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1話ー④ 宣戦布告

ヴァンキッシュの『――準備せよ。』の一言を受け、八冥王は静かに頭を垂れた。

その後、魔族の諜報部隊から次々と新たな報せがもたらされる。

妖族との同盟交渉は、聖族の巧妙な調略によって大きく揺らいでいた。

『魔族は妖族を利用し、いずれは支配する。』

そのような虚偽が各地へ流され、妖族内部では同盟反対派が急速に勢力を拡大する。

さらに、その裏では賢族が聖族へ知略を授け、調略に深く加担していたことも、魔族の諜報部隊によって判明した。

やがて妖族との交渉は決裂。

魔族は唯一の友好国を失う。

一方、獣族も情勢を見極めた末、勢いを増す聖族陣営へと傾いた。

彼らにとって生き残ることこそが最優先であり、勝者となる側へ与するのは当然の選択だった。

そして小人族も、古くから続く聖族との交易と盟約を重んじ、聖族陣営への協力を表明する。

六大種族の均衡は崩れ去った。

聖族、賢族、獣族、小人族、妖族。

五つの種族は、それぞれ異なる思惑を抱きながらも、共通の敵として魔族を選んだのである。

その報告を受けたヴァンキッシュは、静かに目を閉じた。

怒りはない。

焦りもない。

すべては想定の内だった。

『……世界は、ついに牙を剥いたか。』

ゆっくりと立ち上がる。

その瞳に宿るのは、絶対の自信。

そして、揺るぎない覇道への意志だった。

ヴァンキッシュは玉座の間へと歩みを進める。

そこには、主君の命を待つ八冥王が、臣下の礼を尽くして待っていた。

『八冥王よ、私が望むものは、この世界だ。

世界のすべてを敵に回そうとも構わない。私は必ず、この世界を手にする。

私に続け。我らが覇道は、誰にも止められぬ。』

魔皇の言葉は、八冥王の胸に深く刻み込まれた。

やがて、それぞれに新たな使命が下される。

第一席センチュリー、第三席ヴィルフェイエは、西方――妖族の国クアログラン方面へ。

第二席ゲクシー、第五席ラングエルドは、東方――獣族の国ソブリン方面へ。

第六席ヴェゼル、第七席コアードは、北方――聖族国家連合との国境へ。

そして第四席アレディフェ、第八席トレイルエクスは魔国アーストンに残り、来るべき戦いに備え、魔皇ヴァンキッシュの命を待つ。

八冥王は一斉に立ち上がると、それぞれの使命を胸に玉座の間を後にした。

西へ、東へ、北へ――。

世界はまだ静寂に包まれている。

だが、その静寂は、間もなく終わりを告げる。

魔皇ヴァンキッシュの覇道は、今まさに世界へと動き始めようとしていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。もし「続きが気になる」「おもしろい」と思ってくださったら、ページ下部の【ブックマークに追加】や、評価の値【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると、毎日の執筆と更新の大きな励みになります!次回は、明日【21:00】に更新します。

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