幕間ーー魔皇城の休息
魔皇城バルルモラ――執務室。
山のように積まれていた書類は、ようやく片付いていた。
ヴァンテージは大きく背伸びをする。
『終わりましたぁ……。』
隣ではヴィラージュが紅茶を淹れている。
『お疲れ様です、ヴァンテージ。』
『肩が固まりました……。』
『だから姿勢が悪いんですよ。』
二人が笑い合っていると、廊下の向こうから重たい足音が響く。
ズシン。
ズシン。
『あら。』
『来ましたね。』
扉が勢いよく開いた。
『アタシも終わったわよぉ!!』
現れたのはラピートだった。
二メートルを優に超える大柄な体。
筋骨隆々の腕。
だが口調だけは妙に艶っぽい。
『書類なんて嫌になっちゃうわぁ。』
ヴァンテージは苦笑する。
『ラピートさん、その腕で机を壊さないでくださいね。』
『失礼ねぇ。アタシ、力加減くらいできるわよぉ。』
そのまま椅子へ腰掛けた瞬間。
バキッ。
椅子が悲鳴を上げた。
三人は静かに固まる。
『……。』
『……。』
『……壊れたわ。』
『だから言ったじゃないですか!』
ヴィラージュが思わず吹き出す。
『ふふっ……。』
『笑わないでちょうだい!』
そこへ執務室の扉が再び開く。
『交代の時間だ。』
トレイルエクスだった。
その後ろにはアレディフェも立っている。
『ここからは我々が引き継ぐ。』
『皆さんは少し休憩してください。』
ヴァンテージは頭を下げた。
『ありがとうございます。』
ラピートは立ち上がる。
『頼んだわよぉ。アタシ疲れちゃった。』
トレイルエクスは周囲を見渡す。
『……椅子が壊れているが。』
三人は一斉にラピートを見る。
『……。』
『アタシじゃないわよぉ?』
『誰が信じるんですか。』
ヴァンテージが即座に突っ込む。
ヴィラージュは笑いを堪え切れず肩を震わせていた。
『ふふっ……今日も平和ですね。』
ラピートは胸を張る。
『職場には笑顔が必要なのよぉ♪』
『原因を作ってるのはラピートさんですけどね。』
『細かいことは気にしない♪』
四人は思わず笑った。
戦場では命を懸けた戦いが続いている。
それでも、この城には束の間の穏やかな時間が流れていた。
そして、その穏やかな日常を守るために――彼らは今日も魔皇を支え続ける。
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