターが下ろされた。
「なんか悪い相談でも始まりそうだな」
後ろの方から声がした。
「いい相談ならシャッター閉めねえべ」
笑いが起きた。
だが、何のために集められたのかは、ほとんどの者が分かっていた。
黒いやつ。
いつからか、それだけで通じるようになっていた。
夏樹が前に立った。
「急に集まってもらって、すみません。仕事ある人もいるんで、そんな長くするつもりはないです。ただ、同じ稲沢地区で除雪してて、もう何人もあれに遭ってます。会社ごとに話が止まってると危ないんで、一回みんなで話した方がいいと思って集まってもらいました」
「市には言ったの?」
「今日のこれは言ってません。市にはそれぞれ報告上がってますし、警察にも行ってます。ただ、今日は現場の人間同士で話したいんです。ここで聞いたことも、わざわざ外で喋らないでもらえればと思います」
「警察、まだ熊って言ってんのか?」
「熊または大型獣、ですね」
「便利だな、大型獣って」
「何でも入るべ」
また笑いが起きた。
夏樹も少し笑ってから、集まった顔を見渡した。
「まず、実際に遭った人の話を聞きたいです。どこで、どうなったか。場所はみんなこの辺分かってるんで、大体でいいです」
最初は誰も口を開かなかった。
やがて楢山建設の男が、腕を組んだまま言った。
「うちの小さいローダー、横のガラス割られたことあったべ」
「ああ、あれな」
「最初の頃だべ」
「乗ってたやつ、今日来てねえの?」
「もういねえよ。クビになった」
何人かは知っていたらしく、特に驚かなかった。
「本人から聞いた話だと、横に黒いやつが来て、キャビンを何回か叩かれた。んで、横のガラス割られた。その頃はまだ熊じゃねえかって話だったけどな」
「熊がローダーのキャビン狙うか?」
「狙ったかどうかまでは分がらねえよ。ただ、割られたのは本当だ」
「中まで入ってきたの?」
「そこまではいってねえ。逃げたから」
別の男が声を上げた。
「俺ん時は後ろだった」
何人かがそちらを振り返った。
男の額には、まだ傷の跡が残っていた。
「ああ、おめだったな」
「後ろからいきなりドンってやられてよ。何だと思ってるうちに、また来た。振り向いてもよく分がらねえし、またドンって来るし」
「後ろ、へこんだんだっけ?」
「べっこりよ」
「ローダーも押されたの?」
「違う違う。俺が動かしたの」
男は苦い顔で笑った。
「びっくりして前さ出したんだ。したら前がスロープだったの忘れてて、そのまま落ちた」
「ああ、それでか」
「落ちた拍子に身体持ってかれて、顔からフロントガラスよ。鼻折って、額も切った」
「何針だっけ?」
「五針」
「痛えな」
「痛えなんてもんでねえよ。鼻血と額の血で顔じゅう血だらけになって、黒いやつどころでねぐなった」
何人かが苦笑した。
男は自分の額を指でなぞった。
「ローダー押されたんでねえぞ。そこは間違えんなよ。俺が驚いて前さ出して落ちたんだ。ただ、後ろの鉄板はへこんだ。何回も叩かれてな」
そこから、ぽつぽつと声が上がり始めた。
道路の真ん中にいた。バックしたらついてきた。ライトを当てても顔が分からなかった。近くに来ると、獣臭さに腐ったような臭いが混じっていた。
「毛は?」
「分がんねえ」
「黒いから見えねえってこと?」
「そうじゃねえんだよな」
その言葉には何人かが頷いた。
「ライト当てても、そこだけ真っ黒なんだよ」
「俺もそうだった」
「影みてえな?」
「影とも違う」
「辰雄さん」
夏樹が呼んだ。
「一回、辰雄さんの話してもらっていいですか」
「俺のはもう知ってるべ」
「知らない人もいますから」
辰雄は嫌そうに頭を掻いた。
「公民館の裏だ。雪置き場でローダー回したら、出口の方にいた」
「どのくらいの大きさ?」
「そん時は……熊よりでかかったかな。よく分がらねえ」
「逃げなかったの?」
「逃げるとこねえんだもの」
辰雄は腕を組み直した。
「出口一個しかねえし、そこにあいついるし。オラおっかねぇから、最初はどうすっかなって思ってたんだ」
「したら向こうがこっち見てんだよ」
「目あった?」
「目なんかねえって。んでも、こっち見てるのは分がるんだ」
「それで?」
「腹立ってきてよ」
「なんで?」
「知らねえよ。怖くて逃げられねえと腹立つべ」
