98 帰り道
1次試験は今のところ無事終わった。そこまで事故をしたという感触はない。あとは自己採点でいい点数が出ることを祈るのみだ。ショウも、650点が取れている、という感覚はあるようだった。
しふぉんからも連絡が来ていたが、理系科目で稼いだため650点はほぼ間違いなく行けたようだった。同じ志望校ということもあり、もしかしたらしふぉんとショウが大学で会うという展開もあるかもしれない。
ショウはそのことをほんのわずかに夢見ているようだった。
帰り道はかなり寒いが、我慢できないということもない。私は、来る電車を待っていた。
ショウは比較的私の考えを前向きに見てくれている。彼曰く、「僕の勝手な思いで、なっちの未来を縛りたくない」ということだった。アイドル活動をしていたことがバレたのがショウでよかったといつも思うようになっていた。
これから1か月後の2次試験で、私の将来が大きく変わる。四国に戻れるか戻れないか決まるのも、その試験にかかっているといってよいだろう。
「2次試験対策、そろそろ始まるね」
私はショウに話す。彼曰く、もう2次試験の対策を始めていた(というか、1次試験の対策をしていなかった)とのことで、彼は「これから始まる」という認識ではないようだった。
そういえば、私はショウが志望している大学の入試の数学を1回解いておきたいと思っていた。見た感じ、難しそうな問題が多い。家に帰ったら、1回やってみよう、とも決めていた。
彼の志望大学の数学では、たまに難易度がおかしい問題が出る。2019年の大問4(空間に平面を入れて分割する問題)や2011年の4(正方形の回転体の体積の最大値)と言ったのがいい例だろう。彼曰く、「そういった問題は捨てて、取れそうな問題を取る」のが重要だといっていた。
ただ、ここ数年はそこまで難易度が爆発したような問題は出ていないようだ。ショウは、その傾向が今年も続くことを祈っているようだった。
特に、2023年は異様に簡単な問題が出ていたようだ。2024年はさすがにそれよりは難化したものの、易化傾向が続いている。私は、今年はどうなるんだろう、と思いをはせた。
私の大学ではそこまで難しい問題は出ないものの、難しい問題を考えるのは好きだし役に立つことも多いと思っている。
私たちは、数学の問題の話をしながら家まで帰っていった。




