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1話ー① 宣戦布告

魔国アーストン――首都ジェードズム。

首都の中央には、西洋の古城を思わせる巨大な城が静かにそびえ立つ。

魔皇ヴァンキッシュの居城――

バルルモラである。

その一室。

多様な言語で記された書物が整然と並び、薄暗く静まり返った部屋は、思索にふけるには最適な空間だった。

机の上には一枚の大陸地図。

ヴァンキッシュは指先で国境を静かになぞりながら、物思いにふける。

『北の聖族……目障りだな……。

賢族もまた、小賢しい真似を。』

誰に聞かせるでもない呟きは、静寂の中へ溶けていった。

――コン、コン。

静かな部屋に、控えめなノックが響く。

『魔皇様。第一席センチュリーでございます。お目通り願います。』

『入れ。』

『はっ。失礼いたします。』

扉が開き、センチュリーは室内へ入ると、迷いなく片膝をついた。

『二人だけだ。構わん、楽にしろ。』

『ありがたきお言葉。』

センチュリーは静かに立ち上がる。

『聖族と賢族の動向、それに妖族と我ら魔族との関係に進展がございましたので、ご報告に参りました。』

『……聖族が動いたか。』

『はっ。欲に駆られた国境付近の者どもが動き始めております。』

『その背後は。』

『有力貴族、そして賢族の関与が疑われます。』

ヴァンキッシュは地図へ視線を落としたまま、小さく息をつく。

『やはり中央貴族までは掴めぬか。なかなかに強かな者どもだ。』

『他の八冥王も玉座の間にてお待ちしております。魔皇様、お手数ですがご足労願います。』

『よかろう。』

ヴァンキッシュはわずかに口元を緩めると、静かに部屋を後にした。

やがて、荘厳華麗な玉座の間に高らかな声が響き渡る。

『魔皇ヴァンキッシュ様、ご入場!!』

最後までお読みいただき、ありがとうございました。もし「続きが気になる」「おもしろい」と思ってくださったら、ページ下部の【ブックマークに追加】や、評価の値【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると、毎日の執筆と更新の大きな励みになります!次回は、明日【21:00】に更新します。

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