何人かが笑った。
「向こうから来たから排土板落とした。一回やって、それでも動いたから、また上げて落とした。あとは何回やったか覚えてねえ」
「死んだ?」
「それが分がんねえんだよ」
「消えたってやつ?」
「そうだ。黒い煙みてえになって、そのまま消えた」
「ほんとに?」
辰雄の顔が険しくなった。
「嘘ついてどうすんだよ」
「いや、そういう意味でねえって。煙になって消えるってのがよ」
「俺だって知らねえよ。目の前でそうなったんだもの」
「死体は?」
「ねえ」
「血は?」
「ねえ。毛も肉も何にもねえ。臭いだけ残った」
少し離れたところにいた譲が口を開いた。
「辰雄さんの言ってること、本当だと思いますよ。俺も見たんで」
視線が集まった。
「この前のニーナナのやつか」
「そうです」
譲は壁から背を離した。
「田んぼの道の突き当たりで出ました。雪壁の前にいたんですけど、こっち来たんで排土板当ててみたんです」
「逃げなかったの?」
「辰雄さんがやったって聞いてたんで」
「怖くなかった?」
「怖いっていうより、どのくらい力あるのか分かんなかったんで、最初はゆっくり当てました」
「どうだった?」
「普通に押せました」
「ニーナナで?」
「はい」
「押し返してこなかった?」
「そんな感じじゃなかったです。こっちの方が全然強いです」
「じゃあ、車へこませるくらい力あっても、ローダー相手じゃ駄目なのか」
「少なくとも俺の270なら余裕ありました」
「どこまで押した?」
「そのまま雪ごと押して、突き当たりの雪壁までです。ただ、押しつけようとしたら排土板に腕掛けて上がってきました」
「上がってきた?」
「はい。こっちに」
譲が自分の胸元を指した。
「立ったら二メートルくらいあったと思います。排土板の上から胸より上が出て、腕掛けて上がってきたんで」
「キャビン狙ったのか?」
「分かんないです。でも、そのまま来られたらキャビンでした」
楢山建設の男が黙って聞いていた。
「それでどうした?」
「排土板上げて、振って落としました。落ちたところをそのまま押さえました」
「それで死んだ?」
「その時はまだ動いてました」
「そこに俺が行った」
智也が言った。
「無線聞いてたから」
「呼ばれたんじゃねえの?」
「呼ばれてねえ。近かったから行っただけ」
譲が笑った。
「この人、来てから一回降りてきたんですよ」
「それ言わなくていいべ」
「降りたのかよ」
「馬鹿でねえの?」
車庫の中がどっと沸いた。
「いや、譲が押さえてたんだもの」
「それでも降りねえべ普通」
「見たかったんだよ」
「何をよ」
「顔とか」
「顔あった?」
「なかった」
さらに笑いが起きた。
智也も笑いながら首を振った。
「近くで見ても同じだ。目も鼻も口も分がらねえ。毛も分がらねえ。ただ真っ黒。頭みてえな形はあるんだけどよ」
「触った?」
「触るわけねえべ」
「降りるくらいだから触るかと思って」
「そこまで馬鹿でねえよ」
「大して変わらねえべ」
「うるせえ」
笑いが収まるのを待って、智也は続けた。
「それで俺は、譲がニーナナで押さえてる所を、俺のニヒャクで横から潰した。俺の方からは排土板で見えなかったけど、譲が見てた」
譲が頷いた。
「俺の方からは頭と腕が見えてました。最初まだ動いてたんですけど、しばらくしたら頭の方から崩れ始めて」
「崩れる?」
「黒い煙みたいになっていくんです。辰雄さんが言ってたのと同じです」
「だべ」
「頭がなくなって、腕もなくなって、そのまま見えてるところ全部消えました。最後まで押さえてたんですけど、全部消えた瞬間、排土板がドンって落ちました」
「前輪浮くくらい押してたんだっけ?」
「少しですけどね。消えたら支えてるものなくなったみたいになって、そのまま落ちました」
「智也さんは見えなかったの?」
「見えねえよ。俺は横から押してたから排土板の裏しか見えねえもの。無線でどうなったって聞いてた」
「で、どけたら?」
「何にもねえ」
智也は両手を広げた。
「潰れた雪だけ。血もねえ、肉もねえ、毛もねえ。くせえだけ」
「臭いすごかったな」
「俺のもだ」
辰雄が言った。
「雪押して帰っても取れねえんだもの」
「だからあの日、車庫くさかったのか」
「俺のせいにすんな」
