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ASMR系VTuberの私、ぼっちのはずがなぜかクラスの美少女に溺愛されてます!  作者: 海野アロイ
第二章 ASMR系Vtuberの私、陰キャのはずがMV作るとか無理すぎます!?
48/62

48.ボイストレーニングの先生がこれまた尖ってるんですが⋯⋯


『えっと、歌の先生はミスティさんって言うんですけど、最近、Vtuberもやられてて……。技術的に不安なら、この方にレッスンをつけてもらうといいと思います』


 Spring Worldさんとの面談の後、私と姉は今回のMV制作を前に進めることにした。

 決め手になったのは、Spring Worldさんの熱意と準備だ。

 彼女は私の熱烈なファンだったし、歌ってみたいって言う曲を用意してくれていたのだ。

 これは乗らなきゃ損だ、と思ってしまった。


 そして、話は冒頭に戻る。

 自分の歌唱力に自信がないことを伝えると、Spring Worldさんは私にとあるVtuberさんを紹介してくれたのだ。

 Youtubeでの活動は始めたばかりというが、その実力は本物だとのこと。

 オンラインでボイトレを行うらしく、今日はそのVtuberの中の人が私の相手をしてくれるのだろうか。

 私は根っからの人見知りだ。

 緊張して中途半端な結果にならないようにしなきゃいけない。


 今日は喉の調子もいいし、さきほど、自分なりに発声練習もした。

 最近は夜更かしもしてないし、大丈夫。頑張れるよね。


 夜更かしと言えば、今日は透子さんとふみさんがやたらとあくびをしていた。

 エリカさんはいつもと同じく元気だったけど。

 透子さんはお勉強、ふみさんは漫画に忙しいのだろうか。

 二人とも睡眠不足なのか目の下にクマができていたので、ちょっと心配だ。


 そんなこんな、クラスメイトたちのことを考えて現実逃避をしていると、指定の時間になった。

 時計は午後6時ぴったり。

 初回のボイストレーニングが始まろうとしていた。


 防音室に入り指定された通話アプリを開いて、マイクのセッティングを確認する。

 カメラで私の顔を映すようにしておく。

 私の顔をさらすことについてはOKを出している。

 歌を歌うに当たって口の使い方や姿勢は大切だろうし、こればかりはやむを得ない。

 もちろん、絶対に流出しないようにお願いしているけど。


 アプリでミスティさんのアカウントを選んで、通話ボタンを押す。

 画面には「呼び出し中」の文字。

 緊張する、こればかりは本当に。

 心臓が破裂しそう……!

 ピロリンッ。

 『通話が接続されました』の表示。始まりだ。


「あ、お、おはようございます。悠木ゆめめと申します。よろしくお願い致します」


『よろしくお願いするティ! あ、えっと、人は我をこう呼ぶ、歌うたいの魔獣のミスティ!』


「あぅ……えと、ミスティさんですよね? よろしくお願いします」


 画面に現れたものに度肝を抜かれる私である。

 なんとミスティさんはVtuberのアバターのままで現れたのだ。

 アバターの姿は魔界からやってきた猫みたいなデザイン。

 ふわふわの毛皮がなんとも可愛らしく、語尾に特徴がある系のVtuberさんらしい。

 いや、それはいいんだけど、一対一でこれをやられるのはなんというか、ちょっとびっくり。

Spring Worldさん同様、自己紹介の口上をしてくれたのには恐れ入る。

覚えやすくなると言うし、私も作ってみるべきだろうか。


『……もう殺して』


「へ!?」


『なんでもないティ! さっそく課題曲についてやってくティ! ぼんやりしてると置いてくティよ!』


「あ、はいっ、頑張ります!」


 一瞬だけ、物騒な言葉が聞こえた気がしたけど、気のせいだったらしい。

 ミスティさんは、私の歌をチェックするために、まずは前半部分を歌ってみるように指示を出す。

 ヘッドフォンから聞こえてくるのは、ピアノ版の前奏だ。

 旋律は同じなのにボカロ版とは雰囲気が全然違う。すごくしっとりとしている。


 すぅと少し息を吸って、歌いだす。

 Spring Worldさんから前もって頂いているので、もう10回以上はお風呂で練習済みである。

 高音のキーも問題なく、少しだけ自信がある。



「ど、どうでしたか?」


 歌い終わると体が熱い。

 思った以上に熱唱してしまった。

 私が歌っている間、ミスティさんのアバターはゆらりゆらりと揺れていて、すごくかわいかった。


『……はふぅ。死にそう……ティ』


「死にそう? あ、えと、私の声がもう死んでるみたいな、そういうことですか!?」


 ミスティさんから剛速球の感想が飛んできた。

 うわぁあ、私のバカ!

