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6話ー⑦ 迫り来る大軍

累計1000PVを超えました!!

ありがとうございます!!

これからも宜しくお願いします!!

戦場は、未だ激戦の最中にあった。

魔族軍は獣族軍の猛攻を幾度となく退けている。

一人ひとりの戦闘能力。

兵士たちの練度。

そして、センチュリーとヴィルフェイエによる指揮。

その全てにおいて、魔族軍は獣族軍を上回っていた。

しかし――。

それでも、戦況は少しずつ変化していた。

『左翼、後退!!』

『第二隊、前へ出ろ!!』

『負傷兵を下げろ!!』

怒号が飛び交う。

魔族兵たちは必死に戦線を維持していた。

敵を倒す。

押し返す。

そして、また押し寄せる。

獣族軍は、まるで尽きることのない波のようだった。

一つの部隊を撃破しても、その後ろから新たな部隊が現れる。

『くそっ……また来たぞ!!』

『何人いるんだ、あいつらは!!』

『怯むな!! 迎え撃て!!』

魔族兵たちは武器を握り直す。

だが、その動きには先ほどまでの鋭さが僅かに失われ始めていた。

疲労。

それは確実に蓄積していた。

倒れた仲間を横目に見ながら、それでも兵士たちは戦う。

『まだだ……』

『まだ橋頭堡は落ちていない!!』

その声に呼応するように、別の兵士が叫ぶ。

『そうだ!!』

『八冥王様方が戦っている!!』

『我らが退く理由などない!!』

兵士たちは再び前へ出る。

その中心では、センチュリーが一人、獣族兵の群れと対峙していた。

『――来なさい』

低い声。

次の瞬間。

拳が振り抜かれる。

『ぐあっ!!』

獣族兵が吹き飛ぶ。

続けざまに二人。

三人。

センチュリーの拳が敵を次々と打ち倒していく。

しかし、その先からさらに敵が現れる。

センチュリーは僅かに目を細めた。

『……まだ来ますか』

振り返る。

遠くではヴィルフェイエが指揮を続けている。

『右翼はそのまま!』

『中央の部隊を少し下げてください!』

『敵を深く引き込みすぎてはいけません!』

冷静な指示が飛ぶ。

魔族軍はヴィルフェイエの指揮によって、何とか敵の攻撃を受け流していた。

だが――。

『……妙ですね』

ヴィルフェイエが呟く。

目の前の戦場では、魔族軍が確実に押され始めている。

『いくら倒しても……』

その先。

獣族軍の後方から、また新たな軍勢が姿を現す。

『……まだ、これほど残っている』

ヴィルフェイエは微笑みを浮かべながらも、瞳だけは鋭かった。

『これは……少々厄介ですね』

センチュリーもまた、戦場全体を見渡す。

『ヴィルフェイエ』

『はい』

『そろそろ、我らだけでは厳しくなってきましたね』

ヴィルフェイエは僅かに沈黙した。

『……ええ』

その言葉は、二人にとって初めての認識だった。

戦える。

まだ戦える。

だが――。

このままでは、いずれ押し切られる。

魔族軍の兵士たちも、それを感じ始めていた。

『交代部隊はまだか!?』

『もう予備隊は使い切った!!』

『ならば今いる兵だけで持たせろ!!』

『無茶を言うな!!』

叫び声が飛び交う。

戦線が少しずつ後退していく。

ほんの数歩。

しかし、その数歩が積み重なっていく。

橋頭堡の中心部へ。

魔族軍は、確実に押し込まれていた。

――その頃。

魔国アーストン。

魔皇城バルルモラ。

玉座の間には、静かな時間が流れていた。

玉座に座るヴァンキッシュ。

その前には、数名の伝令兵が並んでいる。

『申し上げます』

一人目の伝令兵が跪いた。

『西方戦線、獣族軍の攻勢は未だ衰えておりません』

『魔族軍は橋頭堡を維持しておりますが、敵の物量により徐々に押されております』

ヴァンキッシュは黙って聞いていた。

『続けよ』

『はい』

伝令兵が続ける。

『センチュリー様、ヴィルフェイエ様が前線にて指揮を執り、敵の攻撃を多数撃破』

『しかし、獣族軍の数は依然として圧倒的です』

ヴァンキッシュは僅かに目を細める。

『被害は』

『……魔族軍にも相当数の負傷者が出ております』

玉座の間に静寂が落ちる。

そこへ、別の伝令兵が駆け込んできた。

『申し上げます!!』

『西方より追加報告です!!』

『申せ』

『獣族軍がさらに予備戦力を投入!!』

『魔族軍の右翼が後退を開始しました!!』

ヴァンキッシュは静かに目を閉じる。

そして、しばし考える。

その表情には焦りなど微塵もない。

むしろ、全ての情報を頭の中で組み立てているようだった。

『……なるほど』

小さく呟く。

『獣族は、勝負を長引かせるつもりはないようだな』

傍らに控えていた側近が口を開く。

『魔皇様……』

ヴァンキッシュは答えない。

目の前に広げられた西方戦線の地図へ視線を落とす。

魔族軍の配置。

獣族軍の進行。

橋頭堡。

そして、その後方。

全てを一つずつ確認する。

『センチュリーとヴィルフェイエだけで、ここまで持たせたか』

その声には、僅かな感嘆があった。

だが――。

『しかし』

ヴァンキッシュの指が、地図上の橋頭堡へ触れる。

『このままではいずれ限界が来る』

誰も口を開かない。

ヴァンキッシュは立ち上がった。

『西方へ増援を送る』

側近たちが一斉に顔を上げる。

『……増援を、でございますか?』

『ああ』

ヴァンキッシュは淡々と答える。

『この戦いは、センチュリーたちだけに任せる戦いではない』

そして――。

その名を口にした。

『トレイルエクスを呼べ』

玉座の間に緊張が走る。

『第八席トレイルエクスと、一軍を西方へ向かわせる』

側近は深く頭を下げる。

『承知いたしました』

ヴァンキッシュは再び地図へ目を落とす。

『西方を獣族に奪わせるつもりはない』

静かな声。

しかし、その言葉には揺るぎない意志が宿っていた。

『必ず、守り抜け』

そして――。

西方戦線へ向け、新たな戦力が動き始める。

戦場では今も、獣族の大軍が押し寄せている。

その猛攻を受け止めるセンチュリーとヴィルフェイエ。

そして間もなく――。

八冥王、第八席。

トレイルエクスが戦場へ向かうこととなった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。もし「続きが気になる」「おもしろい」と思ってくださったら、ページ下部の【ブックマークに追加】や、評価の値【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると、毎日の執筆と更新の大きな励みになります!次回は、明日【21:00】に更新します。

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