笑いが起きた。
笑いが収まると、車庫の中がまた静かになった。
「結局、何なんだ?」
誰かが言った。
誰も答えなかった。
「生き物なのか?」
「足跡つくんだから生き物でねえの?」
「生き物が煙になって消えるか?」
「知らねえよ」
「二回やったんだべ?」
「二回だな」
「じゃあ殺せるってことか」
辰雄が首を振った。
「それも分がらねえ。死体ねえんだぞ。殺したって言っていいのか?」
今度は誰も何も言わなかった。
夏樹が口を開いた。
「何なのかは、今ここで考えても答え出ないと思います。ただ、重機で押せるのは分かった。譲のニーナナならかなり余裕がある」
「八トンは?」
後ろから声が飛んだ。
譲が答えた。
「力だけなら八トンでもいけるんじゃないですか。俺のニーナナじゃ全然相手にならなかったんで」
「じゃあ出たら潰していいの?」
「追っかける必要はないです」
夏樹が言った。
「逃げられるなら逃げてください。向こうが退がったなら追わない。逃げ道塞がれたとか、向こうから来たとか、どうにもならない時に重機で押せるなら押す。それでいいと思います」
「潰せるときは潰す。逃げるときは逃げろってことだな」
「そうです。あと、絶対に降りないでください」
夏樹が智也を見た。
「何で俺見るのよ」
「一番言わなきゃ駄目だからです」
「一回だけだべ」
「一回でも駄目です」
「分がったよ」
「ほんとに?」
「分がったって」
「次やったら助けに行きませんからね」
「それは来いよ」
車庫の中に笑い声が響いた。
その後も、話はしばらく続いた。
どの路線だったか。どれくらい追ってきたか。どんな臭いだったか。大きさはどのくらいだったか。
同じものを見ているはずなのに、最初の頃の目撃と最近の目撃では大きさが違っている。
「やっぱりでかくなってねえか?」
「俺が見た時、二メートルなんかなかったぞ」
「俺ん時もだ」
「同じやつなのか?」
「それすら分がらねえべ」
*
一台の軽トラックが重機車庫の前を通り過ぎた。
運転していた後藤慎吾が、バックミラーへ目をやった。
「勇」
「はい?」
「今の何だ?」
助手席の佐藤勇が振り返った。
「ずいぶん車いますね」
後藤は速度を落とした。
重機車庫の前には二十台を超える車が停まっていた。軽トラック、軽バン、乗用車。その中には楢山建設のダブルキャブもある。
車庫の前には、普段なら中に入っているローダーまで何台か出されていた。
それなのに、大きなシャッターは全部閉まっている。
「楢山いるな」
「いますね」
「あれ、小野寺さんの車でねえか」
勇もそちらを見る。
「そうですね。向こうの白い軽トラ、伊藤さんじゃないですか」
「ああ、伊藤だな」
「会社ばらばらですね」
「除雪の連中だべ」
後藤は車庫を通り過ぎてから、少し先で軽トラックを停めた。
「なんかやってんな」
「打ち合わせじゃないですか?」
「こんな人数で?」
後藤はバックミラーを見た。
「ちょっと見てくるか」
「関係ない集まりだったら邪魔ですよ」
「聞くだけだ」
二人は車を降り、車庫まで戻った。
後藤が人用の出入口まで行き、ドアノブに手を掛けた。
「――黒いやつ、あれ熊じゃねえべ」
中から聞こえた声に、後藤の手が止まった。
勇と顔を見合わせる。
「……黒いやつだってよ」
「みたいですね」
後藤はドアを開けた。
中にいた何人かが振り返った。
「あれ?」
「後藤さん?」
夏樹も入口を見る。
「どうしたんです?」
「いや、前通ったら車いっぱい停まってるから、何してんのかと思ってよ」
後藤は中へ入りながら、集まっている顔を見渡した。
「今、黒いやつって聞こえたけど。あれの話してんのか?」
「そうです」
「俺らも聞いていいか?」
「どうぞ」
勇も後藤に続いて中へ入った。
夏樹が、それまでに出た話を簡単に伝えた。
辰雄が一度。譲と智也が一度。
重機で黒いものを押し潰した。
二度とも死体は残らず、黒い煙のように崩れて消えた。
後藤は途中から口を挟まなくなった。
「二回ともか?」
「はい」
「何にも残らねえ?」
「何にも」
「血も?」
「ないです」
「毛も?」
「ないです」
「臭いだけ?」
「そうです」
後藤は腕を組んだ。
「訳分がんねえな」
「俺らも分かんないですよ」