 自信があるなんて思っちゃった自分が恥ずかしい。


『あ、いや、何でもないティ! 今のは独り言ティ! えっと、歌いだしのAメロの静かな場所は悪くないけど、サビが……』


「サビが……?」


 ごくりと唾をのむ。10秒の沈黙。

 何も返ってこない。通信が切れたのか、それとも?


「あ、あの、ミスティさん!」


『あ、はい、ごめんティ! ちょっと考えごとしてたティ!』


 ミスティさんのアバターの眉毛が八の字になる。

 明らかに困っている顔だ。


「思ったことを正直におっしゃってくださって構いません! 私、自分の歌が上手だなんて思ってませんし、ビシバシ指導してくださいっ! ボイトレ自体、初めてですし、先生の色に染めてくださいっ!」


『は、初めてで、私の色に染める……ティ!?』


 意を決して、言いたいことを伝えてしまった。

 そう、ひょっとしたら、ミスティさんは私に遠慮してしまっているのかもしれない。

 オブラートに包んで傷つけないようにしてくれるのはありがたい。

 だけど、だけど、それだけじゃ私の歌が上達するとは思えない。

 傷つくかもしれないけど、それでも耐えようと思う。


『ごめん……鼻血出たティ。ちょっと待ってティ』


「ぇええ!? 大丈夫ですか!?」


 ミスティさんのアバターがぐらぐらと揺れはじめる

 たぶん、ティッシュをどうにかしてるのだろうけど、何が起きているかはわからない。

 無事であることを祈るばかりだ。


『わかったティ。本気で指導するティよ! えっと、サビの部分が……』


「サビの部分が?」


『サビの部分が……』


「頑張ってください! 私、受け止めます!」


『……焦って高くしすぎてるっティ! もともとのメロディラインよりも高くて電子音に近くなるティ!』


「えっ……あ、はい! やってみますっ!」


 ミスティさんを勇気づけたら、思わぬ反撃というか、まっとうな指導が返ってきた。

 一言で言うと、焦るなってことである。

 なるほど、確かに私はサビが近づくとソワソワしてしまうのだ。

 あぁ、失敗したらどうしよう?

 キーを落とすべきだろうか?

 などと不安になってしまい、力みに力んで歌っていた。

 結果、高音が変な感じに出てしまっていたらしい。


『それと、フレーズの終わりで焦って吸うと、次の入りが雑になるティよ! まずは、どこで吸うかを楽譜にメモってティ!』


 呼吸についても目からうろこだ。

 私は今までどこで息を吸うとかまともに考えてこなかった。

 うぅう、素人でごめんなさい。


『サビ部分は一音ずつピアノの音に合わせて、いくっティ! 頭のてっぺんから声を出すティ!』


 ミスティさんはサビ部分のピアノの音を一音ずつ示してくれる。

 焦らず、ゆっくり、頭のてっぺんから……。


 そんなこんなで声を出し続けること約60分。

 私の初回のボイストレーニングは終了時間を迎えるのだった。


『ゆめめさんの歌は世界の宝物になるっティ! 世界遺産ティ! だから喉を大事にするっティ! 次回は基礎をやるっティ!』


「は、はいっ! 頑張りますっ!」


 そんなこんなで次回のボイトレの予定までいれてしまった。

 すごい先生だったのだが、Spring Worldさんの知り合いということで無償でいいということになった。

 Spring Worldさんもアクの強い人だったけど、ミスティさんもかなりのものだった。

 でも、彼女(彼?)の指導力は本物だと思う。

 実際に残りの時間だけで、高音の癖は大分解消されたと思うし。


 今はまだまだだけど、この先生となら、きっと私は歌えるようになる。

 そんな予感が、胸の奥で静かに膨らんでいた。





「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるんじゃっ……!」


と思ったら


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― 新着の感想 ―
また強烈な新キャラだなぁ(白目)
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