1話ー② 宣戦布告
荘厳華麗な玉座の間。
天井を支える幾本もの黒き大柱には精巧な彫刻が施され、壁には魔国アーストンの栄華を物語る装飾が並ぶ。その最奥には、漆黒の玉座が静かに鎮座していた。
『魔皇ヴァンキッシュ様、ご入場!!』
高らかな声が響くと同時に、大扉がゆっくりと開く。
ヴァンキッシュが堂々と歩みを進める。
左右に整列した八冥王は一斉に片膝をつき、深く頭を垂れた。
玉座へ腰を下ろしたヴァンキッシュは、静かに口を開く。
『面を上げよ。』
その一言に、八人は一斉に顔を上げた。
第一席センチュリーは揺るぎない忠義を宿した眼差しで。
第二席ゲクシーは闘志に満ちた鋭い表情で。
第三席ヴィルフェイエは冷静沈着な微笑を浮かべ。
第四席アレディフェは穏やかな面持ちで。
第五席ラングエルドは屈強な武人らしく胸を張り。
第六席ヴェゼルは静かな気品を漂わせ。
第七席コアードは毅然とした表情を崩さず。
そして第八席トレイルエクスだけは、無表情のままヴァンキッシュを見据えていた。
『報告を。』
センチュリーが一歩前へ出る。
『聖族、並びに賢族に不穏な動きが見られます。』
続いてゲクシー。
『妖族との同盟は順調です。締結も間近かと。』
ヴィルフェイエが静かに続ける。
『各国の有力者と国家運営の実態は、概ね把握しております。』
アレディフェ。
『国内に大きな混乱はございません。』
ラングエルド。
『各軍団、いつでも進軍可能です。』
ヴェゼル。
『内政も順調にございます。』
コアード。
『民にも動揺は見られません。』
最後にトレイルエクスが短く告げた。
『……異常なし。』
報告を聞き終えた参謀ヴォランテが一歩前へ出る。
『以上の報告を総括いたしますと――』
その瞬間だった。
――バンッ!!
玉座の間の大扉が勢いよく開かれる。
『魔皇様!! 皆様!! 急ぎご報告があります!!』
側近ヴァンテージが息を切らせながら駆け込んできた。
玉座の間に緊張が走る。
『申せ。』
ヴァンキッシュの静かな一言に、ヴァンテージは息を整え、叫ぶように報告した。
『聖族が国境を侵犯しました!!』
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