その時、楢山建設の男が言った。
「そういや俺、昼間に見たって話は聞いたことねえな」
後藤がそちらを見た。
「昼?」
「うん。俺が聞いてるの、全部夜だ」
「俺も二時過ぎだったな」
「俺は三時半」
「楢山の最初のも夜中だべ」
「そうだな」
次々に声が上がった。
「俺、一時過ぎ」
「智也さんは?」
「三時くらいだった」
「祐介も夜中だべ?」
「夜中です」
「浩志は?」
「俺も夜中」
「新聞屋が見たのも朝刊配ってる時だべ」
「ティックトックの連中も四時頃でねかった?」
「そうだな」
後藤の表情が変わった。
「ちょっと待で。昼に見だやつ、本当に一人もいねえのか?」
三十人を超える男たちが互いの顔を見た。
誰もいなかった。
「聞いたことあるやつは?」
それにも声は上がらない。
後藤は勇を見た。
「勇。おめ、昼回って何か見だか?」
「見てません」
「俺もねえ」
「でも、昼に出ないって決まったわけじゃないですよ」
「そうだけどよ」
後藤はそれ以上言わなかった。
しばらくして、集まった男たちへ目を向ける。
「猟師ってのは夜間の発砲は一発で免許剥奪でコレだ」
そう言うと、後藤は両腕を前へ出し、左右の手首を揃えた。
何人かが笑った。
「だがら、夜中に変な音聞いても関知するな。知らねふりせ」
「なんだそれ」
誰かが笑いながら言った。
後藤も口元には笑みを浮かべていた。
だが、その目を見て、続きを言う者はいなかった。
さっきまで残っていた笑いも、いつの間にか消えていた。
後藤は何事もなかったように腕を組んだ。
それ以上、その話に触れる者はいなかった。
しばらくして、夏樹が集まりを終わらせた。
大きなシャッターが上がった。
冷たい空気と冬の白い光が流れ込み、外へ出していたローダーの姿が現れた。
椅子を片づける者、会社へ戻る者、途中だった仕事へ戻る者。それまで車庫を埋めていた男たちが、次々に外へ出ていった。
後藤と勇も軽トラックへ戻った。
もともと二人は、このあと稲沢地区をひと回りするつもりだった。
後藤が運転席に乗り、勇が助手席へ乗り込んだ。ドアが閉まり、エンジンがかかる。
軽トラックが車庫を離れた。
しばらく走ってから、勇が口を開いた。
「慎吾さん」
「ん?」
「夜中に銃持って出ないでくださいよ」
「何の話よ」
「さっきの話ですよ」
「何が?」
「分かってるでしょう」
後藤は前を見たまま笑った。
「夜間発砲したら免許なくなって手錠だとか、変な音聞いても知らねふりしろとか。あんな顔して言われたら分かりますよ」
「考えすぎだ」
「慎吾さんだから言ってるんです」
「俺を何だと思ってんだ」
「そういうことやりそうな人です」
「ひでえな」
後藤は笑った。
雪壁に挟まれた道をしばらく走ったところで、不意に言った。
「勇」
「はい?」
「俺、用事あるの思い出した」
「え?」
「今日の見回り中止だ」
勇が横を向いた。
「……用事ですか?」
「ああ」
「何の?」
「用事は用事だ」
「さっきまで何も言ってなかったじゃないですか」
「今思い出したんだもの」
「今日、こっち回って山際見て、それから上の方まで行くって言ってたでしょう」
「行がね」
後藤はウインカーを出した。
「今日は解散」
曲がった先は、勇を送る方角だった。
勇はしばらく黙っていた。
「慎吾さん」
「なんだよ」
「昼はいないって思ったんでしょう」
後藤は答えなかった。
「だから見回りやめるんですよね」
「三十人以上いたな」
「いましたね」
「あいつら、毎晩みてえに稲沢地区じゅう走ってる連中だ。その中で昼に見たやつ、一人もいねえ」
「だからって、絶対出ないとは限らないですよ」
「俺らだって昼、何日探したよ」
勇は少し考えた。
「……見てませんね」
「だべ」
「でも、それと用事は別でしょう」
「用事もある」
「何のですか?」
「忘れた」
勇が呆れたように後藤を見る。
「やっぱり用事じゃないじゃないですか」
「細けえな」
後藤は笑った。
勇はシートへ背中を預けた。
しばらくして、もう一度横目で後藤を見る。
「夜中に銃持って出ないでくださいよ」
「しつけえな」
「それだけは言っておきます」
「はいはい」
後藤はそれ以上、何も言わなかった。
その日を境に、後藤慎吾は昼間のパトロールへ出なくなった。




